こちらの記事では、「20枚シナリオって何のために書くの?」といった疑問や、「傑作を書こうと意気込み過ぎて前に進まない…」といったお悩みが解消できます。初心者のかたの練習法としてもオススメです。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
“生きている人物”を作る
自分の頭に浮かんだシーン、例えば登場人物が何かをしていると、もう一人の人物がやって来る。先の登場人物がしていることを見て、いきなり怒鳴るかもしれません。
すると先の人物は怒鳴り返すか、謝るかします。そんなことが頭に浮かんできます。
今、怒鳴り返すか謝るかします、と言いましたが、それはその人物のキャラクターや状況によって違った表現になるのです。言うなれば、作者の頭の中にあるキャラクターや状況がわかれば、自然に動き出すのです。
そこでその人物は“生きている”ということになるのです。向かい合ってAがこういうことを言い、Bがこういう返事をしてドラマを進行させるというのとは違うのです。
では、“生きている人物”をどうしたら出せるのでしょうか。それは音楽をたしなむ人が、いつも楽器を使って自然に音を自分の体の中に染み込ませるようにするのです。
最初から大曲を演奏はしません。シナリオでもそうした作者の頭の中に、すぐ絵が浮かぶように、つまり染み込ませるためには、たくさん、たくさん書くのです。それが20枚シナリオなのです。
20枚シナリオは頭の中に自然に浮かばせる練習と自然に出てくるセリフの訓練
柱を書いたら、まず誰と誰が何をしているのか考えろというのは、生きている人物を作るための訓練なのです。そうして出たセリフが生きるわけで、作者が最初からこう言わせようとするものではありません。
20枚は習作ですから、傑作を作ろうなどと思ってはいけません、頭の中に自然に浮かばせる練習と、自然に出てくるセリフのための訓練と言ってよいでしょう。
今書いているのはウンコだと思ってください。ウンコは色々な栄養物(ここでは勉強)を入れて、出た結果がウンコになるのです。ウンコが大切ではなくて、ウンコを作るもと(練習)が大切なのです。
ですから、いつまでもこだわっていないで、ザッと流して次の作品に取り掛かるといいのです。
今のところ、傑作が生める体力を作るのが目的です。あまり傑作名作と考えずに、表現技術の勉強をしてください。
出典:『月刊シナリオ教室』1995年2月号「通信生を応援する」/2016年2月号「新井一.com」
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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