ペスト
シナリオ・センター代表の小林です。
カミュの「ペスト」が売れているそうです。伝染病の怖さを書いた本ですけれど、本質は伝染病そのものの怖さというより、人間の怖さを描いたものです。
戦争や自然災害より「未知の何か」よって、人間の本質はあらわになるというのです。
ペストの舞台は、フランスの植民地でフランス政府は限られたところに人々を隔離し、管理、監視できるようにしたことによって、様々な人々の動きが起こります。
それが、今と同じような状況と言っていいほどのお話で、カミュは予言していたのではないかとのことで、多くの人に読まれているようです。
予言だったらいやですね。「ペスト」に出てくる政府は迷走します。
ペストより怖いのは時の政治権力なのだということをひしひしと感じます。
こうした状況になって初めて、政治というものが社会に、自分たちの生活に、いかに密着しているものだということを実際に感じています。
「ペスト」と同じようにならないように、私たち一人ひとりがちゃんと想像し、考え、自分の意見を伝えていかなくてはいけないのだと思います。
朝日新聞の「折々のことば」でサン・テグジュペリの言葉を取り上げていました。
「人間であるということは、自分に関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ」
忸怩たることというのは責任を感じるということです。
想像力を広げれば、自分のことだけを考えているのでは、社会は回らないということがわかります。
昨日も申しましたが、シナリオのアクション・リアクションを考える発想法を是非とも皆さんにやっていただければと思います。