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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

12月の日本

「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」(双葉社刊)

七人の秘書

シナリオ・センター代表の小林です。今日の東京都感染者595名、高止まりが続き、全国各地で感染者が拡大しています。
専門家会議や分科会など政府の医療関係者からも、政府にも国民にもGOTOトラベルの停止、静かな年末年始対応を要請しています。
にもかかわらず、菅首相は停止をする様子がありません。
「心からお詫びする。
ただ、クリスマスシーズンを楽しむ代償に、我々が払う犠牲が1日590人の死者だとするならば、私にはそれは受け入れ難いのだ」と国民に呼びかけたドイツのメルケル首相との違いに、なんだか涙が出てしまいます。
経済活動は確かに大事です。
ですが、大変なことかもしれませんが、死ななければまたやり直すことができます。
あの戦後の復興を思えばなにほどのものでしょうか。
けれど、死んでしまったらなにもできない、亡くなった方は二度と帰ってはこれないのです。
死者の数は数字はなく、一人一人が本人だけでなく家族もまわりの人々も今までの生活を奪われたことを意味するのです。
単なる数字として見るのではなく、その数字の中にこめられた命を生活を大切にしてほしいと切に願うばかりです。

昨日、中園ミホさんの「七人の秘書」最終回を見ました。
悪を暴く勧善懲悪のドラマとして、毎回視聴率はアップし、最終回は16.7%までいきました。
凝ったドラマではないのですが、悪を懲らしめるお話にストレスを大いに発散させていただきました。
最終回は、悪のフィクサー財務大臣の粟田口を遂に追い込む話です。
元秘書の萬に向かって、大臣「底辺の奴らはへいこら従っていりゃいいんや」
萬「底辺って?」大臣「国民や、国民!」
悪を暴露された途端に「すべては秘書が勝手にやったことです。私は何も知りません。」
どこかで何度も聞いたセリフですが、もしかしたら、このセリフ、実際にニュースで聴くことになるかもしれませんね、近々。(笑)
ドラマは世相を映します。
「半沢直樹」も「七人の秘書」も今の社会を反映しているのでしょう。だから受ける。
さて、来年はどんなドラマが人気を博するのでしょう。
「越後屋、お前も悪よのう、うははは・・・」

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん

昨年12月にアフガニスタンで殺害されたNGO「ぺシャワール会」現地代表の中村哲医師を描いた絵本が1周忌にあたる4日に日本で出版されました。
この絵本は、アフガニスタンの絵本作家が手がけた原作を、歌手のさだまさしさんらが日本語に訳されました。
4日は、アフガン東部ジャラバードでは追悼集会が開かれたそうです。
「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」(双葉社刊)
この絵本は、診療所を建て、用水路を作った実際のお話を書かれた「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」(作ザビ・マハディ/絵ゴラム・レザ・ハビビ)と、中村医師との対話から生まれたファンタジー「カカ・ムラドと魔法の小箱」(作ハズラット・ワハリーズ/絵ルスタム・ラ、マザン)の2作で構成されています。
とても安易な言葉で、中村医師が、医療だけではなくどうして用水路づくりに励んだのか、どのようにして造られ、そのおかげでどうなったのか、また中村医師がどんなお人柄だったのかということをやさしく描いています。
作者のマハデさんは「武器を持たない英雄がいること」を子どもたちに伝えたいと物語を書かれたそうです。

2001年衆議院テロ対策特別委員会に参考人として中村哲さんがよばれました。
アメリカのアフガニスタン攻撃の後方支援に自衛隊を出すかどうかの是非を論議するために参考人として呼ばれたのです。
その時中村医師は「自衛隊派遣は現地の人々の日本に対する信頼を崩しかねない。有害無益です」ときっぱりと語られました。
戦争放棄を明示している平和憲法を持っている国だからこその信頼だと。
するとその時、自民党の議員は怒って、ヤジを飛ばし、途中で話をやめさせました。
忌憚のないご意見をと言って、呼びつけたにもかかわらず。
でも、中村医師は怒ることもなく淡々とお話をされていました。
中村医師は、とても辛抱強い方であり、大きな心をお持ちだったのだと思います。
情けない話ばかりです、日本は。

でも、だからといって、諦めていいわけではありません。
ご存じのように中村医師は、感染症の原因が水だとわかり、きれいな水を供給するために用水路づくりをされました。
そして、今砂漠のような土地が緑の大地に生まれ変わり、自給自足から農業へと動き出しています。
また、この取り組みを広げるために、アフガニスタンの人々は中村医師が続けてきた堰や水路づくりを学んでいます。
人は、世の中は変わることができるのです。
せめて、底辺の私たち同士は、手を携えて協力していければと思います。

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