どうする、どうする
シナリオ・センター代表の小林です。天気も良くてとても気持ちの良い表参道です。
それなのに、お天気とは裏腹に、コロナは日本中に蔓延しており、東京の今日の感染者843人、ゴールデンウイークに合わせて、緊急事態宣言発出だそうです。
でもねぇ、もう数字を見ても驚かなくなってしまいました。だって、お上や政治家はもちろんのこと、医師会だろうが分科会だろうが、数字と医療崩壊、自粛しかいわない、そんなことは、火を見るより明らかで、わざわざもっともらしく会見しなくたって、誰もがわかりきっていることです。
西村大臣が「強い措置を集中的に」ともっともらしく言いますが、具体的に強い措置ってな~に?罰則ばかり作っても、全く効果がないということは、もう見えているのですから、適切な措置をしなければ、人出は止まりません。
本当にロックアウトしか手段がないなら、もはや背に腹をかえられない人々を追い込むように罰するのではなく、手厚い保護をすればいいのです。
倒産しないように、餓死しないように、学校で学べるように、手当を出す、それしかないと思います。
北風よりも太陽でいきましょうよ、お上の皆様。
二つの映画
コロナも吹き飛ばしそうな映画がゴールデンウイーク明けに公開されます。
ひとつは、「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」(5/7公開)
脚本は、出身ライター杉原憲明さんです。
実話に基づいたお話しで、小学校の道徳の本にもなっているそうですが、1998年、長野オリンピックで金メダルをとったジャンプ団体の裏で彼らを支えたテストジャンパーのお話しです。
2回目の試技の前に猛吹雪になり、このまま終われば日本は4位のままで終ってしまう事態になった日本のジャンプ団体。
起死回生を図ろうとするが果たしてこの吹雪で試合ができるのか。
審判団の判断は、テストジャンパー25名全員が無事に飛べたら、2回目を行うという。日本の金メダルへの道を託されたテストジャンパーたちの物語です。
私は、この映画でテストジャンパーという存在を知りました。
ジャンプ台の雪を固める、危険がないか確かめる仕事なのだそうです。
この映画は、前回金メダリストだった西方選手が、悔しさをバネにしてテストジャンパーとして、仲間のテストジャンパーを引っ張り、一丸となって試合まで持ち込んでくれた、私たちが知らない舞台裏のお話。日本代表選手が金メダルを獲得できたのは彼ら決死のテストジャンプのおかげなのです。
当時、そんな大変なことが裏で起こっていたことも知らずに、私は、原田選手等が涙と鼻水にぐちゃぐちゃになった姿を見て、見事な逆転劇に感動していました。
本当の金メダルはテストジャンパーたちだったのですね。
私たちはつい、スターにしか目が行きませんが、お上の一声ではなく、地味に本当の意味で支えてくれている裏方の方々が舞台を整えてくれるからこそ、色々な意味で生きることができるということに想いをいたらなければと思います。
このコロナ禍で開催しようとするお上の方々に、見てもらいたいです。口先だけでは何事も飛べないのだということを。
もうひとつは、「大綱引きの恋」(5/7公開)出身ライター篠原高志さん脚本です。
鹿児島県薩摩川内市に420年続く勇壮な「川内大綱引」があります。
この大綱引きを舞台に、家族の、恋人の、さまざまな愛の物語です。
ラストの壮大な大綱引きのシーンは、それぞれの登場人物の背景・事情が重なって、感動を呼びます。
365メートルもある大綱を押し合いへし合いしながら、太鼓を合図に綱引きをするその勇壮なイベント。
ですが、そう、これもまた綱一つ作ることをはじめ、多くの裏方たちの仕事なくしてはできないことなのです。
佐々部監督と脚本を描かれた篠原高志さんは、この映画のなかで、大綱引きを通して、それぞれが覚悟を決めて生きる道を探る姿を描いています。
この映画の監督をされた佐々部清監督は、この公開を見ずして2020年3月31日に急逝され、まさかの遺作となってしまいました。
佐々部監督は、「チクソクの夏」「半落ち」「夕凪の街桜の国」「ツレがうつになりまして」など多くの映画を手掛け、2019年には北原白秋と山田耕筰の友情を描いた「この道」も監督され、こちらは出身ライター坂口理子さんが脚本を描かれました。
監督は、常々、作品さえ見てくれればいいとおしゃっていたとか、監督の心意気をみていただければと思います。