「起承転結の起ってどう書けばいいの?」というかたは、今回ご紹介するポイント「オープニング3分」を是非おさえてください!
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
魅力をつけるための構成もある
構成というのは、方法論としては、材料の並べ方である、ということを申し上げました。しかしその並べ方ですが、何でもいいからと、時間的順序だけで話を並べても、理屈としてはわかるのですが、それでは感動を与えることはできません。
では、感動的な並べ方はどうするのかというと、すでに申し上げた「起承転結」、さらに世阿弥の「序破急」、フライタークの「3部5点説」は、すべて観客に対して、いかに感情的に訴えるかという順序を述べたもので、これは洋の東西を問わず、構成は同じということです。
しかしただ話がわかればいい、感情に訴えればいい、それで目的を達したと思いがちですが、それだけでは構成とは言えません。なぜなら、魅力がなければ、どんなに構成がよくても、お客は見てくれません。
オープニング3分に魅力をつける
私たちが、構成だ何だのと言っているのは、お客に見てもらうためですから、見てもらわなければ意味がありません。では、どうするか。ドラマの構成の上に、もうひとつ、魅力の構成を重ねるのです。
つまりドラマの「起」のところは、最大限の魅力を与えるのです。
トップシーンのところは、まだ芝居が始まっていないので、魅力のつけ方はむずかしいのですが、ここに魅力をつけなければ、お客はノッてくれません。
よくテレビでも、オープニング3分と言われます。この3分に魅力を付けないと、テレビはチャンネルを回されてしまいます。
「起」のところは、ドラマが始まる紹介だけでなく、全部のシーンに魅力を作ることです。その後はだんだん少なくなっても、構いません。なぜなら、ドラマが進んでいくので大丈夫なのです。
そしてラストは、クライマックスを過ぎると芝居がなくなりますから、ここでまた魅力をどんどん増やしていくのです。
「起」と「結」にそれぞれ魅力を付けることが、いかに大事か、名作を見ればわかります。ラストシーンに名場面があるのは、実はこの魅力付けによるものです。
出典:『月刊シナリオ教室』1993年6月号「新井一 十則集」/2015年1月号「新井一.com」
※動画「受け手の心をどっちでつかむ?ファーストシーンの書き方」もご覧ください。
※「起承転結の承は、 脚本家の才能 の見せどころ」も併せてご覧ください。
※「ケツ、見つめよう。“結”を意識するだけで、伝える力が変わる」も併せてご覧ください。
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
今回の記事をご覧になって「ちょっとシナリオ、書いてみたいな…」と思われたかた、是非お気軽にご参加ください。
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
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