シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。梅雨かと思えば台風だとか・・・。
雨が降らないと作物は育たない。穀雨という言葉もあるくらいですものね。
毎日、グランドプリンスホテル赤坂の前を通ります。この名前、言いにくい。
中学時代は、ホテル目の前の学校に通っていましたし、子供二人も同じ中学だったので、父兄会の後は、必ず赤プリの旧館でお茶を飲んでいました。
そういえば、謝恩会もここでした。なじみの深いホテルです。
なので、改名したグランドプリンス赤坂よりも、私にとっては、子供の頃から赤坂プリンスホテルの名前の方がなじんでいるのですが、もはやどちらの名前にしても姿を消してしまいます。
この赤坂プリンスホテル(私の好きな呼び方でよばせてもらいます)の姿の消し方がなんともおかしいんですね。
昨年の夏くらいから、少しずつ縮んでいっているんです。上から1階ずつ解体しているのだそうです。
タクシーで赤プリの前を通るたびに、運転手さんは、必ず見上げます。(笑)そして、必ず「日本の技術はすごいですね」という話題になります。
みんな気になるんでしょうね。ついに、もうロビー階しかない。
この工法が世界的に注目されています。大成建設が開発した新解体工法「テコレップシステム」というのだそうです。
既存の最上階の屋根を蓋代わりにして、1階ずつジャッキで支えながら解体します。
分解されたパーツはクレーンで保護しながら、ビル内で下ろすので、粉塵や部材の飛散、落下をゼロにするほか、騒音振動も減らせ、かつ、屋内作業なので、天候に左右されないので、工事期間も15%も短くできるといういいこと尽くめの工法です。
色々な建設会社が、従来のうるさく汚い解体を、いかに軽減するかを考えているようで、赤プリ解体も鹿島建設のだるま落しのように下から解体する「鹿島カットアンドダウン工法」と争ったそうです。
大成建設は上から、鹿島建設は下から・・・やり方は違うけれど、これ自身すごい発想の転換ですよね。
従来の解体は、シャベルカーなどでどかどか壊していく、アメリカではドカーンと爆破したりするわけですけれど、これだったらアスベストだとかの問題も解決しそう。
壊すのだけれど、壊さない。作るのと同じやさしさを感じます。
毎日、少しずつ低くなっていく赤プリの姿を見ながら誰が考えたんだろうと感心してしまいます。
人は何かを発想するときに、どうやって考えるのでしょう。
ちょっとしたことだと思います。例えばだるま落し工法って、どうやって発想したかは語られていないので、本当のところはわかりませんが、
「子供とだるま落しをやっている技術者A。子供が一番下をコーンとはじく。「えっつ!」と閃くA。子供「お父さんの番だよ」「ああ、そうだね」とAかなづちをもってはじく。思わず「これだ!」子供、びっくりして・・・」とか・・・違うか。あまりにベタなシナリオすぎ。(笑)
でもね、発想って、ちょっとしたところに転がっていると思うんです。
赤プリ物語はどうでしょ。(またか 😳 )1階ずつ消えていくたびに、その階ごとに生まれた思い出も消えていく・・・なんかできそうじゃないですか。