地域活性の主役は10代
シナリオ・センターの新井です。
シナリオ・センターは、2021年で51年目を迎えます。次の目標はもちろん100周年です。あと50年かけて、日本中の『想像力・創造力』を豊かにすべく、「一億人のシナリオ。」プロジェクトも、どんどん加速させていきます。
2020年の末にジュニアビレッジさんからのご依頼で、地域活性化を目的にしたPR動画の作り方講座を開催しました。しかも対象は、10代の子ども達です。かれらが地域の農業をテーマにビジネスに挑戦するお手伝いをしてきました。
超高齢化社会を迎えるという日本では、地域の活性化という問題はさけて通れません。解決のためには、子どもたちが生まれ育った地域にどれだけ関わるか、関わりたいと思うかが大切になってくるのではないでしょうか。
子どもたちにPR動画の作り方を伝える
今回、『一億人のシナリオ。』のキッズシナリオとして、そんな地域活性化に力を入れているジュニアビレッジさんの取組みのお手伝いをさせて頂きました。ジュニアビレッジさんは、地域活性化を目的に、中学生を中心とした10代の子ども達が、農業をテーマにビジネスに挑戦するコミュニティスクールです。横須賀、浜松、菊川の3拠点と新井の自宅をオンラインでつないで、題して『広報大作戦!自分たちが考えた商品を、PRする動画のつくり方』を開催しました。
自分たちの商品を動画でPR!
各拠点から参加してくれたのは、中学生を中心に、小学6年生から高校生までの皆さんです。
普段は、それぞれの拠点で農業のスペシャリストから土作りの方法を学んだりしながら、その地域ならではの商品開発をしているそうです。ビジネスに挑戦というのも面白いですが、それが地域に根差しているというのも、おもしろい点です。商品開発を通して、普段気にしていなかった地域のことに興味を持つことができます。
今回は、開発が進んでいる商品を、多くの方にPRするための動画制作を一緒にしていきます。制作した動画は、販売するときの店頭だWEBサイト上だったり、さまざまなところで活用する予定です。
チームそれぞれに、動画で伝えたいことをひと言にしてもらうと、
・横須賀チーム
「横須賀野菜をつかった、ぜいたくな野菜のよさ」
・菊川チーム
「中学生が作ったハーブティ」
・浜松チーム
「ふつうのお菓子とは違うところ」
伝えたいことを伝えるためには……
それぞれのチームごとに、自分たちが伝えたいテーマは何かを整理してもらいました。ふつうであれば、このテーマを伝えるために、『起』や『承』を考えます。
ですが、PR動画やビジネスにおいては、実は『結』を考えるのが大切です。『結』はテーマの定着と余韻を伝えるという機能があります。『結』のシーンでは、観客がテーマをじんわり感じます。
なので、自分たちが『何を伝えたいか』以上に、それを観たお客様に『どう伝わるといいのか』に発想を転換させるのが、『結』だといえます。動画を観たお客様に、何を感じてもらいたいかを考えるとも言えます。そのため、テーマが伝わったときに、お客様が『結』でどう感じているかも考えてもらいます。
「横須賀野菜をつかった、ぜいたくな野菜のよさ」
『結』:幸せになれそうな予感
「中学生が作ったハーブティ」
『結』:頑張ってるんだなぁ~買ってあげたいな
「ふつうのお菓子とは違うところ」
『結』:笑顔になっている
『転』『結』に向かって作っていく
今回の講座の中では、さまざまなPR動画の例を挙げながら、解説をしていきます。
『転』『結』まで決まったら、あとはそこに向かって、『起』『承』を考えていきます。
『起』では、テーマに対してあるあるの悩みで始めるパターン、謎で始めるパターンの大きく二つあります。
▼参考にしたあるある悩みパターンの動画▼
▼参考にした謎で始めるパターンの動画▼
そして、悩みや謎を解決していくのが『承』です。
『承』は、数々の障害を主人公が乗り越えていく姿を描く機能です。ドラマの7割から8割が『承』。PR動画の場合、尺を調整したければ『承』ですることができます。『江東ブランド』みたいにドラマ仕立ての方法で、『承』を作る方法もあるし、資生堂の動画のような方法で、最初にちょっと謎をだし、映像だけで『承』の解決策を見せていく方法もあります。
参加してくれたお子さんたちも、各拠点でグループになっていろいろなアイデアを出してくれました。ここまでくれば、簡単なシナリオと絵コンテまで完成です。かなり面白い動画ができそうな予感がします。
▼参考にした資生堂のPR動画▼
身近なものの良さをさがす力
『灯台下暗し』という言葉があるくらい、身近なことほど知らないものです。自分たちの住んでいる地域の課題も、実は解消する方法は身近にあるかもしれません。
お子さんたちの動画作りのなかにも、そういった身近にある価値を気づいたからこそというアイデアを感じました。さらには、商品を購入してもらいたい大人の世界を、お子さんたちがどのように捉えているのかも垣間見えます。
『地域の活性化』×『ビジネス』
という切り口に、PR動画という作家の眼が加わることで、購入する人への興味、そして、私たちが根差す社会への関心というものが、一段と深くなるのではないかと思います。さまざまな経験を起点に、お子さんたちの視点が広く、高く、そして深くなってくれたらと思います。
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