生徒の皆さん、新井がお伝えしたことを活用!
5月から、新渡戸文化小学校のデジタルクリエーションクラブの生徒さん(4~6年生 約20名)に向けて、キッズシナリオ(全4回)を実施しています。
前期の最終日7/8に発表する「ヒトもしくはモノ(造形物)を登場人物とする映像」を制作するため、その “ヒント”を隔週で新井がお伝えしてきました。
今回ご紹介するのは最終回となる4回目。皆さんに作品を発表してもらいます。
「たった3回レクチャーを受けただけで、子どもが面白い映像を作れるようになるの?」と思われた方。これからご紹介する生徒の皆さんの作品画像&新井の講評を読むとびっくりすると思います。レクチャーでご紹介してきた「キャラクターの作り方」「気持ちや目的など見えないものを映す」「ロング バスト アップを意識」を確実に吸収し、使いこなしているからです。
また、生徒さんのこういった姿を通して、新井は「これからの子どもたちがデジタルとどう共存していくのか、未来を見たような気がする!」と感動していました。
それはなぜか。早速、発表の模様をご覧ください。
①歩きながら撮影された「地面」
冒頭、海老沢先生が「もうちょっと作業をしたい人はいますか?」と聞いたところ、
大半の生徒さんが撮影場所にダッシュ!3階のフロアはガラガラに。
各々、最後の仕上げに取り掛かっております。
その後、作品発表スタート。一番に名乗りを上げたのはこちらの生徒さん。
映し出されたのは、歩きながら撮影された「地面」。
新井、びっくり。
〇新井:人を撮らないなら何を撮るか、と考えたら「空」とか思いつきそうですが、「地面」を選んだところが絶妙!この発想が面白いです。
②『呪いの教室』
こちらの作品を発表した2人の生徒さんは、少し恥ずかしがり屋さん。上映中、隠れてしまったのですが、観ていた生徒の皆さんはどんどん引き込まれていきます。
このシーンが終わるとすぐに、皆さんから「すごい」という声が!
〇新井:すごかったですよね、続きが気になりますよね。「ろうかへ行け」「9のロッカー」といった指令が書かれた紙をアップで撮っていました。これによって、観ているコチラも「次はどんな指令が来るんだろう……」とドキドキする展開になっていました。
③『羊の物語』
お次はこちらの4人の作品。
〇新井:「この羊はどうなるんだろう?」と気になって見入ってしまいました。あと、この羊の声。可愛い姿からは想像しなかった意外な声で面白かったです!
④燃えるサメのアニメーション
こちらの生徒さんはサメが好き。
〇新井:サメが燃えるってすごい発想。面白いですねぇ。それから、サメが燃える前にちょっとユラユラッと動く。ここがイイ。 ちょっと動かすことで、その後の“燃える”という展開を引き立たせています。
『迷いの森の誘拐事件』
こちらの作品を制作した生徒さんは発表前に、「ちょっと残酷になりすぎているかもしれない。発表しない方がいいかな……」と心配していました。
〇新井:オープニングからもう「あ、これ恐い話だな」というのが分かりますよね。こだわって作っていることがよく分かります。さきほどお話したときに「ちょっと残酷になりすぎているかも……」と心配していたけど、ちゃんとサスペンスになっていましたよ。「ナイフで切られる」というところを、イラストを少し揺らしながら、ちょっとずつアップにしていくことで表現していましたね。それによって迫力が出ていました。
⑥赤鬼・青鬼・黄鬼が村を探索するアニメ―ション
「あるところにオニが3匹いました」という一文から始まる本作。そして「おい!村があるぞ!」「ほんとだー!」「探索に行くぞ!」と進んでいきます。
〇新井:「こんなのがあった!」→「なんだ?」→「こんなものが…」→「こんなんもあった!」→「なになに~?」……というふうに、見つけたものをすぐに出さないで、他の鬼たちのリアクションを挟んでから出していますよね。こうすることで、観ているコチラの興味をひくし、「なんだろう?」と鬼たちと同じ気持ちにもなります。シナリオの構成が上手ですね。
⑦『コナンめいろ』
こちらの作品はなんと観客参加型の迷路!
〇新井:「かんたんめいろ レベル1」ってあったけど、難しかった(笑)。皆さんもこうやって指でなぞりながらやっていましたね。主人公がスケボーに乗りながら進んでいくので、スピード感も表現できていました。
⑧『誘拐事件』
こちらの映像を作った男子チームは、これまでのワークでも撮影場所やカメラワーク、そして編集にもこだわりをもって取り組んでいました。
〇新井:登場人物たちが「走っているシーン」はiPadを手で持って撮っているので、微妙に揺れていて一緒に追いかけているような気持ちになりました。一方、「走ってくるシーン」ではiPadを固定して撮っているのでスピード感が出ていました。シーンによって撮影のやり方を使い分けているところがすごい。それから、先生たちに「どこにいるか知らないですか?」と聞いて回るんだけど手掛かりがなくて困る、という展開も「どこに行っちゃったんだろう……」と引き込まれました。
⑨発表には間に合わなかったけど渾身の一作
皆さんの発表が終わり、解散になった後も、一生懸命作っていた女子チーム。この場に残っていた海老原先生と山内先生、そして新井に見せてくれました。
〇新井:おお!まず絵が上手。プロみたいですね。それから、3つの「枠」であるロング・バスト・アップを使いこなしていて、カット割りがうまくできています。
〇生徒さん:今回は“どんでん返し”をやりたくて、シナリオはすぐに思いつきました。大変だったのは「音」。雨のシーンではどんな音で雨を表現しようか考えて、音をとるだけで1日かかってしまいました。
作品も感想も大人顔負けです!
発表会を終えて
*
以上9作品が発表できました。5月からはじまったキッズシナリオも今回で最後。あっという間の2ヶ月間でした。
担当の海老沢先生と山内先生とお話ししたところ、<子どもたちは変化したと思います!新井さんの講評にもありましたが、敢えてiPadを固定して撮っていたり、本当に驚きました。デジタルクリエーションクラブでは、僕たち大人から「こういうのを作ろう」ということは一切ありません。子どもたちの自主性を大切にしたいので、子どもたちが作りたいものを自分たちで作っています。今回、新井さんのレクチャーで教えてもらったことを、子どもたちなりに考えて 取り入れて 作ることできたと思います>という感想をいただきました!
それを受けて新井は、「逆に、生徒の皆さんから教えてもらったことがある」と言います。
〇新井: iPadを使いこなしている皆さんの姿を間近で見て、“デジタル”は益々私たちの生活には欠かせないものになっているなと改めて思いました。と同時に、こういったデジタルを活かすためには、発想や創造というアナログな部分もやっぱり大切なんだな、とも感じました。なんだか、これからの子どもたちがデジタルとどう共存していくのか、未来を見たような気がします!
今は大人だけでなく、子どもたちにとってもiPadなどのタブレット端末は身近な存在。映像も簡単に撮ることができます。だから、「キャラクターを設定する」といったシナリオの技術や「枠を意識する」といった撮り方のコツを少し伝えるだけで、子どもたちが作る映像作品のレベルはグンと上がります。
創作好きなお子さんがいらっしゃいましたら、今回のこれまでの模様はこちらからご覧いただけますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
■@ 新渡戸文化小学校 デジタルクリエーションクラブ/①キャラクターの作り方
■@デジタルクリエーションクラブ/②目に見えない 気持ちを映像で表す
■@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識
※「シナリオ・センターでは、どんな授業や研修を実施しているんだろう?」というかたはこちらの記事「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」をご覧ください。