「小説を書きたい」「ミステリーを書きたい」というかた、今回ご紹介する関口暁人さん(元通信作家集団所属)のコメントを参考にしてください。
関口さんは、大切な人を生き返してくれる刑事が活躍する『神様刑事』シリーズで長編小説デビュー。
昨年2019年には、『ドール先輩の修復カルテ』でエブリスタ小説大賞光文社キャラクター文庫大賞受賞。今年2020年に書籍化されました。
【あらすじ】
「もう俺のコレクションだよ、今日から君は――」。そんなセリフで吉祥寺の名門私立高新入生・小日向雛太は、半ば強制的に人形研究会の麗しき会長・沢桐瞳瑠、通称ドール先輩に入部させられてしまう。小動物系美少年の雛太は、耽美系美少年ドール先輩に振り回されながら、様々なぬいぐるみや人形の修理に駆り出され、事件に首を突っ込んでいくことになるのだが――。
※YouTube
【世界初!】WEB展覧会付きPV『ドール先輩の修復カルテ』
『ドール先輩の修復カルテ』発売を記念して、『月刊シナリオ教室 2020年10月号』(9月末発行)の「先輩のオ・シ・ゴ・ト」に、関口さんのインタビューを掲載。本作の執筆エピソードとともに、「どうしたら小説家になれますか?」といった“小説家になりたい生徒さんからよく受ける質問”にお答えいただいていますので、是非ご覧ください。
こちらのブログでは、小説を書くこと、なかでも、ミステリーを書くことを中心にお聞きしました。
『神様刑事』シリーズや『ドール先輩の修復カルテ』はともにミステリー。関口さんは小説を、そしてミステリーを、どんな風に書いているのか、ご紹介します。
「最初に核となるネタと仕掛けを決める」
――なぜミステリーを書こうと思ったのですか?
〇関口さん:正直に語ると、僕はシナリオ・センターの20枚シナリオは何を書いたらいいのか分からなくて毎回苦悶してました。それでショートストーリーみたいに描いてお茶を濁したり……。
でも、ミステリーには一定の型があります。何を書けばいいかハッキリしてるので書けるのです。あと、人を驚かせるのは好きなほうだったので、だからミステリーです。
――ミステリーを書くとき、心掛けていることはありますか?
〇関口さん:最初に核となるネタと仕掛けを決めます。それを決めるためには情報収集をして、ああでもないこうでもないとやります。ここが決まらないと書き出せません。プロットを固めるまでが最大の困難で、あとはただ形にするだけです。
今回の『ドール先輩の修復カルテ』もそうでした。キッカケは日本おもちゃ病院協会の記事。僕の中にあるのは物書きとしての目線です。この記事を読んで「作品化して人に伝えるだけの魅力がある」と思い、日本おもちゃ病院協会の講習会に受講することをパッと決めました。
案の定、そこはネタの宝庫でした。受講時には、ミステリー小説として構成するための核となる情報の大部分は掴めていました。
――そもそも、シナリオ・センターで学ぼうと思ったキッカケは?
〇関口さん:シナリオ・センターに通い始めたのは、映画みたいな面白さを味わえるエンターテインメントを書きたかったからです。面白ければジャンルに対するこだわりはあまり無いです。
初めてシナリオ・センターを訪ねたときのことは覚えています。僕は19歳で、なぜか青山あたりにいて、柏田道夫先生の著作で知った学び舎をひと目見たくて夜遅く既に静まり返ったセンターに行ったんです。
そのとき、ガラス窓に受賞者の名前が張り出されていて、「ここに通えばいつか自分も!」と思って通い始めました。そのとおりになったので、とても嬉しく思っています。これからもミステリーを主戦場としながら、細くても長く書き続けれられればと思っています。
――最後に、小説家になりたい生徒さんにアドバイスをお願いします
〇関口さん:僕も日々悩みながら書いてますのでアドバイスなんて言えませんけど、ひとつ思ってることがありまして、「よし、これなら!」と自分が思えるまで、あるいは目の前の読者が「おお!」となるまでとことん書き直す、ということに尽きるんじゃないでしょうか。極論、それさえ徹底出来るなら、テクニック論なんて不要では?くらいに思っています。
それから、小説を書くときは、読み応えや満足感が充分生まれるように、と思って書いています。ただ、それは作品全体の話で、部分部分はもちろん続きが読みたくなるように構成します。鈴木光司さんの『らせん』は続きが読みたくなる書き方のお手本です。
※小説の書き方については「柏田道夫<シナリオ技法で小説を書こう>スキル一覧」も併せてご覧ください。
※これまで取材させていただいた“先輩”の様々なオシゴトは、「脚本技術を活かした仕事とは/インタビュー記事一覧」をご覧ください。