学校って
シナリオ・センター代表の小林です。シナリオS1グランプリの授賞式が今日夕方から行われます。
準グランプリ「サンデイ・タイム」佐々木恭さん(通信)
準グランプリ「わたしの憂い歌」千蓮泰子さん(本科修了)
佳作「僕の人生」町田奈津子さん(通信)
奨励賞「ぼくは、ドールくん。」鈴木伶香さん(136期作家養成講座)
奨励賞「ROUTE66]塚川悠紀さん(大阪校)
奨励賞「ホームレスに背説教してみた」大塚愛美さん(東放学園)
おめでとうございます。
シナリオコンクールの発表は、たぶんほとんど終わって、12月最後のコンクール授賞式ではないかなと思います。
遠くから足を運んでくださる方もいらして、師走の忙しいときに申し訳ないのですが、年2回6月12月の授賞式は、私にとってとても嬉しい時間です。
もう人生が終わろうとしている私とは対照的に、これからの方々の輝くような笑顔に出会うたびに、シナリオ・センターでの仕事は、本当に素敵な仕事だとしみじみ思います。
シナリオで、アニメで、小説、ライトノベルで、ゲームシナリオで、ラジオドラマで、戯曲で、漫画原作で・・・あらゆるジャンルで、人が成長し、飛び立っていく姿を間近でみていることができる。本当にありがたいことです。
私自身は、講師ではないので、直接技術を教えることはほとんどありませんが、学校という場所は、単に技術を習得するだけではなく、仲間だったり、講師だったりとの出会いが創作者として何倍も大きくしてくれる場所だと思っています。
描き続けて行くことしかない成功への道を、諦めたり、挫けそうになったりした時に、背中を押したり、肩をたたいたり、蹴り上げたり(笑)すること、それが学校の、また私の役割だと思っています。
学校というものを上手に利用されて、ともすれば孤独な作業に陥りやすい創作の道を楽しんでいただければ嬉しいです。
表現って
今年は色々なことがありました。
大雨・台風などによる大災害は日本中に大きな爪痕を残したまま、年を越そうとしています。国はきちんと復興の力を注いでくれているのでしょうか。
現場ではないのでわかりませんが、被災された方々が少なくとも悲しい寂しいお正月を迎えずにすむことを祈るばかりです。
私たち創作者の中で将来の一番大きな不安材料となったのは、「表現の自由」問題かと思います。
12月12日は、日本映像職能連合(シナリオ作家協会はじめ監督、照明など8つの映像関係協同組合の連合)は、文化庁所轄独立行政法人が行った文化芸術活動への助成金交付要綱の改正にあたって、「自由な創作表現活動を妨げる可能性がある」と要綱改正の撤回を求める要望書を文化庁へ提出したのだそうです。
大騒ぎになったあいちトリエンナーレの「表現不自由展・その後」や映画「宮本君から君へ」などの助成金不交付などの問題から、申し入れたものですが、何を基準して交付しないとか、交付を取り消すことができるのか、これはとても大きな問題です。
表現するということは、人としての根源だと思うのです。
いつも言っていることですが、人は一人ひとりみんな違うのです。同じ人は誰一人いないのです。近いことはあっても、同じ想い、同じ考えはありえないのです。
この当たり前のことをしっかりとわかっていないと、時の権力者によって一人一人の表現が阻害されかねないことになります。
すべての芸術文化は死滅します。人としての在り方も変わってしまいます。
人はみな違うのだということを理解していないと、創作に携わるからというだけでなく、人として生きることへの表現も規制されてしまうことに。
大きく世の中が変わろうとしているこの時代、それぞれ一人一人がきちんと考えていかなくてはならない、他人に流されないようにしなくてはならない、自由な表現を止めてはならないと思います。
日本映像職能連合の申し入れは、これからの創作への警鐘なのです。
来年は、一億総表現の年にしましょう。