隣の人
シナリオ・センター代表の小林です。「秋深し隣は何をする人ぞ」
いろいろ気になることがたくさんあります。
私は、一応女性の端くれなので、今一番楽しみなのはアメリカの副大統領カマラ・ハリスさん。
彼女の演説も話題で、「私が最初の女性の副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません。
すべての幼い女の子たち、今夜この場面を見て、わかったはずです。
この国は可能性に満ちた国であると。
私たちの国の子どもたちへ、私たちの国ははっきりとしたメッセージを送りました。ジェンダーは関係ありません。」
これは演説の一節ですが、私が子供の頃、ケネディ大統領を好きになったのも演説を聞いてです。アメリカの子供たちは幸せ。
日本の首相の所信演説で心打たれたことは一度もない、寂しくなります。
男性社会から女性いやジェンダー社会に変わったら、戦争はなくなるのではと私は思っています。「それこそ男女差別だ」といわれるかもしれませんが、母というものはわが子を殺人者にもしたくないし、殺されたくない・・・それは差別だといわれようが産みだすという感情はそういうものだからです。動物だって、子を守るのはほとんど雌ですから。
メルケル首相初め話題のフィンランド、ニュージーランドなど女性の大統領、首相がいらっしゃいますが、コロナ禍においても力を発揮されています。
世界の大国アメリカがナンバー2といえ、加わることで「他人への想い」は変わるに違いないと期待しています。
昔ベストセラーになった「話しを聞かない男と地図が読めない女」でもおわかりのように脳の仕組みが違うのですから。
コロナ禍でネガティブなことばかりが多い昨今、ちょっとだけ明るい未来が見えた気がしました。
おらおらでひとりいぐも
今日、先週から公開されている映画「おらおらでひとりいぐも」の監督、沖田修一監督がおいで下さいました。
芥川賞、文藝賞をW受賞した若竹千佐子さんの小説を映画化したものです。
一人称は東北方言、三人称は標準語で書かれているし、方言はわかりにくいこともあるのですが、夫に先立たれて、娘たちとも疎遠の生活を送っている74歳の桃子の、46億年の歴史や他者と会話を脳内でする話なので、原作は案外読みにくく、はまったらはまるって感じで読みました。
それをどのように映画化されたのかなあと興味を持っていましたので、沖田監督がチラシとポスターを持ってきてくださったので大喜び。
一人暮らしの桃子さんが、湧き上がる寂しさとどう向き合うのか、沖田監督はファンタジーに創りあげました。
桃子さんの心の声=寂しさたちが、音楽にのって内から外へ湧き上がってきます。
寂しさ1・2・3を濱田岳さん、青木崇高さん、宮藤官九郎さんという個性的で芸達者な方々が演じ、桃子さんの若いころを蒼井優さん、歳をとってからを田中裕子さんが演じます。
寂しさたちと付き合いながら孤独の先に新しい世界を見つけた桃子さんの物語です。
賑やかなキャストも魅力ですが、このファンタジー設定をお聞きしただけで寂しさが消えていきそうです。
青春時代から現在と巡る時代、季節を縦横自在に描いて、新しい日常を生きる今、不安や寂しさを受け入れて力強く歩みを進める桃子さん。
「おらおらひとりでいぐも」は、「私は私らしく一人で生きていく」ということ。
若いからこそ見てほしい、桃子さん世代だから見てほしい、世代を超えて、コロナ禍での孤独も癒されそうな気がする映画です。
私は、まだ拝見していないのですが、東京国際映画祭では、小学生の子供が大笑いしてみていたとお聞きし、ますますわくわくしています。