「プロの脚本家は、なぜ書く手を止めないで 続けられるんだろう?」と思ったこと、ありませんか?
そこで、出身ライターの方々に“書き続けられた理由”をお聞きしました。
ブログ3回にわたってご紹介。今回はその第2弾。
書くモチベーションを保つ方法や創作への想いなども書かれていますので、プロの脚本家の方々が書く手を止めない理由や秘訣が分かりますよ。参考にしてください。
なお、今回ご紹介するメッセージは『月刊シナリオ教室』(2020年10月号)に、創立50周年企画「先輩からのメッセージ~先輩に学ぼう!Keep Writing~」として掲載されています。誌面には「シナリオ・センター時代のエピソード」や「近況や展望」もありますので、併せてご覧ください。
Q なぜ書き続けられたのですか?
・篠原高志さん(シナリオライター)
いろいろな人、いろいろな仕事との出会いが大きいです。
・福田裕子さん(シナリオライター)
楽しいからです。作品ごとに(あるいは1話ごとに)新たな世界を知ることができ、登場人物たちとの出会いに溢れているから、常に新鮮な気持ちでいられます。これは脚本家という仕事の大きな魅力のひとつだと思います。おかげでずっとフレッシュ新人ライター気分のままです。
・美輪和音さん(小説家)
モチベーションを保つ方法は、自分にしか書けない作品がある!と信じることではないでしょうか。自分の武器となる得意分野を見極め、それを磨いて突き詰めていくことで、他の人には描けない作品が生まれると信じ、日々、努力を続けています。
・国井桂さん(シナリオライター)
自分の中から創り出したシーンが、役者の芝居や演出によって3Dで立ち上がってくる瞬間、視聴者や観客に届いた時、心が動いたと言ってもらえた時の感動。エンターテインメントはおもてなしということでもあります。また明日から頑張ろうと思ってもらえるエンターテインメント作品をつくる楽しさが、書く苦しさを凌駕しているのかもしれません。モチベーションは人から与えられるものではなく、自分の中からわき上がってくるもの。常に新しいものを送り出したいと思っていれば、続けていける気がします。
・山本むつみさん(シナリオライター)
書きたいことがずっと途切れずにあること、もっと面白いものが書けるはずだと自分に期待していること。そして、いつも「締め切り」があること。締め切りという目標がないと、なかなか頑張れません。
・大林利江子さん(シナリオライター)
映像化したものを見るという楽しみがあるから。
・池田奈津子さん(シナリオライター)
デビュー前に、コンクールでたくさん落選した。一番辛かったのは、だめだった理由が分からないこと。その点、今は原稿がうまく書けなかったときも、読んでくれる人が、必ず感想を教えてくれる。例えしょっぱい感想でも、それが何よりありがたい。今、たくさん落ちている人は、その経験が後々財産になります!
・渡邉真子さん(シナリオライター)
自分自身を振り返ると、とにかく「絶対に脚本家になる」という強い思いに尽きると思います。「いつかなれたらいいな」と「絶対になる」では大きく違うと思います。大好きなドラマを何度も見て、いつか自分もこんな作品を作る側になるんだと自分自身に暗示をかけていました。
・いずみ吉紘さん(シナリオライター)
僕はお芝居をやっていたわけでもなく、自主映画を撮ったこともなく、ただフツーにドラマや映画を楽しんでいた側の人間でしたから、この仕事をはじめてからはただ周りのプロの人たちの足を引っ張らないようにと必死だっただけです。強いていえば、この仕事はいろんな人に元気や勇気を与えることができるいい仕事だと思っています。それが僕のモチベーションだと思います。
・入江信吾さん(脚本家)
①やりたいこと ②できること ③求められること
この三つが満たされている状態が最も健全なのですが、受注案件ばかりやっていると①が遠のき、モチベーションが低下します。私の場合は映画を自分で作ることで解消しました。日頃からSNS等で自分のやりたいことを言い続けるだけでもモチベーションは向上しますし、誰かの目に留まる可能性もあります。
・山浦雅大さん(シナリオライター)
食う為、子を飢えさせぬ為…。夢が無くてスイマセン。あと時折楽しいから。
・佐野誠さん(シナリオライター)
「出会い」です。自分の書いた作品を「面白い」と言ってくれたプロデューサーや監督に出会ったこと。「次はもっと面白いと言わせたい」というモチベーションへと繋がりました。
・八津弘幸さん(シナリオライター)
どうにか喰えるようになるまで15年、名前を認識してもらうまでにはさらに7年、あしかけ22年の僕の意見が参考になるかどうか(笑)。
まず身近に、自分の作品を読んで感想を言ってくれる人を最低二人は作って下さい。そして少なくともその人たちだけには面白いと言ってもらえるものを書く努力を心がけてください。自分が迷いの中にいても、その人たちが面白いと言ってくれたら、自信となって書き続けていけます。
と同時に、相手が求めているものを見抜く力がついてきます。結局はその延長線上に、コンクールの審査員も、プロデューサーも、視聴者もいるのだと思います。自分が書く以上、嫌でも自分の意思は反映されるから大丈夫です。思い切り迎合しちゃってください。まずはそこからです!
