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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

舞台と映像の違い

かげぜん

切り口

シナリオ・センター代表の小林です。大河ドラマ「麒麟がくる」が高視聴率で発進したというニュースを拝見しました。
ちょうど私は川上信也さんの映画を見に行っていて、残念ながらドラマは拝見していないのですが、「明智光秀」という逆賊といわれている人を主人公にしたことからして面白いものになるのではと推測しています。脚本は大ベテランの池端俊策さんですし。
池端さんは裏街道を生きた人を描きたいとおっしゃっていましたが、逆賊光秀は、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康側からしかみた人物像でしかありませんので、池端さんがどのような光秀を描かれるのか、見てみたいと思います。
昨日も書きましたが、歴史は勝者から見たものなので、敗者側からの切り口は大いに触発されるものがあります。
前回の最低視聴率を更新したといわれる大河ドラマ「いだてん」は、宮藤官九郎さんの脚本で、大河でなければ絶対に高視聴率をとるであろうといういいシナリオでした。
誰かさんがよく言う適材適所で考えると、適所でなかったかなぁと思います。(笑)朝ドラの方がよかったかも。
どんなにシナリオがよくても、ドラマづくりはあくまで団体競技なので、色々な要素で変わってくるのですね。
でも、何よりも大本はシナリオ。
大本が崩れていたら、どんなに他がよくてもよいドラマにはなりません。心して、切り口、語り口を練り上げていきたいと思います。

かげぜん

昨日は、林海象監督が演出された舞台「かげぜん」を観にいきました。
初日ですので、出演者のみならずお芝居に関わる方々に緊張感が漂っていました。私は、舞台の一期一会だからこそ生まれるこういう雰囲気が大好きです。
林海象監督の舞台演出は、昨年の出身ライター坂口理子さんの本で上演した「ロストエンジェルス」に次いで2回目。
今回は紀伊国屋ホールで、前回の小劇場とは違うので、どのような舞台になるのか楽しみにお伺いしました。

「かげぜん」は終戦間際のお話で、詐欺師の大吾がお金持ちの未亡人の孫になりすまして、盲目の未亡人と暮らすところからはじまります。
タイトルの「かげぜん」もそうですが、特高、サッカリン、闇市、出征、憲兵、隣組など舞台に出てくる言葉が、用語集としてプログラムで説明されていました。もうこんな言葉も死語なのだとしみじみ時代だなぁと思ってしまいました。昭和は遠くなりにけりです。
戦前ではないかといわれる昨今だからこそのお話で、いい舞台でした。
林監督は、ご自分がおやりになる舞台演出について、「映像で物事を思考してしまう映画監督にとっては両眼を失くして戦場に挑む状態に陥る」と書いていらして、舞台と映像の違いをはっきりとおわかりになっていたからこその見事な演出だったのだなと思いました。
時々、映画監督、テレビディレクターの方が演出された舞台を観劇するのですが、どうしても映像的で、アップのないロングの舞台としてはわかりにくい演出に出会うことが多かったので、さすがだなと思いました。
プログラムで林監督は「一つ決めている自分のルールがある。それは、舞台では映像をできるだけ使用しないということ。
舞台は舞台そのものが想像物であり、それには舞台だけの因子である、物語、芝居、音、光、美術だけで構成した方が、観客の想像力をより膨らませることができると思っているからだ。
そこに映像が入ってしまうと別な刺激が入り、血が混ざるような状態になり、それは舞台にとっても映像にとっても得策ではないと考えるからだ。
舞台と映像は兄弟ではあるが、近いようで遠い」(抜粋)と書いていらして、映像と舞台の違いを熟知されているからこその演出だったのだと思いました。
「かげぜん」は戦中の話ですが、そこには今の時代だからこそ感じなければならないことが描かれており、是非とも多くの人に、若い人に観ていただきたいと思います。

今月26日まで。紀伊国屋ホールで上演しています。ご予約は0120-240-540 http://www.confetti-web.com/kagezen
関西方面の方は、1月29日、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで上演します。
明日は大阪校の開講で大阪へ行きます。大阪での新しい出会いを楽しみにしながら、新幹線に乗り込みます。表参道シナリオ日記はお休みさせていただきます。

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