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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

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新井一

新たな

シナリオ・センター代表の小林です。今日から始まった学校は多いのでしょうね。
大きなランドセルを背負った可愛い新1年生の姿が目に浮かびますが、なんだかいまいち、活気がありません。
大学はほとんどがリモートになってしまって、昨年は新入生も退学してしまった方もでてしまったり、7割対面授業した大学が大人気で受験者数が圧倒的に増えたとかを聞くと、いかに人は、人とのふれあいを求めていて、それがどれだけ大切なことなのかがよくわかります。

シナリオ・センターでも、通学とオンラインのハイブリッド講座を行っています。
通学(対面)2割、オンライン(LIVE配信)8割という受講状況でしょうか。
4月から、ゼミもハイブリッド化を目指して、大型モニターを設置して、いくつかの出席者の多いクラスから始めています。
昨日は、柏田講師の作家集団に、出身ライターの葉月けめこさんも参加してくださり、初めてのハイブリッド授業を楽しんでくださいました。
まだまだ、改良していかなくてはいけないことがいっぱいですが、センターもひたすら試行錯誤しながら、楽しく書き続けていただけるよりよい環境づくりに励んでいきます。
何かご意見ご希望などがありましたら、ご連絡のほどお願いいたします。

繋がり

橋田壽賀子先生の急逝は、ドラマ界を震撼させましたが、とはいえ95歳でいらっしゃったのですから覚悟をしていなかった我々のほうがおかしいのかもしれません。
でも、橋田先生は不死身だと誰もが思っていた気がします。
橋田先生と言えばホームドラマですが、ドラマは、サスペンスでも社会劇でも大半がホームと関わっています。
なぜかというと、ホームが人間の起点になっていますし、もうひとつ人間の二面性が、必ず家庭にあるというのも見逃せない点だと新井は言っています。

日本でホームドラマというのが生まれたのは、なんと今放映中の朝ドラ出身ライターの八津弘幸さん脚本の「おちょやん」(NHK)で描かれています。
ご覧になっていらっしゃる方は、おわかりでしょうが、おちょやんと一平さんが創った劇団が「鶴亀家庭劇」。これは、松竹をモデルにしているんですね。
松竹といえば歌舞伎ですが、もっと生活に密着したドラマということで家庭劇と新派を創ったのだそうです。ホームドラマ発祥といえるでしょう。
なので松竹映画は、ホームドラマの巨匠と言われる監督や脚本家を多く生み出しました。
橋田先生も松竹の脚本部にいらしたので、ホームドラマをお描きになられたのでしょう。

昔のホームドラマは、善良な家族、父母こどもたちと祖父母とかのパターンが多かったのですが、今は家族と言っても、家庭と言ってもいろんなパターンがあります。
ひとり親や、女系家族などから「きのう何たべた?」のような男同士もありますし、設定としては面白いものが創りやすい時代です。
ホームドラマはキャラクターといわれます。ま、どんなドラマも一番大事なものはキャラクターなのですが、ホームドラマの場合は、ストーリーはサスペンスなどと比べたら希薄な展開ですから、しっかりとキャラクターを作る必要があるのですね。
新井は、「ホームドラマを描く時は、ストーリーは二の次にして、どんな人物か、一人につきペラ(200字詰原稿用紙)1枚くらいの性格表をつくってみることです。
この性格表によって、その人物が男所帯なのか、女所帯の母娘であるか、等の人間関係が明確に想像できれば、ホンはできたも同然です。
また、人物については、いくらか喜劇的要素が必要です。
ホームドラマは喜劇と悲劇の中間に位置するものだし、ストーリーも希薄な展開ですから、そこに一種の人間批判、或いは社会風刺も必要です。」(シナリオの技術から)
フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞された的場友見さんの「サロガシー」は、妹が、兄が愛している男性のために代理出産をするお話しですが、家族の在り方だけでなく、それぞれの人としての生き方が描かれた素敵な作品でした。
ホームドラマは、単に家族の話しというのではなく、社会派として思想の流れ、風俗の流れを見つめていくもの、人間性を追求していくものでもあるのです。
橋田先生は、コロナ禍での家族の姿を描いてみたいとおっしゃっていらしたそうです。それを拝見できないことがとても残念です。

橋田先生のお話を書いていたら、橋田賞脚本賞を受賞された出身ライターの橋部敦子さんが向田邦子賞を受賞されたという朗報が入ってきました。
おめでとうございます。本当に嬉しいニュースです。

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