しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。
月刊シナリオ教室編集部前田です。
出身ライターの荒木敏子さん、作家集団クラスの林恭子さんが構成を手掛けたというドキュメンタリ映画を、新宿まで観に行ってきました。
重度のダウン症の子供を持つ家族の話・・・というと、あなたはどんなことを思い浮かべますか? ダウン症への理解を深める? ダウン症児の特性を描く? それとも親の苦労や悲哀・喜び? あるいは無理解な周囲との軋轢? 発想していくと、いろいろなアプローチが考えられますよね。
ドキュメンタリ映画『琉球の空へ 羽ばたけ天使君!』の主人公で、重度のダウン症児、有希クン(16)は、字は書けませんが、それを補うに余りある素晴らしい才能を天から授けられました。具象画にはない生命の躍動感溢れる力強い素敵な絵を描くことが出来るのです。
父は病死し、母は美容院を経営しながら、有希クンを末っ子として4人の子供を育てました・・・・というとすごい苦労話みたいですが、家族は沖縄の空みたいに明るいし、一生懸命に生きています。それにお母さんは、有希クンの類まれなる才能を、埋もれさせずに知らしめるべく奔走してきました。
学校や学童の先生、知り合いの人たちも、日常の中で有希クンを見守ってくれています。でも正直、大変だなあと思ってしまいました。おおらかなウチナンチュ達だからこそ、ギスギスせずに自然体で暮らせるのでしょうか・・・・。
有希クン家は、これからはニイニイやネイネイたちが独立したりして、家族形態が変わっていくかもしれませんが、それでもきっと家族を大事にして、ちょっとくらい大変なことがあっても助け合って暮らしていくのでは? すごい台風が来ても、基地が居座り続けても、あきらめずに前向きに生きていくウチナンチュの底力を見た気がしました。
映画上映後は、沖縄出身のミュージッシャン、MERRYさんのサンシンによるライブ演奏も行われ、外が灰色の梅雨空であることも忘れて、すっかり南国の暖かい気分に浸ることができました。ありがとうございました!