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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

視点

出身ライター橋部敦子さん向田邦子賞受賞で

恐怖

シナリオ・センター代表の小林です。今日から東京、大阪は大規模会場ワクチン接種が始まりました。
私の連れ合いは、明日接種ですが、私は、まだ申し込みをしていません。なんだかいまいち積極的になれなくて、ま、ぼちぼちでいいかと・・・。
普段、人一倍元気で、インフルエンザの予防接種をしたことがない人ですから、どうも乗り気にならず。ま、どうしてもお上が信じられないからかもですが。(笑)
だって、恐ろしいこと言うじゃありませんか。
「日本が初めてパンデミック下での五輪開催のモデルとして」とか「緊急事態宣言下でもオリンピックはできる」とか、わけがわかりません。
ソフトバンクの孫さんじゃないですが「誰が何の権利で強行するのか」って、私も思います。
オリンピック関係者に限らずお上関係は、怖いもの知らずの方々だというのは、この1年で身に沁みてわかっていますが、それでも、今の状態でオリンピックはどうでしょう。
選手だけでなく、IOC関係者(ことのほか人数が多いのにびっくりですが)、各国のマスコミなんだかんだ10万人といわれる方々が、隔離もスルーで、ボランティアや記者にはワクチンも打たないで、東京のみならず各県の会場を動いたら・・・大丈夫だと「安心・安全」と本当にいえるのでしょうか。
オリ・パラピックを強行するとすれば、7月中旬から9月初旬まで表参道はパンデミック大会になりそうで、シナリオ・センターは、皆さんの安心安全のためにはお休みにしなくてはいけないかもと・・・想像すればするほど恐ろしくなるので、目を背けたい気分です。ア~、まさかと思いたい。

自分は

このコロナ禍だからこそ、シナリオや小説を書きたいという方が増えてきて、とても喜ばしいことだと思っています。
表現するということは、自分の考え、想いを伝えることですから、「日本中の人々にシナリオを描いてもらいたい」新井はきっと天国で喜んでいることでしょう。

先日開講した142期シナリオ作家養成講座の皆さんの入学の動機を読ませていただいています。
脚本を描きたい、小説を書きたいと想いは様々ですが、その動機づけは大きく2つにわかれていました。
一つは、自分が何をしたいのか、何をすべきなのか、将来どうしたいのかを考えて。コロナ禍で普段以上に考えられたようです。
もうひとつは、心を揺さぶられた映画、ドラマ、小説、書き手に出会って。
この二つの共通するのは、自分の想いを託したい、形にすることができるということを創作の中に見出されたことです。
ものを書くという作業は、常に自分と対峙してなければなりません。
ある意味辛いことですが、どんな似通った話でも、誰一人同じものは書けません。だから楽しいのです。

ドラマや小説のネタを探そうと、新聞、雑誌、ネット、ツイッターや近所の噂話まであらゆるネタをとり上げて、それをそのまま書く人がいます。
もちろん、ミソ帳を作ることを提唱しているシナリオ・センターとしては、あらゆることにアンテナを張り巡らして、どんな些細なことでもネタになるのですから、感度良好にしてネタをたくさん持ってほしいと思っています。
ただ、数多くネタを探すことも大事ですが、そのネタを、何故取り上げたかったのか、私はこう考えたからという見識がなければ人を感動させることはできません。
新井一は「こうした視点をもって、初めて作家となる」と言っています。

毎週楽しみに、関心を持って拝見しているのが、橋部敦子さん脚本のドラマ「半径5メートル」(NHK・金曜日22:00)。
週刊誌編集部を舞台に、一面的にものを見てしまう若手女性記者風未香が、違う視点から色々な面を見るベテラン女性記者宝子とバディを組ませられ、成長していくというお話ですが、まさに、視点がテーマ。
1話では「おでんおじさん」。スーパーでおでんのレトルトを買おうとしていた主婦に「おでんくらい自分で作れよ」といったおじさんが発端になって、手作りってなに、家族ってなにと掘り下げていくのですが、その掘り下げ方が並じゃなく、こういう視点ありかと、橋部さんお見事。
身の回りの半径5メートルの話題、同じ題材を、二人が全く違う視点で見ていく、宝子はあらゆる角度から見て「これが正しい」ではなく「こういう見方も考え方もあるよね」とさりげなく、自分の視点を作れと教えてくれます。
ようは「自分の頭でちゃんと考えていこう」ということ。
向田邦子賞を受賞された橋部さんの視点の見事さ、切り口の鋭さは、もうあっぱれという他にないです。
ドラマの中でも、脚本を通してでも、もの書きに必要なことを教えてくれています。
もの書きを目指す方、是非とも見てなくちゃだめです。

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