「魅力的な主人公を作るにはどうしたらいいんだろう?」とお困りでしたら、主人公に意外性のある特技をもたせてみるのはいかがでしょうか。でも、“意外性のある特技”とは?一緒に考えていきましょう。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
主人公には意外性のある特技をもたせる
主人公の場合は、性格を考えるだけではなく、他に何か特技をもたせたいものです。
特技というのは、いくら抜きんでていても、当然の場合は特技にはなりません。例えばお侍さんの場合、剣が強いのは主人公なら当たり前で、まあそれも魅力には違いありませんが、特別な魅力とは言えません。
漫画雑誌の『少年ジャンプ』で、評判のいい連載の、主人公のキャラクターを調べたことがあります。驚いたことには、主人公には、何かしら必ず特技をもたせていました。
ケンカが上手、オートバイがうまい子、ボクシングが強い子、そうそう、ヤワラちゃんではありませんが、柔道がべらぼうに強い子、釣りがうまい子、ゴルフのうまい、猿と言われる子。果ては料理が上手な男の子。まだまだありますが、キリがありません。
そこで気がついたことは、ただ特技を持っている器用な子、というのではなくて、「へえ、あの子が!」という意外性があるのです。
ただの特技ではなく、誰にも負けない“1番”の実力を
今申し上げた例で言うと、男の子なのに料理がうまい、貧しい家の子がゴルフがうまい、可愛らしい女の子が、大の大人をうまく投げ飛ばす、という意外性です。
意外性と言えば、内館牧子君の朝ドラ『ひらり』では、島田正吾さんがやっている質屋の老主人(老ですぞ!)は、英語の原書をいつも読んでいます。質屋の主人がそろばんがうまいのでは、どんなにうまくても、それでは特技とは呼べませんね。
それからもうひとつは、ただの特技ではなくて、日本一とか世界一とか、まあそんな大げさなことでなくても、町内一でもいいですが、誰にも負けない一番くらいの実力がほしいのです。
先ほど申し上げた料理の得意な男の子は、日本の味、世界の味のチャンピオンになろうと、挑戦します。
そうした意味では、新聞の記事やテレビのニュースを見るときは、いつもそんな目で見てほしいと思います。例えば、蕎麦の早食いのチャンピオンとか、つまらないものでも、いや、つまらないものほど、面白くなります。ギネスブックだって、変なものが世界一になっていますが、それらも参考になるでしょう。
出典:『月刊シナリオ教室』1992年12月号 「新井一 十則集」/2014年7月号「新井一.com」
※魅力的な主人公をつくる他の方法についてはこちらの記事「脚本の勉強法:『ホタルノヒカリ』に見る魅力的な主人公の作り方」をご覧ください。
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
今回の記事をご覧になって「ちょっとシナリオ、書いてみたいな…」と思われたかた、是非お気軽にご参加ください。「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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