保つ
シナリオ・センター代表の小林です。東京は、桜のつぼみも膨らみ、気持ちの良い天気です。
春の訪れは、普通でも心躍るのに、コロナ禍では余計に嬉しくなります。でも・・・これって、まずいですよね。
このウキウキ感、花見やゴールデンウイーク、どんどん高揚していきそうで、解除したらどうなるのか怖いです。
4月・5月に蔓延したらオリンピックは完全にノックアウト状態?
今日の東京感染者300人、増加しているようですが、「打つ手なし」の政府はきっと来週は解除するんでしょうね。
それにしても、これほど無策に国民の命を軽々しく扱うとは、ミャンマーで国民を撃ち殺すのと同じようなものだと思います。
自分の国の民をどう思っているのか、世界中が狂ってしまっているのでしょうか。
軟禁状態が長く続くと、人は想像力を失うのだと思います。
今は、世界中がコロナ軟禁の態です。
想像力が欠如するということは、広い視野でみれなくなるので、どうしても主観的になりやすく、客観的にものごとをみたり、捉えたりすることができにくくなります。
早く自由に動け、人に会えるようになりたいですが、まだ無理であれば、努めて広い視野を持てるようにしていかなくてはと思います。
恋に焦がれたブルー
出身ライターの宇山佳佑さんの新作が出ました。
「恋に焦がれたブルー」(集英社刊)
待ちに待ったラブストーリー宇山ワールド全開です。
宇山さんは、脚本家であり小説家、2足の草鞋で大活躍の方です。
「スイッチガール」「主に泣いています」「信長協奏曲」等ドラマを、「今夜ロマンス劇場で」は小説に映画脚本も。
そして、50万部突破というベストセラー「桜のような僕の恋人」「この恋は世界で一番美しい雨」とともに、今作の「恋に焦がれたブルー」は究極の恋愛小説を書かれていらっしゃいます。
宇山さんの新作「恋に焦がれたブルー」はこれ以上の愛はないかも思わせる究極のラブブストーリーです。
「恋に身を焦がす」という表現があります。
ほとんどがかなわぬ恋に悶え苦しむという表現として使われますが、この主人公の渡良井青緒(わたらいあお)は好きな人を想うと、本当に身体が焦げてしまう、耐え難い痛みとやけどのケロイドになってしまう不思議な病にかかっています。
靴職人になりたい夏目歩橙(なつめあゆと)は、高校の入学式なのにぼろぼろのローファーを履いている青緒をみて、自分の作った靴で笑顔にしたいと思い、まっすぐに青緒にぶつかっていきます。
最初は驚いた青緒もそのひたむきさに惹かれていくのですが、彼を愛おしいと思えば思うほど、青緒の身体は傷ついていくのです。
実際に脳の誤作動から起こる病気だそうで、今のところ治療法はありません。
愛すれば愛するほど体を傷つけ死に至る、どうにもならない越えられない大きな障害をもったふたりの恋がどうなるのか、この恋愛にハッピーエンドはあるのか、切ない切ない物語です。
絵本の「シンデレラ」がキーなのですが、歩橙の創る靴はガラスの靴になるのか、シンデレラは幸せになれるのか、驚くような発想で物語は進んでいきます。
「桜のような僕の恋人」「この恋は世界で一番美しい雨」、そして「恋に焦がれたブルー」この3作は、私は「究極の宇山ワールド三部作」と勝手ながら名づけたいです。
というのは、「桜のような僕の恋人」の主人公は人の何十倍もの速さで歳をとっていく難病、「この恋は世界でいちばん美しい雨」は、恋人同士が事故にあい、ふたり合わせて20年の余命を授かり生き返りますが、お互いの命を奪い合わねばならないという運命になるという、この3作、愛だけではどうにもならない大きなカセでどこまでも主人公たちを追いつめ、これでもかというほど揺さぶり続けるのです。
こんな恋愛小説はちょっとない、本当にすごい発想で、キャラクターが素晴らしいことはもちろんですが、さすが脚本家、映像として見えるように描いているのも、宇山ワールドの特徴だと思います。
今作は色をうまく使って、悲しみや喜びを表現しています。
50万部を突破した「桜のような僕の恋人」が、Netflix映画として映像化が決定したそうです。全世界同時配信、すごいですね。
宇山さんが脚本を書かれていないのが残念ですが、世界的な恋愛小説になっちゃいますね。すご~い。
主人公、朝倉晴人役はSexy Zoneの中島健人さん。有明美咲役を松本穂香さん。2022年の公開に向け、ますます話題となりそうです。
創作を志す方は、絶対に3部作、通しで読んでいただきたい。
私がつけた「究極の宇山ワールド」の意味をきっとご理解いただけると思います。
カセの使い方がどれだけドラマを盛り上げるのか、これ以上いい見本はありません。
どうぞ、たっぷりと宇山ワールドに浸かっていただきたいと思います。