今回は新井一が考える、審査員が読みたくなる作品の条件についてご紹介。「コンクールで賞をとりたい」というかた、まずは、「どんなことを意識すれば人を夢中にさせる作品が書けるようになるか」を考えてみましょう。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
読みたくなる三条件
コンクールの審査員の先生方を思わず引き込んでしまう要素とは何でしょうか?
読んでいくうちに、さらに先に進みたくなる作品があります。
それには次の三条件があります。
①今日性(話題性)があること。
②視点がしっかりしていて今まで見たことのないようなアイディアのあるもの。
③人物のキャラクターに魅力があり、その組み合わせにアイディアがあること。
①の今日性というのは、常に新しいものに興味を持ち、追いかけるという人間の特性です。③のキャラクターというのは、ありきたりではなく、人物に魅力を持たせることです。
作家の視点からくるアイディア
では②の視点とはどういうことでしょうか。
コンクール審査員が興味のないのは、「前にどっかで読んだことがあるぞ」という設定やストーリー展開。それと、誰でもが取り上げる、ものの見方です。
古い例で恐縮ですが、例えば『忠臣蔵』を取り上げる時に、『仮名手本忠臣蔵』のように大内蔵之助を中心にするのか、それともアベコベに、相手の吉良上野介のほうから書く裏返し忠臣蔵の見方もありますし、橋田壽賀子先生の『女たちの忠臣蔵』では、細君のほうから見た見方もあります。『四十七人の刺客』のように、浪士から見るやり方もあるわけです。
いずれも作家の視点からくるアイディアです。これならば「ん?どっかで見たことあるぞ」ということにはなりません。これには作者の視点に確固たるものがなければなりません。視点といっても、誰でもが考えているような、例えば勧善懲悪のような視点では、それこそ「ああそうか」でおしまいです。そのために作家は常にすべての世の諸々のことについて、ひとつの考え方を持たなければいけません。
どんなにつまらないことでも、雨にしょぼぬれた子犬を見た時、かわいそうにと思うか、汚ねえなと思うか、別に、拾って家に連れて帰ることはありませんが、その時の感情の動きを客観視する癖をつけておくといいですね。
出典:『月刊シナリオ教室』1995年11月号「当選するための十則集」/2016年9月号「新井一.com」
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。
2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
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