脚本家や小説家など、創作を生業としていなくても、文章を書く機会は結構あるのではないでしょうか。
例えば、職場だとプレゼン用の資料を作成したり、会社の広報誌に載せる文章を頼まれたり。プライベートなら趣味でブログを書いたり。
そんなとき、途中でどう書いたらいいか分からなくなってしまうとき、ありませんか?
もしくは、それ以前に、「どう書き出したらいいか分からない……」という方もいるのでは?
そういった方へ、「文章が書けない…」という状況に陥らない方法があります。
それは、いきなり文章を書きだす前に、「構成(起承転結)」を作ってみることです。
では、具体的にどう作ればいいかを、
・そもそも「構成(起承転結)」とは?
・「構成(起承転結)」の作り方
・「構成(起承転結)」はこんなときにも使える
――の順でご紹介します。
起承転結それぞれの役割
構成を考えるとは、「起承転結」を考えることです。
「起承転結」というと、学校の国語の授業で耳にしたり、「4コマ漫画は起承転結で分けられている」といった話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ここでは、シナリオにおける起承転結それぞれの機能を、簡単にご説明いたします。
・起=ドラマの始まり。天(情勢)・地(場所)人(人物)を紹介する部分。“転”で伝えたい逆のこと、つまり「アンチテーゼ」から始めます。
・承=事件や事情が積み重なってドラマが進行していく部分
・転=ドラマのテーマを感じさせる部分
・結=テーマの定着と余韻を持たせる部分
この起承転結の機能は、シナリオを書くとき以外にも使えます。
例えば「会社の広報誌にあなたの業務について載せたいので、文章を書いてほしい」とお願いされたとき、さきほどの起承転結の機能に、自分の業務について書きたいことを当てはめてみます。
【例】
・起=「〇〇すること」が大切だとは思わなかった
・承=「〇〇すること」が大切だと感じたエピソード
・転=業務を通して、「〇〇すること」が大切だと学んだ
・結=この文章を読んだ人に感じてもらいたいこと
――といった感じでしょうか。
この例はちょっと安易ですが、でも、こうやって起承転結に分けて自分が何を書くか予め決めておくと、文章を書いている途中で「何をどう書けばいいか分からない……」と“迷子”になることが防げます。
自分が書きたいことを箱書で整理
また、起・承・転・結で、それぞれどんなことを書くか決めるときに、「箱書(はこがき)」を書いてみると、自分が何を書きたいか整理できます。
箱書とは、
【箱書の定義というようなものはありませんが、「箱書とは、構成をはっきり映像化するための計画表」】
新井一『シナリオの技術』(P55)より
――のことです。
一例としまして、こんな風に書きます。
この場合は8ブロックに分けて、①には「起」で書きたいこと、②~⑥には「承」で書きたいことを、⑦には「転」で書きたいことを、⑧では「結」でかきたいこと、を簡単に書き込んでいきます。
シナリオ・センター出身 映画監督・脚本家 林海象さんは、構成や箱書きについてこう仰っています。
シナリオ・センターで教わったことを、僕は学生に教えています。京都でも山形でもそうです。一番基本的なところでは最初に習うと思いますが、6ブロックのハコに分けた起承転結です。あれはいかなる時も有効です。僕もいつもそうしていますし、学生達にも最初に教える。
起承転結ではない話も、もちろんあるんですけれど、今は考えない方がいいです。『トイストーリー』も見事な脚本ですけど基本は起承転結。起承転結を理解した方がいい、起承転結を嫌わない方がいいし、起承転結は友達ですね(笑)。最後結んでくれないと、なんかやっぱ嫌だし、徹底的に信じてやられるのがいいと思います。
長くなった場合も、6ブロックをまた6ブロックにするとか、コマ数を増やせばいいだけですから、長いものにも有効です。特に依頼された場合はちゃんとやった方がいいです。もちろんそうじゃない映画脚本の作り方もあります。長短にもよりますけど、必ずあると思ってはいます。
ちなみに、林海象さんのように6ブロックにする場合は①「起」、②~④「承」、⑤「転」、⑥「結」となります。
「書きたいことはあるけどまとまっていない……」というときも、「伝えなきゃいけない情報が沢山あってどこから始めればいいか分からない……」というときも、書きはじめる前に起承転結を意識して、箱書にすることで書きやすくなります。
シナリオを書くときと一緒ですね。
小説を書くときも、PR動画を作るときも、まずは構成を考えてみる
構成を考えることはシナリオだけでなく、小説を書くときも勿論使えます。
シナリオ・センター出身 脚本家・小説家 宇山佳佑さんはこう仰っています。
僕は小説から始めた人でもないですし、そんなに小説を読んで勉強してきたという訳でもないので、描写とか能力があるわけではなく、たぶん下手なんですね。それを補うのは何かというと、脚本でやってきた、展開を考えたりするところかなと思います。脚本の勉強って、いかに盛り上げたり、ここで布石を作るとかの構造的な部分を組み立てていくので、そういう部分が大きい気がしていて、役立っているのではないかと思います。
どちらかというと映像を文章に起こしている感じが近いのかも。『桜のような僕の恋人』も、きっと脚本を小説にしたら、こんな感じになるのかもしれません。脚本を勉強している一番のアドバンテージは、構成だったり、セリフのテンポや遣り取りということで、最初から小説だけ書いている小説家の人とは、書き方が違うのではないかと思っています。
公開講座でお話しいただいた宇山佳佑さんのコメント(『月刊シナリオ教室』2018年7月号掲載)より
また、PR動画を作るときも使えます。その模様はこちらの記事「面白い動画を作るにはシナリオの構成を考える」をご覧ください。
いろいろなときに使える「構成(起承転結)」。ぜひ試してみてください。
“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~
こちらの記事をご覧いただき、「構成についてもっと知りたい」「シナリオにちょっと興味が出てきた」という方は、シナリオ・センターの基礎講座に是非お気軽にいらしてください。
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