94歳の先輩

シナリオ・センター代表の小林です。
「新井一賞授賞式」が無事に終わって、さて、12月はと思っていた矢先、東京都は、飲食店の時短要請、GOTOイート、都民割の一時停止を発表しました。
11月28日から12月17日の期間だそうですが、かきいれ時の年末に、飲食店は死活問題ですね。
表参道も4月以降、閉店してしまったお店が増えてきています。新年はどんな気分で迎えることができるのか、不安の日々は続きます。
でも、歯を食いしばって、乗り越えていくしかない。いつかきっと・・・と信じて。

暗い話が多い昨今ですが、創立50周年を迎えたシナリオ・センターにとって、50年をなんとかやってこれた喜びを倍増する素敵な話題が飛び込んできました。
通信講座に入学してくださった受講生のＷさんからこんなお話をいただきました。
94歳のお父様が、その昔シナリオ・センターで学ばれていらしたとのこと。
新井一の授業を受け、新人テレビドラマコンクール、全国映画センター創立記念映画脚本募集などシナリオコンクールに数多く入選されており、今でもシナリオ基礎技術の内容も覚えていらして、今月も240枚のシナリオを描きあげられていらっしゃると。
「94歳、シナリオを描いている最高年齢かもしれません」とＷさん。

とても嬉しくてコンクール入選作品がどこかに掲載されてないものかと探しましたが、見当たらず。
残念に思っていましたら、1981年に月刊シナリオ教室3月号と8月号にお名前と作品を発見しました。
誌上でやっていた「20枚シナリオトーナメント」に、Ｗさんのお父様の20枚シナリオが選ばれていました。
ひとつは時代劇「密告」
「天明の飢饉のエピソードがよく描かれています。
よく描かれているというのは、非常に過不足なく描写されていることで省略がうまくきいています。
特に傑出してうまく描かれているのは密告するする弥助の人柄です。
大変エゴイストであることを1つのシーンでだしているのは・・・」とほめています。
もうひとつは現代劇で「亀裂」
「きびきびした書き方で的確な表現は抜群のうまさです。
テーマも今日性の問題をとりあげ、現代社会の競争の苛烈さを描いているのは面白いと思います。（略）
しかし、こうした材料はややもすれば平凡になります。作者の目を感じさせなくてはいけません」
新井がなにがよいのかをほめ、指針を示しています。

皆さんの作品にも通じるものがあると思います。
94歳、今も尚書き続けていらっしゃる。負けられませんね。
「一人でも生き生きと暮らせるのは、本当にシナリオを描くという創造的活動のおかげだと思っております。」とＷさん。
シナリオ・センター50周年記念になによりもふさわしい、一番嬉しいお言葉をいただきました。
ありがとうございました。これからもご活躍を！

私には5人の毒親がいる

出身ライターの太田ぐいやさんが、コミックス「私には5人の毒親がいる」（秋田書店刊）が出版され、ご本を持て来てくださいました。
衝撃的なタイトルですが、これからは合法的に5人の親ができることもあるのだと、驚きとともに納得しました。
精子提供者（父）、卵子提供者（母）、代理出産（母）、育ての母、育ての父。合法的に5人の親ができるというのです。

才色兼備な女子中学生ともみ。中学生になって、初めて5人の合法的な親がいることを育ての親から明かされます。
「5人の親たちはいついかなる時も自由に接することができる」という契約で、ともみはシェアされることになります。
横暴、奔放、非常識、娘依存に、エリート志向・・・の親たちに翻弄される地獄の日々が始まります。

なかなか考えつかない発想ですが、第一巻は、この強烈キャラの親と主人公ともみがこれからどんな展開になるか、キャラクターの紹介とめちゃえぐいエピソード。
登場人物すべてが並大抵なキャラではないので、今後どんなドラマがうまれてくるのかとても楽しみです。
太田さん曰く、1980年代に大ヒットした起伏の激しい「大映ドラマ」みたいな感じで行きたいと。

太田さんは、どこにでもアンテナを張り巡らせていらして、心にひっかかったことを大切にされています。
今回も合法的に5人親ができるという本を読んで閃かれたそうです。
出身ライターの皆さんは、映画、ドラマ、アニメに限らず、漫画原作、小説、ライトノベル、戯曲、ラジオドラマ、ゲームシナリオ等など大活躍をされています。
活躍されるには、どれだけ高感度のアンテナを張り巡らせるかがポイントかもしれません。
アンテナ、しっかりと張り巡らして、面白いネタつかんで描きましょう。