menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

違い

愛について語るときにイケダの語ること 池田さんのイラスト

地方

シナリオ・センター代表の小林です。九州は大雨がという天気予報ですが、今日の東京は夏空です。小さな国なのに、細長―い国(?)のせいか、地方地方で様々なことが違っています。
気候ももちろん、土地柄も違えば、お国柄?生き方というのでしょうか、すべて変わっているのは当たり前のこと。
20年以上サクランボをお願いしている山形上山の果樹園から、この冬寒くて凍土になり、私がいつもお願いしている品種がほぼ全滅と連絡をいただきました。
今冬の山形の寒さの中、雪の果樹園でストーブを焚き、ビニールをかけたり、いろいろなことをやってきたけれど、収穫は少なく、実のなりもまだわからないので、もしかしたら送れないかもと詫びを言う、電話から聞こえてくる私の大好きな山形訛りのオバチャンの声は、心なしか寂しそうでした。
「確か何年か前もあったよね、でも何とかなったよね」と励ましながら、自然と常に向き合いながら戦っているのに、何もできない私は恥じるばかりです。
コロナ禍では、自治体によって対応も全く変わっているようですが、それも土地によって育まれる精神性が違っているからなのかもと思います。
東京がバタバタしているのはある意味様々な地方のるつぼだから、統一感とかがないのかもですね。いわゆる江戸っ子、東京人は少ないし。
生まれ育ちも含めて、それぞれがみな違うわけですから、そうした違いを大事に尊重し合うことが、コロナを乗り切るための力になるかもしれません。

愛について語るときにイケダの語ること

違いを認めるというのは、難しいものなのでしょうか。いまだにLGBT法案の通せない、性的マイノリティへの偏見を良しとする方々が君臨していますしね。

出身ライターの真野勝成さんがプロデューサー、脚本を担当された映画「愛について語るときにイケダの語ること」が、6月25日、吉祥寺アップリンクを皮切りに全国公開となります。
この映画は、生まれつき四肢軟骨無形成症(通称コビト症)という障害を持つ池田英彦さんの初主演、初監督の映画です。

池田さんは、40歳の誕生日を目前にスクルス性胃がんステージ4と診断され、「今までやりたいことをやりたい」と。
池田さんの死を意識した行動は、性愛に偏っていき、自分と女性のセックスをカメラに収まる「ハメ撮り」にハマっていきます。
そして、それらを映画として遺すことを企てます。
20年来の友人である真野勝成さんが協力して撮影された素材は60時間、池田さんの死を持ってクランクアップされました。
池田さんの「僕が死んだら映画を完成させて、必ず公開して欲しい」との遺言に従い、真野さんと「マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画」の佐々木誠監督が編集して完成させました。
この映画の監督で主演の池田さんは2015年10月25日に他界されています。

コビト症という障害を持った池田さんが、最後になにを遺したかったのか、なぜ自分の性愛を映画にしたのか。
真野さんは「池田は自分に対する人の優しさに対して、どこか苛立っていたようです。
善意と偽善の境界線は曖昧で、池田はそれを問い詰めたりしませんでしたが、自分を善なるものに押し込めようとする何かに対して、自分の闇を叩きつけたいという衝動が人生最後に爆発したのだと思います。
奇しくも東京パラリンピックとほぼ同時公開になった本作品は『こんなやつも生きていた』という本当の意味の性を見せてくれる作品だと思います。」と。

私は、まだ拝見していませんが、今の世の中がすべての違いを受け入れるようになることへの礎になる映画ではないかと思っています。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