今回は、執筆中 詰まってしまったときの打開策として、取り入れていただきたい方法をご紹介。ポイントは「アベコベ」です。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
最後の1ページを捨てる
シナリオを書く場合に途中まで来て、よく詰まってしまうことがあります。いくら考えても、面白くなるであろうというシーンが出て来ないのです。こんな時にシナリオライターはいったいどうするでしょうか。ある作家は、ウンウンうなりながら脂汗を流しながら思い詰めます。字引を引き、参考書を引っくり返し、天井を眺めて、何とか書き進む方法を捜します。
しかしそんな時は、こんなふうにやってみたらどうでしょうか。まず、今まで書いていた最後の1ページを破り捨ててしまうのです。その最後の1ページを生かそうと思うから、次のシーンにこだわるのです。ですから最後の1ページを一応白紙にしてしまうのです。
パターンを打ち破ろう
そして、次のシーンの始まりを考えるのですが、最後の1ページがあったからこそ、例えば「次のシーンは農家でなければいけなかった」となるのです。もしかしたら、農家ではなく村役場にした方がいいかもしれません。そんなふうに弾力性を持たせるのです。
もし、どうしても農家がいいというのなら、部屋の中を考えていたならば、それこそアベコベで農家の庭にしたらどうでしょう。それでもダメなら、お天気で考えていたなら、雨を降らしたらどうでしょう。雪でも結構です。また、昼間を想定していたならば、夜にしたらどうでしょう。
もしそれでもいけなかったら、人物を替えるのです。ご主人が女中を怒っているなら、主婦が怒っていることにしたらどうでしょう。いや、主人も主婦も出さないで、女中さんが喜んでいるところから出たらどうでしょうか。
つまり、①天気 ②場所 ③昼夜 ④人物など、あらゆる面でアベコベにすることが出来ます。私たちは、農家の居間で、お天気で、昼間、主人が女中を叱っているという設定を作ると、なかなかそれが崩せないのです。頭が固いのです。こうして別のことを考えると、写彙(=新井一が唱えた「映像の見せ方の種類」のこと)を増やすことになるでしょう。
水前寺清子ではありませんが「押してもダメなら引いてみな」というわけです。ややお説教じみますが、人間というものは一つのことを考えると、それにこだわるものです。それがパターンを生んで平凡になるのです。
出典:『月刊シナリオ教室』1975年11月号「シナリオ診断学」/2020年4月号「新井一.com」
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
一歩目は、各講座に向けた体験ワークショップもおススメです。
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