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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

ずっと家にいる こんなとき 元気が出るおすすめ映画

「ストレスがたまってイライラする」「気持ちが塞ぐ」というときはこちらの映画で気分転換!

今回は、柏田道夫講師(作家集団担当)がおすすめする、スカッと元気になる映画2本をご紹介。

 脚本家・小説家志望者は、「どう描けば観客の心を満たせるのか」という分析もしながら観てみると創作の勉強になりますよ。

ストレス発散できる映画『ROCK YOU!』

〇柏田講師:この映画が舞台としているのは、中世(14世紀)のフランスで、馬上の甲冑の騎士2人が、槍を構えて突進して、ぶつかり合って落馬した方が負けという設定です。

そういうと、いわゆるヨーロッパの時代劇? 
武士(騎士)によるチャンバラ映画?
かと思いますよね。そうなんだけど違うのです。何しろタイトルを見て下さい。どっかで聞いたことがあるじゃないですか。

そうそうクイーン!「We will we will rock you」のあの歌ですよ。(ちなみに映画の原題は『A Knight’s Tale』ですけど)

でも確かに冒頭から、いかにも中世の貴族たちだけでなく、町人たちもが、この歌を歌いながら、あの手拍子、足踏みをして戦わんとする騎士に声援を送る、っていう場面から始まります。観客席でウェーブまであって。考証的にはありえないのですけど、いかにもスポーツとしての馬上槍対決試合から一気にこの設定を受け入れてしまいます。

クィーンの曲は「ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ」も登場します。ですので、あの『ボヘミアン・ラプソディ』に感動した方は、これを見れば感涙にむせびます。他にもデヴィット・ボーイとかエリック・クラプトン、ハートといったロックの曲がふんだんに出てきます。

でもって、主演がヒース・レジャー!
ヒースといえば、死後にアカデミーの助演男優賞を受賞した『ダークナイト』のジョーカーを思い出します。28歳という没年でした。

もちろん、このジョーカーも忘れがたいし、候補となった『ブロークバック・マウンテン』も忘れ難いのですが、一番イキイキと輝いていたのがこの『ROCK YOU!』じゃないかと思っています。

ヒース演じる主人公は実はこの騎士試合に出る資格のない平民なのです。その身分を隠してどんどん勝ち進み、最大のライバルと決着をつける試合に望もうとする。

いわば中世スポ根サクセスストーリーともいえますが、もうロック音楽に乗りながら、見終わって最高にスカッとして元気になれます。ストレス解消にオススメですよ。

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A Knight’s Tale – Trailer

元気が出る映画『オーケストラ!』

〇柏田講師:ここのところの自粛要請(命令?)で、我々が生きる場である舞台、ドラマ、映画などエンタメの世界が閉ざされています。希望的な観測に立った上で、なんとか目途がついたとしても、元に戻るのにそれなりの時間がかかるでしょう。

そうだとしても、生きる上で人間には芸術や娯楽が不可欠です。それらが人の心を潤し、生きるためのエネルギーに変換されるから。

音楽業界も同様ですね。アーティストの人たちや関係者の切羽詰まった窮状が聞こえてきます。でも〝音楽〟のない世界なんてとても想像もできません。

さて、この『オーケストラ!』は音楽映画です。製作は2009年ですが、まさに今に繋がる笑って泣ける感動作です。

主人公は、30年前にロシアのボリショイ交響楽団の指揮者をしていたアンドレイですが、ソ連時代の圧政による政治的な問題で楽団をクビになり、今は劇場の清掃員をやっている。

そのアンドレイが、パリのシャトレ座からの公演依頼状を手に入れたことから、かつての楽団員たちを集めて、偽オーケストラを結成してパリに乗り込む。

なにせ30年ぶり、次から次へと困難が降りかかりますが、何とか公演にこぎつけます。そうした展開だけでなく、実はという「秘密」の仕込み方も見て下さい。

彼らが演奏するのは、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」で、ソリストに売れっ子ヴァイオリニストのアンヌ=マリーを指命するのですが、彼女の出生こそがアンドレイや楽団の歴史と関わっていた。

その秘密を明らかにするクライマックスのカットバックシーンは、もう涙が止まりません。これぞ「秘密」と「回想」の使い方の好例です。

どんなに抑圧されても、制限されたとしても、ほとばしるアーティストの表現したいという欲求は止めることができないのだと。

このコンサートシーンこそ、まさにクライマックス!

アンヌ=マリーとアンドレイたちが音楽で繋がる。その熱情が観客の心を満たす。まさに芸術の力です。

述べたように、この映画は「音楽」を描いた映画ですが、テーマは「再生」です。人間は志しさえ失っていなければ、再び道を拓くことができるということを伝えてくれます。

途中、パスポートを持っていない楽団員のために偽造パスポートを作るのですが、偽造屋がアンドレイに言います。

「ばあちゃんがいつも言っていた。太陽は毎日朝になると昇る。夜は昇らない。今は夜だ」

今は夜ですが、太陽の昇る朝は必ず来ます。

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シネマトゥデイ
映画『オーケストラ!』予告編

※柏田講師は、作劇法のポイントに焦点を当てた「映画のここを見ろ!」というコーナーも担当。
その1つ「柏田道夫おすすめ映画『暗くなるまで待って』を楽しむ 見どころ」はこちらから。

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