大丈夫?
シナリオ・センター代表の小林です。ここ数日、東京は小春日和のせいでしょうか、巷に人が溢れています。
GOTOトラベル、GOTOイーツがヤバイのではないかともいわれていますが、こういう閉鎖的な状況が長くなると、人間は、怖がりながらも「まあいいや」という感じになってしまうようです。
とはいえ、一番少ない曜日と言われる火曜日の東京感染者数298名、決して安全安心ではありません。
くれぐれも気をつけましょう。
私の身近でも、友人の娘家族が感染されたそうで、家庭内感染は決して他人事ではありません。
くれぐれも気をつけなくてはいけませんが、無症状感染というのは、どう気をつけても、気をつけようがない・・・なかなか難しいものです。
バッハ会長が来日して国立競技場など見て回っているようですが、来年オリンピックはできるのか、無理してやったとして日本は大丈夫なのか、やりたい気持ちとやれることとは違うのですから、しっかりと大局を見据えて考えてほしいものです。
私なら、怖い怖いなのでやりませんが。
アスリートの方たちだって練習もできていない気はするし、本当に克服した証となるまで待ったらいいと思うのですが。
女の一生
今日は、大竹しのぶさんの「女の一生」(森本薫作)を観劇してきました。
名優杉村春子さんの代表作であり、文学座の宝ともいえる作品です。
私は、時間経過のところで、「女の一生」を例にとります。
どこを切り取るか、シナリオは時間を盗めることの例として。
それもあって久々に拝見することにしました。
杉村春子さんが演じられた布引けいを、杉村さんがおいくつだったかは定かではないのですが、私が若いとき観劇しています。
そして、そのときの驚きを今でもまざまざと思い出せるのです。
なにしろ、70歳代かの杉村さんが三つ編み姿の16歳の布引けいで現れたのです。
瞬間、「舞台だからできるんだよね」と思いました。
ですが、忘れられないのは、若作りの、16歳の娘が似合わないと思った杉村さんの姿ではありません。
杉村春子さんが、セリフを口にし、動き出した途端、16歳のけいがそこにいたのです。まさしく16歳のけいが。
その演技力のすごさに、そこから歳を経ていく都度に変わっていく姿、セリフの言い回し、声のトーン、年代ごとに変化していく演技力のすごさにびっくりしたのです。
今回、演技力では定評のある大竹しのぶさんが演じられると知って、これは見なくちゃと思いました。
大竹さん、杉村春子さんに負けないくらい、歳をとる変化を、境遇が変わっていく変化を見事に表現されていました。
「女の一生」には、布引けいのキャラクター、生き方を的確に表す素晴らしい名台詞があります。(舞台なのでセリフではなく台詞と書きたい)
「誰が選んでくれたものでもない。自分で選んで歩き出した道ですもの。間違いと知ったら、自分で間違いでないようにしなくちゃ」
私は、主人公布引けいの生き方を表すこのセリフが大好きで、こうありたいとも思ってもいます。
私の記憶の中で、杉村さんが凛とした姿でおっしゃった気がしたのですが・・・。
今回の演出では、ほかの方もこの台詞の一部を言うのです。
名作は、色々な形で上演されますが、上演されるときや環境の合わせて演出方法も変わります。。
杉村春子さんが演じた「女の一生」の初演は、昭和20年4月戦時中。
そしてコロナ禍の今だからこそ、布引けいだけでなく、そこに登場するそれぞれに「人は間違えるものなのだ」ということを表現させたかったのだと思うのですが。どうでしょう。
大竹しのぶさんは本当のうまい。
台詞が生きるかどうかは、演劇の世界では特に演技者の力が大きいのですね。
改めて、演劇の台詞、映像のセリフの違いを感じながら観劇してきました。
セリフって奥が深いですね。