しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。
シナリオ・センターの新井です。昨日6/11(水)は、映画『はじまりのみち』の監督・脚本を務められた原恵一さんを「Theミソ帳倶楽部」のゲストとしてお迎えしました。実写とアニメの違いをテーマに、シナリオ・センター講師の柏田が原監督の根っこに迫りました。
原監督は今回初めて実写の監督としてメガフォンを取られました。これまで『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年)『河童のクゥと夏休み』(2007年)『カラフル』(2010年)などでアニメーション監督として活躍してこられた方です。そのため
「アニメーションは、絵コンテに秒数も入れる。セリフの速さや表情の見せ方など、監督の生理で決められる。今回の映画は、撮影の期間が短かったこともあり、コンテをほとんど作っていない。そのため、その場でカット割りとカットの判断をしなくてはならず、ボーっとしてられなかった(笑)」
とおっしゃっていました。
アニメーションの場合、何気ないシーンでも全て絵コンテを作って、自分で考えなくてはいけないそうです。ですが、実写映画であれば、役者さんが演技をしてくれます。「当然だけど・・・」とおっしゃっていましたが、そこが面白かったそうです。おそらく、自分のイメージを越えるものがでてきたのでしょうね。
濱田さんと宿屋の娘との何気ないシーン、妙に面白くて長くカメラを回していたそうです。『はじまりのみち』を観ながら、ここかな?と思いながらご覧下さい。
原監督は、木下恵介監督の大ファンだそうです。お薦めは『永遠の人』『日本の悲劇』などだそうです。木下監督と言えば『二十四の瞳』のイメージが強いですが、『永遠の人』を観たい時に、木下監督の凄さに驚いたとのことです。是非、みなさんも観て下さい。
原監督は、誰に何と言われても自分が好きな監督や作品を持つことが大切だとおっしゃっていました。原監督の場合は、木下監督なのだそうです。
同じことを「Theミソ帳倶楽部」でゲストに来られた周防監督もおっしゃっていました。周防監督はさらに、「自分の好きな作品をなぜ自分が好きなのかを分析する」ことを薦めていました。ちなみに、周防監督は小津監督作品ですよね。
自分の好きな監督や作品を持つこと。それは、自分の作品のイメージを明確にすることなのかもしれませんね。シナリオ・センターの柏田講師は『武士の家計簿』の脚本を書いた時は、『喜びも悲しみも幾歳月』を下敷きにしたと話していました。
映画を分析しただけではシナリオが書けるようにはなりませんが、映画の分析を通して、その作品の持つ呼吸のようなものを得ることは間違いなくできると思います。
映画やドラマを見る時は、「面白いなぁ」「感動したなぁ」「つまんなかったなぁ」で止まらず、どこをどう面白く思ったのか、感動したのか、つまらなかったのかを考えると、自分の趣向が具体的にわかってくるのではないでしょうか。