ふぅ~。
シナリオ・センター代表の小林です。先が見えない毎日に息苦しいとおっしゃる方が増えています。どなたもそんな気分になりそうですが、人のいないところで大きく深呼吸してみてください。脳に血が巡って案外すっきりしますよ。
とりあえず、シナリオ・センターは、今のところ授業ができるだけありがたいと思っています。
新たに、ゼミでホワイトボードをご使用の際には、使い捨て手袋を使っていただけるようにしました。
どれだけこうしたことに効果があるのかはわかりませんが、少しでも安心して授業を受けていただけるための暫定措置です。
電車でのつり革などに触りたくないと思っていらっしゃる方は、よろしければお持ち帰りくださいませ。
人の行動って不思議ですね。顔に手を当てない方がいいといわれるとむやみに触りたくなるし、咳が出るといわれるとのどがイガイガした気分になったり、熱がある気がしたり・・・。
毎週行っているパーソナルトレーニングジムでも、熱を測ることになり、なんだか熱っぽい感じがしてドキドキしながら測ったら、なんと35・8度。トレーナーにもう少し体温を上げましょうと言われてしまいました。(笑)
神経はとがらせないといけないですが、あまりに神経質になるのもまずいし・・・、どこまでどうしたらわからない今、ついつい余計なことを考えてしまいます。
平常心って、本当に難しい。
日本アカデミー賞
日本アカデミー賞の授賞式がありました。毎年、センターの広報はお伺いさせていただいていたのですが、今年は取材もNGになり、無観客の授賞式となりました。それはそれで寂しい気もしましたが、受賞作のおかげでとても盛り上がりました。。
そうなんです。とても嬉しいことに、アカデミー賞最優秀作品賞に「新聞記者」が、最優秀女優賞、男優賞とも「新聞記者」のW主役のシム・ウンギョンさん、松坂桃李さんが受賞されたのです。
権力批判の映画なので受賞は無理だろうとされていた中の受賞に、多くの方々から「まだまだ映画人は捨てたもんじゃない」との声が上がっているそうです。
最優秀作品賞に選ばれたことが本当にすごいことだと思います。
「新聞記者」は、東京新聞の望月記者をモデルにしているので、ある意味、直球表現に近いかんじで、社会的にも問題作として取り上げられ、公開もどうなるのかと思われたのが、話題になって配給もどんどん増え、大ヒットになりました。
プロデューサーの河村さんは、「新聞記者」はもとより「宮本から君へ」でも文化庁の助成金を急にきられたりしながらも、映画作りをされている反骨の人でいらっしゃいます。
優秀脚本賞受賞の三谷幸喜さんの「記憶にございません」は、史上最悪といわれている総理大臣が投げられた石にあたって記憶喪失になり、小学生の時の恩師に三権分立から学んで、いい総理になるという変化球で笑いを取りながら、政治風刺をうまくみせていました。
「さすがだなあ、三谷幸喜さん!」と思いながら笑ってしまいました。優秀主演男優賞中井貴一さんの演技も抜群でしたし。
本当に描きたい部分をどう見せるかこそが、表現者の腕の見せどころです。
出身ライターの黒岩勉さん脚本の「キングダム」は、最高の4冠受賞。
原作のどこを描くかというのは脚本家の力です。
映画では序盤を主体に描いているので、続きがみたいって思わせ、そのつもりで創られたのかと思います。
今年の最優秀脚本賞は「翔んで埼玉」の徳永友一さん。面白かったですね。原作の漫画はもちろんですが、埼玉差別を逆手に取って無茶苦茶面白おかしく見せています。
自分は何をどのように描きたいか、ストーリーはわずか23通りとすれば、権力ひとつ描くのでも、「新聞記者」「記憶にございません」「キングダム」「翔んで埼玉」それぞれまったく違う表現です。
同じテーマでも見せ方によって、受け方も違ってきます。何をどう描くか、作者の想い、考え方によって変わります。ここに創作の力を感じます。
だからこそ、創作者は自分の想いや考えをしっかりと持っていなければならないのです。あなただけの。