・浜田秀哉さん(シナリオライター)
苦しみの量は作品の質に繋がると信じている。それと書くことで感じたストレスは、書くことでしか解消できない。
・Sijaさん(シナリオライター)
「日本と韓国の脚本(ハナシ)が書けたら、韓国(コリアン)にルーツがある私が、日本で生まれ育った意義があるかな」という想いがあります。なかなか結果が出ないときは、「脚本は長距離走だから」という先生の言葉を想い出すようにしています。
・目黒啓太さん(脚本家・映画監督)
書きたいという欲求はもはや呪いのように自分の中に棲み付いていると感じます。読んだだけで強い感動を届けられるような、そんな力のあるシナリオを書きたいと常に思っているのですが、その願望はいつまで経っても満たされず……だから「もっと良いものを書きたい」と思い、書き続けているのだと思います。そういう意味でも、人に読んでもらうことはとても大事だと思います。
・大北はるかさん(シナリオライター)
モチベーションが上がらない時は、無理に書こうとせず、知見を広げるための時間に当てるようにしています。自分が生きていく上で感じたことは、きっと世界のどこかにいる人も同じように感じているはずで、そんな人達にとって少しでも希望となれる作品を書けていけたらと思います。
・髙野史枝さん(シナリオライター)
「書くことを仕事にしたい、ここで学べばきっとそれはかなう」と思い、20枚シナリオをはじめ、企画書やシノプシスの書き方など、課題には何でもチャレンジしました。どれも「使えました!」。30年近く書くことで食べてこられたのは、シナリオ・センターに出会ったからだ……と、深く感謝しています。
・さらだたまこさん(日本放送作家協会理事長)
創作は、生きるエネルギーになるからです。既存の価値観をひっくり返し、負のエネルギーを常にプラスに転換する楽しみがあります。その工程は過酷ですし、心を晒さないとできない仕事ですが、いい意味で、何事も畏れない露出狂になれます。
・関えり香さん(シナリオライター)
書き続けてこられたのは、飽きっぽい性格なのに書くことだけは飽きなかったから。もし自分に「才能」があるとしたら、「結局は書くことが好き」ということに尽きると思います。小説とは違って自分の脚本をもとに大勢のキャスト・スタッフが動くので、ラブレターのつもりで書いています。
・森下佳子さん(シナリオライター)
あくまで私の場合ですが、モットーとかポリシーとかがなかったのが幸いしてると思います。人の話に「面白いねぇ」と乗っかったり、「この小説面白いんだよー」とか言ってるうちに日々が過ぎていった気がします。モチベーションを保つ方法は「書かせてもらえるありがたさ」を忘れないことですかね。後、一応、毎度毎度、密かに小さなチャレンジを設定して、企画に向かってます。多分人様には伝わらないほど些細なことですが(笑)。
・藤平久子さん(シナリオライター)
とにかく書き続ける環境に居続けることなのかなと思っています。同じ志の仲間、脚本家ではなくても、創作を志して労苦を共にする仲間との繋がりが大切だなと感じています。
・太田ぐいやさん(シナリオライター)
幼い頃から真面目に育てられたので「真面目さ」だと思います。両親には感謝しています。時に真面目さは不自由ではありますが、カントの自由論によれば理性的な行動こそ真の自由ですからね。年々、世の中にはあまりにも真面目ではない人が多いので、普通に真面目にやっていれば、書き続けられますし、脚本を生業にできると思います。
・内館牧子さん(脚本家)
「こんな話、書きたいなァ」と思うことがモチベーションかもしれません。
・土橋章宏さん(シナリオライター・小説家)
書きたいから書いてるので、特には……。いい椅子を使うと腰がいい感じです。
・桑原亮子さん(シナリオライター)
作品を書くたびに新しい世界に出会えるので、書き続けてこられたのだと思います。脚本を書くこと自体の楽しさを忘れなければ、書き続けていけるのではないでしょうか。
・清水有生さん(脚本家・幼稚園園長)
退路を断つこと。
・大久保ともみさん(脚本家)
自分だけじゃどうやったってモチベーションなんて私は保つことができないです。ありがちですが、出会った人達に支えられてきました。途切れず場所を与えてもらえたという運にも恵まれました。人と運って本当に大事です。
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▼第1弾「書き続けられた理由 ~出身ライターからのメッセージ~」