シナリオ・センター創設者 新井一が『月刊シナリオ教室』で解説していたシナリオの技術。
当時の記事をご紹介。
今回は、「20枚シナリオでは面白いものが書けたのに、長編だとつまらくなる…」とお困りのかた必読。
「ああなってこうなって」とストーリーを考えることをやめてみませんか?
新井一は「ストーリーは23通りしかない」と言っていました。
だからストーリーではなく、シーンを考えるのです。
シーンとは
【指定された場所(=柱)で行われるドラマをシーンといいます。こうしたシーンが沢山集まって、一篇のドラマを作るのです】
<新井一『シナリオの基礎技術』(P19)より>
では、シーンをどう考えればいいか、新井一が解説いたします。
20枚シナリオのときはうまく書けていたのに…
プロを目指す人たちが、240枚や120枚前後の脚本に挑戦することは、それ自体チャンスとして悪くなく、いいことです。
今まで20枚シナリオを着実にやっていた受講生が、「120枚を書いて応募すれば、もしかしたら賞金の500万円(最近はすごいですね)で車が買えるかもしれない」と思ったかどうかわかりませんが、気軽にコンクールに挑戦する人が多くなりました。
ところが20枚時代はうまく書いていた人が、どういうわけかシーンをいい加減に書くようになってしまうのです。ストーリー性が出てきたので、それに追われてそれぞれのシーンに考えを及ぼすことが出来ないのでしょう。それでいい加減になってしまうのです。
「今後の事件」よりも「現在の描写」を丁寧に
映画・テレビは、いずれも描写の対象は映像です。そしてそれは言うまでもなく、シーン単位です。お客さんが面白いか面白くないかは、今後起こるかもしれない事件より、現在の描写を望んでいるのです。
ひとつのシーンを満足に書こうとするならば、季節はどうか、場所はここでいいのか、時間や天気はこれでいいか、さらには板付で誰がいるのか、いや空舞台から始まるのか、誰がどのように登場するのか、いろいろと考えることが出来ます。
それがシナリオの面白さで、もう癖になっていることと思います。ところがシーンを書く時に、どこから始まるのか、誰と誰がどうするのか、その出入り等を考えていないのです。
この間読んだ200枚のシナリオでは、何と300シーンもありました。つまり1枚にも足りないシーンが延々と続いていたのです。
不思議なことにシーンの中のストーリーは続いていますから、何の矛盾も感じないで読むことが出来ます。当人はいいじゃないかというような顔をしていました。
どんな顔でも構いませんが、シーンが描写の基本であって、描写が面白ければシーンも面白くなりますし、見る者に感動を伝えます。逆にこれがストーリーだけ通しているようなシーンになりますと、面白くもなんともありません。
長いものを書こうとするときこそ、シーンをていねいに書いてください。
出典:『月刊シナリオ教室』1992年7月号 「新井一 新井語録」/2019年12月号「新井一.com」
※ストーリーではなくシーンを考えることをもっと知るために、こちらの記事「面白い脚本を書くにはキャラクターとシーンを考える」もご覧ください。
※こちらの動画も併せて是非↓
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
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