応募総数 687本
ダイキン工業株式会社主催,シナリオ・センター協力で実施した「第1回ダイキン工業くうきのシナリオ大賞」。
応募総数はなんと687本。優秀賞に選ばれた111本の中から、最優秀賞1本が決定。受賞したのは兼重日奈子さん(WEB本科)の『未来のくうき、いかがですか?』
6/21には、発表&授賞式の模様をYouTubeでライブ配信しました(※)。
そのダイジェスト版として、こちらのブログでは、「なぜこの作品が受賞したのか」が分かるシナリオ・センター代表の小林による講評と「書き手の視点」が分かる兼重さんのコメントをご紹介。
ダイキン工業さんによると、第2回の実施は現時点では未定とのことですが、もし次回募集があったとき、また、他の脚本コンクールに出すときの参考にしてください。
まずは、このコンクールを開催した経緯からご紹介。
第1回ダイキン工業くうきのシナリオ大賞 開催の経緯
ダイキン工業 ご担当者によると、工場で空調機器を作っているスタッフはお客様と実際に話す機会がなく、加えて、新型コロナウィルスの影響で地域の人たちとも接する機会も失ってしまったのだそう。
そこで、お客様とつながる場として、社内YouTubeプロジェクト「くうき産直工場」を開設。YouTubeやTwitterを中心に活動していく中で、今まで関わりのなかったより多くの人たちと繋がるイベントを何かできないかと考えた結果、シナリオ・センターでの受講経験がある新入社員のかたの発案によって、今回のコンクールを開催することになったと言います。
募集したテーマは「エアコンなど空調機器の購入」もしくは「エアコンなどの空調機器の故障」。10~15分程度の実写映像化を想定した完全オリジナルのシナリオ。
審査を通して、「かたいテーマだったと思いますが、胸を熱くさせるようなシナリオが多く、感動しました。エアコンを軸に、どのような物語を繰り広げるのか、非常に楽しませていただきました。今後、空調機器を開発する際、思い浮かべるお客様像がより多様になると思います」(ダイキン工業 ご担当者)とコメントされていました。
そんな胸を熱くさせた沢山の作品の中から、なぜ兼重さんの『未来のくうき、いかがですか?』が最優秀賞に輝いたのか。次の章では、シナリオ・センター代表・小林の講評をご紹介します。
『未来のくうき、いかがですか?』講評
〇小林:『未来のくうき、いかがですか?』の主人公は女子高生。母親を亡くして、父親と二人になります。父親は娘のために会社を辞めて、たこ焼き屋を営んでいますが、ある日、その父親が倒れてしまう。また、店で使っていたエアコンも壊れて……という物語。
まず、すごく良かったのが構成。「母親を亡くして~」といった主人公の背景を描くとき、多くのかたは回想を使うのではないかと思います。でも、回想を使うと“説明”になってしまう。
兼重さんは、回想を使っていません。回想を使わずに時系列に描写していく、という流れの作り方は簡単そうに見えますが実は違います。きちんと構成を考えないとテンポよく展開していかない。この“入り方”が効いているが故に、主人公の父親に対する気持ちや、自分の未来に対する気持ちがしっかり出ていました。
2つ目に良かったのは、映像でイメージできるシナリオになっているところ。例えば、シャッターの張り紙にお客さんがメッセージを書くとか、セリフで言わせるのではなく、映像として見せていて、とてもうまく出来ていました。
3つ目は主人公のキャラクター。たこ焼きをどのくらい焼いて売ればエアコンが買えるのか考えたり、エアコンが落ちていないか探してみたり、友達や周りのみんなに愛されているキャラクターというのがよく出ていました。
そして何より、クーラーが壊れて「暑い!」というのが伝わってきました。たこ焼き屋にはエアコンがいかに必要か、よく分かりました (笑)。
兼重日奈子さん受賞のことば
兼重さんは、自分の作品が受賞したことを、6/21の発表の瞬間まで知りませんでした。急に名前を呼ばれビックリ!
〇兼重さん:どうしよう……えー!!!信じられない……。ずっと前に“ぴちょんくん”を手に入れて、毎朝ずっと祈っていました。
今回、どういったものを書くか考えるにあたり、ダイキン工業さんのホームページ・Twitter・YouTubeを拝見しました。いろいろな湿度の実験をされている動画からは、エアコンを作ることに対する誇りがすごく伝わってきました。
それから、たしかホームページで拝見したと思うのですが、CM動画『換気でお店と街に元気をプラス篇』で「お店が元気になると町が元気になる」とメッセージしていて、現在の状況下で大変な思いをしているお店に向けて、ダイキン工業さんは「気持ちの良い風を送る」というカタチで応援されているんだろうなと感じました。こういった部分が伝わったらいいかなと思いました。
兼重さんにサプライズ!
発表から数日後、兼重さんがシナリオ・センターに来てくださいました。しかもこの日、たまたまダイキン工業さんから別件でお電話があり、兼重さんとお話しすることも出来ました。
せっかくお越しいただいたので、賞金100万円の手ごたえを感じていただこうと、新札100万円をご用意。代表・小林から手渡しさせていただきました。
手が震える兼重さん。
安全・安心を考えて、賞金は後日、お振込みすることに。この“のし袋”のみ、記念にお渡ししました。
また、兼重さんが所属されているWEB本科クラス担当の土橋講師がサプライズで登場。いつもはZOOMの画面上でしか会えないので、とっても喜んでいただけました。
ささやかではありましたが、対面でのミニ授賞式もできましたので、こちらもとても嬉しかったです。
ダイキン工業さんによると、受賞作の映像化は未定とのことですが、弊社発行の『月刊シナリオ教室』でシナリオを掲載することが決まりました!掲載号が決まり次第、また告知いたしますのでお楽しみに。小林が述べた講評のポイントに注目しながら是非読んでみてください。
※6/21にYouTubeでライブ配信した発表&授賞式の模様はこちらで視聴可能です↓
※コンクールで賞をとりたい方に向けたお役立ちコンテンツも沢山ございます↓
■主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧
https://www.scenario.co.jp/online/20548/
■第32回フジテレビヤングシナリオ大賞にみる/ 受賞の決め手は何か
https://www.scenario.co.jp/online/27133/
■第38回シナリオS1グランプリにみる/グランプリを受賞する脚本とは
https://www.scenario.co.jp/online/26463/
■脚本コンクール で賞をとる4つのポイント
https://www.scenario.co.jp/online/19528/
■コンクールで賞をとるにはキャラクターが重要
https://www.scenario.co.jp/online/18928/
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