「なぜ枚数オーバーしちゃいけないの?ほんの数文字でもダメなの?」というかた、お気持ち分かります!でも、まずは新井一の解説をご覧ください。「そもそもシナリオとはどういうものか」ということも併せてお分かりいただけると思います。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
時間内に収まるように書くのだから、枚数は必ず守ること
テレビは作品の長さが至上命令です。何しろスポンサーが、1分いくらの時間をお金で買っているわけですから、と同時に何時何分からは何をやるというように、時間割が決まっているのですから、その時間内に収めなければいけません。
ということはシナリオもその時間内に収まるように書かなければならないということです。今はビデオに撮る時代ですからそんなことありませんが、昔は大抵生放送なので、芝居が長くなって次の番組に食い込んでもいけませんし、時間が余っても白い画面を入れるわけにもいかないので、苦心しました。
演出助手はストップウォッチで時間を計り、シナリオライターは稽古に立ち合って、削ったり書き足したりしていたものです。
今は撮ったものを編集すればよいのですが、それでも内容の少ないものは長くなりませんし、分量の多いものを短くする訳にはまいりません。ライターは注文の枚数に合わせて、その中に内容を収めなくてはいけないのです。
長さの問題ではなく、芸術性の問題
自分が考えている枚数がなければ、自分の言いたいことを書くことはできないと、いかにも芸術的内容がその分量に左右されることを潔しとしない人がいるようです。しかし本当のことを言うと、枚数を区切ることで芸術的に昇華されるのです。
芸術というものは、自由に語ることができる中でこそ成立するのだと考える人がいます。それは芸術の本体を知らない人の考え方だと言わなければなりません。芸術の本体はいかに省略し、デフォルメすることであって、制限のないことではありません。
その証拠に、日本古来からの芸術、俳句や短歌でも、ご存じのように俳句ならわずか17文字、短歌は31文字の中に収めなければなりません。
その決められた文字数の中で、いかに自然を語り人生を謳うか、そこに表現された文字面だけでなく、それを酌み取る人の想像力も引き出しています。だから芸術なのです。
松竹の社長だった城戸四郎さんは、「シナリオとは省略だよ」と口ぐせのように言っていましたが、長さの問題を言っているのではなく、芸術性の問題を言っているのです。
出典:『月刊シナリオ教室』1994年11月号 「プロになるための十則」/2016年12月号「新井一.com」
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
今回の記事をご覧になって「ちょっとシナリオ、書いてみたいな…」と思われたかた、是非お気軽にご参加ください。「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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