三寒四温
シナリオ・センター代表の小林です。今日は暖かい、桜の開花ももうすぐというので、ちょっと春模様に衣替えしたら、風が冷たく、寒い。
う~ん、まだまだ油断大敵、昔から三寒四温と言われているし、昼夜の寒暖の差も気をつけないと、コロナばかりではなく風邪をひいてしまうかもですね。
くれぐれも気をつけましょう。
東京の感染者数またまた340人、こちらも油断大敵、気を引き締めなくてはいけません。
私たちは、すっかりコロナ馴れしてきて、自分は大丈夫みたいに思いがちです。
でも、考えてみたら、ワクチンができたといってもどこまで効くのかわからないし、治療薬はできていないし、亡くなる方も後を絶たない、根本的に改善されたわけではないのです。
今年の桜は早いようですが、東京の公園では花見はできませんし、お店も時短ですし、昨年同様花見も遠くからとなりそうです。
それでも、コロナが収まってくれるなら、桜のように潔く我慢しようではありませんか。
明けない夜はないのですから。
本当に心から楽しめる春が来るのはいつになるのでしょうか。待ち遠しいです。
妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。
先日、小説家の吉川英梨さんがいらしたときに、作家エージェントの方もいらして、吉川さんだけでなく、シナリオ・センター出身の方を何人かマネージメントしているとのお話をお伺いしました。
そして、そのセンター出身のおひとりズュータンさんのご本をくださいました。
「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。」(ポプラ社刊)
小説ではありません。ノンフィクションです。
作者のズュータンさんの実話であり、また同じようにマルチ商法に家族がハマって困られた方々の声を7年かけて集められています。
マルチ商法というのは、連鎖販売取引という販売形態の通称で、違法な商法ではないということをこの本で初めて知りました。
ですが、悪質なマルチ商法は、オウムのようなマインドコントロールをして、人の心を狂わせてしまうようです。
合法的なビジネスであっても、購入者が新たな購入者を勧誘し、販売することで手数料を得るという特殊な形なので、人の心に入っていくことが商売の大きなポイントになるのです。もちろん、どんな営業でも、人心をつかまないとうまくいきませんから、当たり前のことなのですが、マルチ商法の独特なやり方は、実際にズュータンさんの奥様のように、その勧誘者を信じて、ハマっていき、夫の言葉も耳に入らずに離婚し、家族崩壊をさせてしまうのです。
勧誘者の優れた話術と接し方は人の心に取り入っていきます。褒め、否定せずに受け入れたりしながら巧みにマインドコントロールをしていくからです。
マインドコントロールを解くべく、必死に色々なことを試みたズュータンさん、結局それはうまくできなかったのです。
ズュータンさんの奥様のみならずそれぞれの事例を読むと、本当に難しいと思います。
商品そのものがろくでもないのなら割と簡単なのかもしれませんが、さほど悪いものではない商品を信じてしまったら、そして勧誘者そのものを信じてしまったら・・・。
私は、「痩せる」とかいうフレーズにすぐ反応してしまいます。(笑)
「痩せたい」気持ちをどんどん攻められたら、どうなるか、ま、究極の怖がりなのでハマりはしないとは思いますが、誰にでもそういう面ってあるものだと思います。
その昔、大阪校は、シナリオ作家養成講座を教室近くのホテルの会議室を使って行っていました。
いくつもある会議室では、必ずと言っていいほどマルチ商法、ねずみ講などのセミナーが行われていて、その話が漏れ聞こえてくるのですが、実にうまい。
初めは疑心暗鬼でいた参加者の目の色が変わっていく、顔つきが変わっていく様子を何度も目の当たりにしました。
新井一などは、話術のうまさに感動して、勉強になるなぁなどと笑っていましたが、私は、シナリオ・センターも同じだと思われはしないかと心配でした。(笑)
この本は、本当に他人事ではない、誰もが陥るかもしれないということを感じさせてくれ、単に騙されるのが悪いのだと個人の問題として片付けるのではなく、社会の問題として見つめていかなくてはいけなということを訴えています。
「事実は小説より奇なり」ドラマになりそうな事例ばかりですが、これが本当にあったことなのですから、今のように鬱気味になりそうな心の隙間に入りこまれないように気をつけなければと思います。
常に何かあったときに他人事ではないと考え、想像することは、今特に必要なことかもしれません。