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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

知る権利

「太陽の蓋」上映後の対談 菅さんと橘さん
 

3・11

シナリオ・センター代表の小林です。今日は東日本大震災から10年目。
早いようでもあり遅いようでもあり・・・。こういえるのは、私自身が被災していないからで、被災者の方々にとっては、失ったものの大きさは計り知れず、明るく過ごされていても、心の中は時薬などなんの効き目もないのではと思います。
せめて、暮らしに困らないで、前へ向けるようであってほしいと願うばかりです。
天皇陛下が追悼式で「震災を過去のこととしてではなく、現在も続いていることとして捉えていく必要があると感じます。」と述べられたというニュースを見て、本当にそうだなぁと思いました。先月の地震も東北の方々はまた悪夢の再現と感じられたことでしょう。
夢であれば覚めるのですが、10年前に起こったことは夢ではないので、私たちは過去をしっかりと見据えて、二度と同じ想いをしないですむように、一人でも辛い思いをしないようにしていかなくてはと思います。
政府・官僚に任せても、ちゃんとしてくれそうにもない昨今の体たらく、だからこそ、私たちがガンガン言って、お尻を突っついていかなくてはいけない気がします。

ル・モンド、フィガロ、リベラシオ紙などフランスの各新聞が、3・11の特集を5~6ページにわたって特集しているそうです。
「経済発展の水準も政治体制もフランスに近い日本が、我々に安全性より目先の利潤を優先することの危険性を突き付けた」と。
よその国に指摘されるとは。

太陽の蓋

午前中に、福島原発を描いた映画「太陽の蓋」を観てきました。
5年前にできたこの映画は、10年目の今年、90分にまとめられて再上映となりました。

2017年に元衆議院議員の高橋昭一さんにミソ帳倶楽部でお話をいただいたことがあります。
高橋さんは2009年から13年まで当時の与党民主党議員として、東日本大震災と向かい合われました。
高橋さんは阪神大震災を体験された経験から政治で命を救いたいと思って国会議員になられた方で、なので、東日本大震災に直面してその経験を存分に生かすためにどうしたのか、国会議員の仕事とは何か、政治にできることは何かというお話をお聞きしました。
その時、この映画「太陽の蓋」は、限りなく真実に近いので、上映してもマスコミはあまり取り上げてくれなかったというお話しをされたので、どんなに一般に見せたくない映画なのかとても興味をもっていました。

ノンフィクションではないのですが、その時の菅首相、枝野官房長官、福山副官房長官等などは実名で登場し、福島原発の水素爆発が起き、次々へと大きくなっていく、それを止める手立てを持たない官邸・政府・東電の混乱ぶりがつぶさに描かれています。
130分の映画を90分に再構成しての上映で、前の作品はわかりませんが、無駄なく新聞記者を狂言回しに、自然の怖さ、御しきれない原発というモンスター、人間の心をわかりやすく巧みに描いていて、あっという間の90分でした。
限りなく真実に近いと高橋さんがおっしゃっていたことの一番は、官邸が最初の水素爆発を知ったのは、爆発が起きた1時間後のテレビニュースで、東電からは一報も入っていこなかった、知らされていなかったことです。
官邸にいた東電の副社長が直接イチF(福島原発)と情報を共有したいという菅首相に戸惑ったため、統合本部を作らねばと本社に乗り込む菅首相。
そこで、初めて現場と本社は、前々から繋がっている知り、愕然とするのです。
東電が何故情報を官邸にすぐ出さなかったのかは描かれていないですが、隠蔽体質はどこでもかしこでもはびこっているのですね。

上映の後、制作の橘さんと菅元首相が登壇され、30分ほどのお話がありました。
実際にご本人の口から知らされてなかったとお聞きし、映画以上に改めて驚きました。
社員を全員撤退させたいという東電に、「撤退はさせない」といったというのも本当のお話しで、社員の命が大切なのはもちろんですが、専門家なしでは何もできないことをわかっていたが故の、そして、この先どんどん爆発が起こったら日本中がどうなるかを十分知り尽くしていた故の苦渋の決断だったようです。
このまま、次々と爆発したら250キロ圏内が放射能に汚染される、幸いなことに、水が入って4号機が爆発しなかったので東京は免れたのですが、そこまで元菅首相は想定していらしたそうです。
何とかくいとめられたのは現場の方々の決死の努力の賜物で、これ以上広がらずにすんだのは神様のおかげだと。

この映画でもわかるように、私たちが知らされていないことはいっぱいあります。
このコロナ禍で、隠蔽体質の官邸・政府・マスコミは、私たちにどれだけ隠していることがあるのだろうと思ってしまいました。
せめて、3・11の記者魂をマスコミが取り戻して、民が奴隷の意味で終らないように、目をふさがないように、真実に向かい合い、真実を教えてほしいと思います。
まだ終わっていない3・11を、福島原発を忘れないで、アンダーコントロールなど嘘をつかずに、ちゃんとやるべきことをやる、きちんと責任をとる姿勢を持つ、大人として、人としてやるべきことを、政治家たちは考えてほしいです。
高橋さんが、「政治が救える命があるんです」と4年前おっしゃっていましたが、その言葉が事実であってほしい、そうであってほしいと切に願います。

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