ゼミは不完全主義
シナリオ・センター代表の小林です。東京は雨、ちょっと肌寒いです。
今日の東京感染者数186名、昨日より1人多いです。ヨーロッパでは、20万人を超え、新たな制限が設けられようとしています。
日本は、何も手立てをしないのにも関わらず、ヨーロッパ、アメリカほどにならないのは奇跡としか言いようがありません。神国日本の神風でしょうか。(笑)
シナリオ・センター創設の前に、新井教室という寺子屋のような形でやっていました。
その時代に作った「新井教室ニュース月報 ジム」という会報誌が残っています。
クラスに誰が出席してどんな作品を読んだかなど細かい報告が載っています。後藤所長や上原講師の名前があったりして、「お~」。
その中で「不完全主義こそが進歩への道」と題して新井が、習作中の生徒さんたちに、いつも優しい新井とは違った厳しいことを言っています。
これがシナリオ・センターのゼミの20枚シナリオの基本なのだと思います。
「およそすべての芸術は完全主義の上に成り立つものです。
他人がどう思おうと自分のベストを尽くし、悔いない作品を完成したいというのは、この道を志した者の念願といえましょう。
その通りだと思います。その心構えがあってこそ、次への飛躍が期待されるものです。
それはあなたが、いざ芸術作品を創ろうとする時の態度です。その時は完全主義を標榜して結構です。
しかし、今は違います。
あなたは目下練習中なのです。練習中はひとつ一つマスターしていくのです。
ある時はセリフ、ある時は感情の出し方、ある時は出入りといったように・・・そこを強化目標にします。
つまり、その目標の習練さえうまくいけばいいのです。ほかはメロメロでも。
それが20枚シナリオの練習方法なのです。
ところが、20枚の中でも、構成からセリフから、愛情の出しかたから全部褒められようとします。それはかえって小物になってしまいます。
試合と練習を一緒に考えてはいけません。こんな決まりきったことさえ、よく混同するものです。
混同といえば、20枚シナリオをやっている時に長いものを描きたくなります。人情のしからしむところでしょう。
でも、それは、ストーリーとドラマを混同している人の考え方です。
そんな人に人間を描けるわけありません。描けるのは紙芝居のストーリーだけです。
20枚を50本(千本)も書いていないくせに、思い上がってはいけません。完全主義はそれからです。」
ひたむきにディテールと向き合っていきましょう。
新井が遺したシナリオ千本ノックです。
プロデューサーから見るシナリオ
さて、今年締めに近くなって、ようやくシナリオ・センター50th Anniversary programが立ち上がりました。(コロナめ!)お待たせいたしました。
2020年11月23日(月・祝)シナリオ・センター50th Anniversary programとして、『それはセリフのせいだ。 ~新井一賞授賞式~』を開催します。
それに先立ち、11/13(金)に50th Anniversary programでは、脚本家とは異なる立場のゲストをお招きして、『セリフ』について焦点を当てていきます。
よく「セリフのうまい脚本家が欲しい」とプロデューサーの方はおっしゃいますが、その意味はどういうことなのでしょうか。
シナリオは、セリフ単体でできているものではありません。
決めゼリフ、利きゼリフはト書、映像描写があってこそ効くのです。
今回は、プロデューサーが脚本家に求める『セリフ』とは何かに迫ります。
オリジナルのドラマ作品ほか、池井戸作品など原作ものも手掛ける東阪企画ドラマ部チーフプロデューサーの内丸摂子プロデューサーをお招きし、
・内丸プロデューサーが脚本家に求める力とは
・仕事を一緒にしたいと思う脚本家とは
・本打ち(脚本の打合せ)で脚本家に求めることとは
・惹きつけられるプロットとは
・原作ものを映像にする際に、残したいと思うセリフとは
・プロデューサーとしてかかわった作品で心に残っているセリフ
・お好きな作品で心に残っているセリフ
など、内丸プロデューサーが考える『セリフ』について、お話をいただこうと思います。
後半は、会場にてご参加いただいている皆さまからの質問にお答えいただきます。
新井一賞授賞式では、出身ライターの皆さんから脚本家としてセリフとどう向き合っているかなどをお訊きしたいと思っています。
脚本にプロデューサーが何を望んでいるかを知った上で、脚本家のお話しをお聞きすると今後のシナリオづくりによりプラスになることと思います。
まず最初に、プロデューサーと脚本家がいいタッグを組めてこそ、いい作品が生まれてくるのです。
内丸プロデューサーが手掛けた連続ドラマW「アキラとあきら」(WOWOW)第34回ATP賞グランプリ受賞ドラマ部門最優秀賞受賞、連続ドラマW「株価暴落」(WOWOW)・第32回 ATP賞ドラマ部門優秀賞受賞されているのは、そういうことだと思います。