大賞を受賞したからこそ経験できること
毎年、沢山の生徒さんが応募している「フジテレビヤングシナリオ大賞」。
大賞を受賞すると賞金の他、“ドラマ化”という特典があることも大きな魅力です。
では、ドラマ化にあたって、受賞者はどんなことをするのでしょうか?
受賞後のことや、大賞を受賞したからこそ経験できることはあまり報道されないので、気になっている方も多いのでは?
そこで、今回は第32回フジテレビヤングシナリオ大賞で大賞を受賞された的場友見さん(本科修了)のコメントをご紹介します。
受賞作『サロガシー』は、堀田真由さん主演でドラマ化され、3/24(水)24:55~25:55に放送されます。これを記念して、フジテレビではオンラインによる記者会見を実施。
質疑応答の中から、的場さんが語った
①監督やプロデューサーとの直しの作業
②撮影現場の見学
③今回の映像化を経ての感想と今後
――の3点に焦点を当てて、リポートします。
「大賞を受賞すると経験できること」が分かるとともに、次回応募へのモチベーションアップにも繋がると思います。ぜひ参考にしていただき、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞に応募してください。
『サロガシー』あらすじ
独身の江島環(28)は、同性愛者である兄・江島聡のために、代理母出産(=サロガシー)することを決意。 妊娠4ヶ月を過ぎた頃、事後報告として両親に妊娠の事実を告げる。兄がゲイであることを知らなかった両親は取り乱し、環の決意も全く理解しようとしない。一方、聡は産まれた子どもを引き渡すときの妹の心理的負担を考え、環の母性本能の目覚めを心配していた――。
「感性で受け止めてほしいところを重視して決定稿に」
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『サロガシー』シーン ©フジテレビ
〇的場さん:決定稿になるまで、尺の問題で結構な枚数を削りましたが、監督の清矢明子さんとプロデューサーの荒井俊雄さんのお知恵をおかりしながら削っていったので、完全に良くなっていると思います。
登場人物が多く、また、「人物それぞれの背景を書き込みたかった」ということもあり、主役が出てこないシーンや戸籍の問題など、“情報”として入れておきたかったところが結構あったので、そこを省いていった感じです。視聴者の皆さんに、“情報”としてではなく、“感性”で受け止めていただきたいところを重視して、決定稿にできたかなと思います。
直しの作業は、清矢さんと荒井さんが作品に対してものすごく深く理解しようと、真摯に向き合ってくださったので、つらい事や大変な事は全然なかったです。
尺の関係でどうしても削らなければいけなくて、3人それぞれ「じゃあココを削ろうか」みたいなアイデアを持ちあいました。そもそも、私はコピーライターとして文章を書くことを生業としていますので、仕事柄、「削るのは絶対嫌だ!」みたいなことはないんです。むしろ清矢さんや荒井さんのほうが思い入れが強くて、「ココは削りたくない、残そう」という部分が沢山あって。
「こんなに大切に思ってくださるんだ」と、日々のやりとりの中で小さな感動を覚えましたね。自分の書いたシーンの意味や価値を客観的に教えていただいた、良い機会になりました。
「主人公 環役の堀田真由さんは完全に“環”だった!」
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『サロガシー』シーン ©フジテレビ
〇的場さん:主人公・環の役は凄く複雑で演じるのが難しいだろうなと思っていました。誰かキャストを想定して書いたわけではなかったので、全くイメージがついていなかったのですが、実際現場を見せていただいたら、環役の堀田真由さんは想像をはるかに絶して完全に環だったんですよ!
環というキャラクターは、単純にサバサバしているとか、自由奔放とか、一言では言い表せない。何か内に深いものを抱えているけれど、それが暗さとかイライラとかガティブな空気ではなくて、人としての魅力につながっているといいな、というイメージで書いていたんですね。言うのは簡単ですけど、どう表現するんだろう?と思っていました(笑)。
でも、堀田さんの演技を見て、母親とのやりとりで言い返すところや、ちょっとバカにして笑うところとか、全てが本当に嫌味じゃなく魅力的に見えて。「この人は何かちゃんとした思いがあって、こういう態度をとっているんだ」と伝わってきたので、完全にベストマッチなキャスティングだなと思いました。
他の皆さんも、イメージ通り、いえ、イメージ以上で嬉しかったです。
最初にご挨拶に伺ったとき、堀田さん・環の兄役の細田善彦さん・兄の彼氏役の猪塚健太さんが和気藹々とお話しされていたんです。細田さんと猪塚さんはペアリングをずっとつけたままで、本当にカップルのようで、いい空気だなって(笑)。
私は緊張してうまく喋れなかったんですけど、お三方から「この作品に出れて凄く嬉しいです」「いいホンをありがとうございます」と言っていただけて凄く嬉しかったです。その後、堀田さんともう少しお話しする機会があって、「ホンを読んで、他の人にこの役をやってほしくなくて、絶対自分がやりたいと思いました」と。これも本当に嬉しかったです。
(左から)的場友見さんと堀田真由さん ©フジテレビ
「書きたいものは沢山あるので、企画はいくらでも出せます」
〇的場さん:小説も漫画も映画もドラマも、どんなコンテンツも好きなので、今後はオリジナルものだけでなく、原作ものも書かせていただけるのであればやりたいと思っています。
書きたいものは沢山あるので、企画はいくらでも出せます。
今回、初めて映像化に携わって、“字や絵で見るもの”と“映像で表現するもの”の違いが、少しずつですが分かり始めてきています。色々なものにチャレンジすることで、新しい発見が沢山あるんじゃないかなと思っています。
※受賞作『サロガシー』の内容や受賞会見の模様はこちらの記事「第32回フジテレビヤングシナリオ大賞にみる/受賞の決め手は何か」をご覧ください。
フジテレビヤングシナリオ大賞に応募する方はこちらのブログも併せて
▼「第31回フジテレビヤングシナリオ大賞にみる/賞をとる作品とは?」
▼「第30回フジテレビヤングシナリオ大賞にみる/どんな脚本が賞をとるのか」