==学童保育を担当されている先生や、「放課後を有意義に過ごしたい!」という生徒の皆さん、今回ご紹介するキッズのようにシナリオを書いてみてはいかがですか?==
キッズシナリオを担当している新井は小学生の頃、学童保育に通っていました。
「でも、高学年になるにつれて、ちょっと子どもっぽく感じたり、家でゲームをやっている方が楽しくなって、足が遠のいてしまった……」と新井。
こう感じている子どもたちは今も少なくないようです。
というのは、台東区立 谷中小学校 放課後子供教室(放課後NPOアフタースクールさん運営)担当のかたも、「5・6年生の居場所がないんです……」と仰っていたからです。そこで、そんな5・6年生でも楽しめる企画としてキッズシナリオ(全3回)をオンラインで実施することに。
なお今回は、シナリオ・センター在籍生で、映画『15歳の総理大臣』の監督・脚本を手掛けた胡麻尻亜紀さんからのご紹介がキッカケ。当日は、胡麻尻さんにもご参加いただきました。
終了後、子どもたちは「超楽しかった」「参加して良かった」「明日またセリフ書きたい」と満足そうな顔で下校したそうです。なぜ、こんなに楽しんでもらえたのか。その模様をご紹介。
=今回の概要==============
・サービス名:「ショートムービーを作ろう!」
・目的:映画作り
・対象:NPO法人放課後NPOアフタースクールさま
・時間:45分×3回
キッズシナリオの詳細 https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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「思いっきり ふざけていいですか?」
まずは発想ゲームから。
架空の人物「校長先生 河原田権三」はどんな人物か。
年齢・服装・得意な教科・クセ・特徴(〇〇な先生)を考えてもらいました。
ご覧ください。こんなにアイデアが!
〇新井:わー、いっぱい出ましたね。この発想ゲームで何を考えてもらったのかというと「登場人物のキャラクター」。皆さん、物語を作ろうと思うと「こんなことがあったら……」と出来事を考えますよね?
皆さん、「え、違うの?」というお顔。
〇新井:でも、「この出来事にどんな人物が関わってくるのか」を考えるとより面白くなるんですよ。何かが起きたときに、「こういうキャラクターなら、こんなことするよね」と考えると面白い物語が書けるよ、ということをまず最初にお伝えしたかった!
皆さん、頷いております。
〇新井:それでは次に、シナリオを書いてもらいます!テーマはこちら。
〇新井:廊下を走って見つかってしまう人も決めてくださいね。自分がイメージしている河原田権三先生のキャラクターならこう言うな、こういうことをするな、というのを忘れないでくださいね。お手元にあるシナリオのプリントに書いてください。
すると、質問が。
〇生徒さん:あの……思いっきり ふざけていいですか?
〇新井:もちろん!放課後なんだから思いっきりふざけていいし、自由に書いていいんですよ!
ニコニコ顔の皆さんが画面に映っています!
「続きを書きたい!」
シナリオを書き始める前にこんな質問も。
〇生徒さん:セリフを書く「」(カッコ)のうしろにスペースがあるので、そこに登場人物の行動を書いていいですか?
〇新井:あ!すばらしい!よく気づきましたね。その空いたスペースには、「そのセリフをどう言うのか」「言った後どうするのか」といった行動やしぐさを書いてください。これを「ト書」といいます。
ほかにも「音を入れてもいいですか?」「廊下を走って見つかってしまう人、放送されているアニメの登場人物でもいいですか?」等々、皆さんからいろいろな質問が飛び交い、その後、作業スタート。
すると、画面から「フフフッ」という声が聞こえます。
新井が覗いてみると、「面白くてやばい」と笑いながら書いてくれている生徒さんが見えます。
当初は5分くらいで書いてもらう予定でしたが、「まだこの先も書きたい!」とプリントの裏面に書いてくれている生徒さんもいたので、もう5分延長。この間に数名の生徒さんが下校の時間となってしまったのですが、ギリギリまでシナリオを書いて、「また次回も楽しみにしています!」と挨拶してくれました。
そして、皆さんまだまだ書き足りないといった感じでしたが、一旦発表へ。
時間の関係で2人に発表してもらいました。
1人目の生徒さんが書いた河原田権三先生は、酒癖が悪く、いつもお酒を飲んでいて、この日も二日酔い。
発表後は新井と胡麻尻さんの感想タイム。
〇新井:この河原田先生は、朝から酔っぱらっているんだね(笑)。どんな先生なのかすごくよく伝わりました。キャラクターがちゃんと出てますね。
〇胡麻尻さん:もしかして、お酒が大好きな人が身近にいるのかな?「酔っぱらった人」の描き方がとてもよくできています。それから、お笑いが好きなのかな?
生徒さんビックリ。実は、学校で“お笑い係”をやっているんだとか。
〇胡麻尻さん:やっぱり!だからシナリオのテンポが良くてキレがいいんですね!
〇新井:日頃の“鍛錬”の賜物だね!
生徒さん、ニコニコです。
もう一人の生徒さんが書いた川原田権三先生は、すぐにモノを壊す先生。
〇新井:「学校を壊すぞ!」というセリフ、ト書の「グーパンチ」、それから、シナリオが「川原田、髪をむしる」で終わっているところ等々、最初から最後まで川原田先生のキャラクターがよく出ていますね。河原田先生の「一緒に走る?アホ!」というノリツッコミのセリフも面白い!
〇胡麻尻さん:本当に河原田先生のキャラクターが随所に出ていました。「この先をもっと聞きたい!」と思わせるようなシナリオでした。
ここで本日のカリキュラムが終わり、新井が“締め”に入ろうとすると、画面の中の皆さんがまた一斉にシナリオを書き始めました。
〇新井:うれしいな。皆さん、早く続きが書きたいんですね。
〇皆さん:もっと書きたいです!
〇新井:続きを書くことができるのは、登場人物のキャラクターを考えているからこそできることなんですよ。河原田権三がどんな先生なのかきちんと決めているから、これから先のセリフや行動・しぐさがどんどん出てくる。だから、今日皆さんにやってもらった「物語を書くときは登場人物のキャラクターを考える」ということを忘れないでくださいね。
〇皆さん:はーい!
* * * * *
谷中小学校 放課後子供教室 担当のかたによると、皆さんの希望により、翌日もこのシナリオの続きを書いてくれたのだそうです。完成したシナリオは胡麻尻さんが「ここいいね!」といった感想やアドバイスを入れて返却する予定。
新井が次回、皆さんにお会いするのは7/1。「動画づくりワークショップ」を予定しています。またレポートしますのでお楽しみに!
>>7/1実施の2回目の模様はコチラで
「谷中小学校 放課後子供教室/ 絵が苦手でも映像は撮れる」
>>3回目
「短時間でも映像は作れる!/子どもがのびのびと自己表現できる場」
なお、この模様を紹介している「谷中小学校放課後子供教室ブログ」も併せてご覧ください↓
・「高学年ビッグプロジェクト始動開始!!『シナリオプロジェクト』プログラム」
シナリオ・センター公式ブログこちらの記事も是非ご覧ください。
※その他、キッズシナリオの模様も併せてご覧ください。
■「新渡戸文化小学校で、キッズシナリオプロジェクト開始!」
■「@ 新渡戸文化小学校 デジタルクリエーションクラブ ①キャラクターの作り方」
■「@デジタルクリエーションクラブ/②目に見えない 気持ちを映像で表す」
■「@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識」
※「シナリオ・センターでは、どんな授業や研修を実施しているんだろう?」というかたはこちらの記事「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」をご覧ください。