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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

今年もお疲れさまでした。来年も全力疾走は無理でも、歩みを止めずに書き続けましょう。

「言葉」が暴走する時代の処世術(集英社新書)

継続は力なり

シナリオ・センター代表小林です。シナリオ・センター2019年の授業は今日で終了となります。1年間、お疲れさまでした。
この1年、皆様はどんな創作にチャレンジされたのでしょうか。
「やったね!」といえる方も「うーん?」と首を傾げる方もそれぞれの一年をもう一度思い返してください。
こうすればよかった、ああすればよかったと思うことは、どなたにもあると思いますが、これでよかったと思ったら、そこで終わり、反省点がある方が次への糧となるものです。
一番大事なことは、続けることです。「継続は力なり」といわれますが、何事にも通ずることで、やめたらそこで終わり。
私たちがやるべきことは、書き続けること。人によってそれぞれかかる時間は違うと思いますが、続けることでしか成すべき道はありません。

来年は2020年。オリンピックイヤーでもありますが、シナリオ・センターにとっては、創立50周年という節目の年でもあります。
何かのきっかけで大化けすることはよくあることです。来年は、創立50周年をきっかけにちょっといい感じに行けるような気がします。(笑)
今年「うーん?」と思われた方はもうちょっと踏ん張って、「やったね!」と思われた方はもう一段上を目指して、楽しみながら創作の道を歩んでいきましょう。歩みを止めることなく。

シナリオ・センターの年末年始のお休みは、12月24日から1月5日。新春は1月6日から始まります。

言葉が暴走する時代の処世術

どういうご紹介をさせていただければいいのか・・・出身の漫才師・監督・小説家・作詞家である爆笑問題の太田光さんが山極さんと対談の本を出されました。
言葉が暴走する時代の処世術」(集英社新書刊)
太田さんらしいシニカルな視点で、ゴリラ研究の第一人者の人類学者・京大総長山極寿一さんとコミュニケーションについての対談です。

お二人が共通しているのは、スマホをあえて持たないということ。SNS、ICTでのコミュニケーションの在り方に警鐘を鳴らしています。
私はスマホは持っていますし、便利ではあると思いますが、お二人が危惧していることはよくわかります。
山極「確かに便利なんだけれど、対面して話すときに必ずついてまわるはずの、言葉に託された状況とか、感情がそぎ落とされてしまう。
あくまでテキストデータとして伝わってきた情報だから、ただそれだけを読むだけだと、どうしても読み手が勝手に意味を付け加えてしまう。
その結果、顔を合わせて話していたときには決して起こらなかった誤解が生じたりする」
太田「ネットでの会話って直線的ですからね。実際に顔を突き合わせて話しているときには、同時に話してしまったりかぶったり、相手を遮って話したりする。そこでなんかうまく通じないなと思ったりして、調整しようとする。
それがお互いに分かり合うために重要だったりするのだけれど、ネットでの会話はセリフのように順番で並んでいくでしょう。」(略)
「だから、たかだかスマホのやり取りで、絶望なんかするなよって思いますね」

ドラマでもいうように、人間関係って、出会って初めて成立するものだと思うのです。
山極さんのおっしゃるように「読むだけだと誤解を生じる」それをうまく使ったのが映画にもなった小説「マチネの終わりに」。
主人公ではない人が嘘の別れのメールを送るのですね。小説でも映画でもそこがポイントになります。
そう、実はメールとかは誰が打ったかもわからない、どんな調子だったのか、どんなつもりだったのかわからないから怖いのです。

例えば、謝るメール。
「すみません」と本当に心から頭を下げているのか、片手間にほかのことをやりながら「すみません」、謝る気持ちもなく鼻くそほじりながら「すみません」と書いているのかはわからないわけです。
太田さんは、向田邦子さんの「阿修羅のごとく」の何も言わないお母さんが、夫の背広のポケットから出てきた不倫相手の子供のミニカーを使って、感情を爆発させるところの話をされて、言葉だけではない表現のすばらしさをお話しされています。

この本はコミュニケーションについてのお話なのですが、コミュニケーションとのとり方は、人間を描くドラマの重要な要素なので、この真理がわかると面白い人間ドラマが描けると思います。
お二人の結論は「今改めて考え直す必要があるように思います。相対して話をすることの大切さとかね。もっと他愛のない会話をしながらみんなで食事をしたらいいんですよ。スマホはおいて。」
この年末年始、実家に帰られる方も、家族で、友人と過ごされる方も、じっくりとスマホをおいてコミュニケーションをとってみてはいかがでしょう。
私は、家族、親戚、友人と、美味しい食事とお酒を前に、他愛のないおしゃべりを楽しもうと思っています。

今年1年、つたない日記を読んでくださってありがとうございました。
それこそ一方通行の私見でしかありませんが、私なりに真摯に向きあって書いてきました。
来年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。
シナリオ・センターは、しつこいですが(笑)、来年は創立50周年。
歴史と実績に胡坐をかくことなく、常に前に向かって進んでまいります。
ご一緒に歩んでいただければ幸いです。
佳いお年をお迎えください。

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