「サスペンスドラマを書こうと思ったけど、小道具の使い方が難しくて断念しちゃった…」というかた、結構いらっしゃるのでは?まずは使えそうな小道具を探すところから始めてみては。新井一流のやり方を参考に、これまでにないサスペンス、書いてください。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
証拠品はすべて小道具
名作であろうが愚作であろうが、犯罪に使われた証拠品というのは、すべて事件を解決する小道具となります。
実際の犯罪捜査がそうでしょう。犯人がいくら「わたしがやりました、どうぞお縄を」と手を差し出しても、「凶器は一体どこへやった」と、証拠品がなければダメなのはご存じですね。「自白(セリフ)は嘘つき」の場合もあるので証拠品がなくては立証出来ません。
証拠品は犯人が捨てたり、意識して隠す場合もあるでしょう。それを名探偵は推理しながら見つけて、辻褄をうまく合せなければいけません。このことを脚本作成上では「動機づけ」と言っています。何のためにこの不可解な行動をとったのか理屈に合わなければ、お客さんはそっぽを向いてしまいます。
日頃から、本来の使用目的以外に何に使えるのか考える
特に犯罪ものやサスペンスをやろうという作家は、犯人は被害者をどのように殺害したのか、常日頃から凶器ならざるものを凶器に仕立てることができるかどうか、想像する訓練をしてみましょう。
家の中でも花瓶を見たら、花を生けるのに使う一方、物騒な話ですが、これで人を殺すことができるかな?などと考えてみるのです。
また証拠品として使う場合は割合、単純な小道具のほうが使いやすいものです。携帯電話やインターネットなど通信機器の驚くべき長足の進歩がありますが、観客や視聴者がそのすべてを知っているわけではありませんし、説明しているヒマもありません。
例えばどうしてもこの日であることを証明出来ない。でもその日の新聞の日付がうまく写っていたということで、のっぴきならない証拠になってしまうという単純さも必要です。
もっと単純なのは印のついたカレンダー、お菓子の箱に打たれた製造日付なども小道具になります。小道具というと演劇の小道具から発想しがちになりますが、ドラマではもっと積極的に考える必要があります。
作家として日常生活を送るのならば、湯飲み茶碗を手に取ったら、本来の使用目的以外に何に使えるのかと考えることも、創作の一部です。使用の工夫を考えるのは楽しいものです。
出典:『月刊シナリオ教室』1996年5月号 「新井一 十則集」/2017年3月号「新井一.com」
※サスペンス以外でも使える小道具についてはこちらの記事『小道具の使い方 /因縁をつける』を。
※サスペンスを書きたい方はこちらの動画もご覧ください↓
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
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