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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

秋の1日

ドール先輩の耽美なる推理(光文社キャラクター文庫刊)

あきちゃった

シナリオ・センター代表の小林です。とりあえず3連休は終わりました。人出は増加の一途だという話ですがちょっと下がってきた感染者数、コロナはこのまま沈静化にしていてくれるのでしょうか。

私は、3連休の中日日曜日に、甥の結婚式で高崎へ行きましたが、なんと満車でした。
たまたま乗った新幹線がどうかはわかりませんが、東京駅も人出は多いなという感じでした。
コロナ禍の結婚式は、アルコールなしで、乾杯のシャンパンもノンアルコール。
飲兵衛の連れ合いはとてもがっかりしていましたが、人数を制限したとはいえ、やはり盛り上がれば、新郎新婦の下にみんな駈け寄ったりして、お酒が入ったらどんなにかとちょっと思いました。
連れ合いは、その後兄弟会と称して兄弟3人で伊香保温泉に。やはり、結構な人出だったようです。
コロナ禍もここまで長くなると、ちょっと気が緩むのはわかりますし、誰もが我慢の限界にきているのでしょう。
シナリオ・センターの講座でも、通学希望の方がとても多くなっています。嬉しいことですが、定員制限はしっかりさせていただいています。
でも、心配性の私は、減少してきた今こそが正念場のような気がして、ここでしっかり医療体制を整備して、蔓延させない、重症化させないことが冬にむけての対策ではないかと思っているのですが・・・。
総裁選に明け暮れて、コロナ対策はなおざりに、こんな状態はいつまで続くのか、まさに人災にむかつきまくる毎日です。

あ、ただいま、メチャ嬉しい情報が。
テレビ朝日新人シナリオ大賞の授賞式がオンラインであり、その結果、配信部門優秀賞に大阪校作家集団の近藤真由美さん「寄生虫女、ニワトリ男」が受賞されました。
やった!おめでとうございます。

ドール先輩の耽美なる推理

出身ライターの関口暁人さんのエブリスタ小説大賞、キャラクター文庫大賞を受賞した「ドール先輩の修復カルテ」(光文社キャラクター文庫刊)の第2弾が出ました。
「ドール先輩の耽美なる推理」(光文社キャラクター文庫刊)
「ドール先輩の修復カルテ」がキャラクター大賞を受賞したように、関口さんのキャラクターづくりのうまさは定評があります。

第1作の「ドール先輩の修復カルテ」は、美味しいもの大好きな小動物系美少年の雛太と天才的修復師耽美系美少年ドール先輩と人形との事件簿でした。
名門私立高の先輩沢桐瞳瑠(通称ドール先輩)に元親友に殴られそうなところを助けてもらった小日向雛太。「もう俺のコレクションだよ、今日から君は」と助けた恩を売って、強制的に自分一人でやっている「人形(ドール)研究会」に入部させ、ぬいぐるみや人形の修理に駆り出し、そこからさまざまな事件に首を突っ込んでいく4つの連作です。

2作目なので、この後の展開かと思ったら、さすが関口さん。
なんとなんと「ドール先輩の修復カルテ」のエピソード0、ドール先輩の過去に迫りました。
1作目を読んでいらっしゃらない方が、こちらから読んでも納得する作りで、また1作目読んだ方が、なるほどドール先輩の生い立ちがこうだったから、あの名推理ができたのだと納得するという、誰がどこから読まれても美味しい作りになっています。
1作目では、何でも知っていて、何でも修復できるドール先輩の強気の魅力が満載でした。
今回は、強気のキャラクター(憧れ性)に隠されている沢桐瞠瑠の出自からくる弱さ(共通性)が描かれていて、よりキャラクター性が濃くなっています。
内容もE・T・Aホフマン「くるみ割り人形」がキーになっており、ドール先輩の過去とが重なり合って、巧みな構成で前作以上に面白くなっています。
「くるみ割り人形」をちゃんと知らないと、面白く書けないだろうということがよくわかります。
これがものを書くという人間は大切なことで、上面しか知らなかったり、ネットだけで調べただけだったりすると、底が浅いものになります。
エンタテイメントであっても、書き手がどこまで深堀りしているかで、読者の心をつかめるのだと思います。

「くるみ割り人形」というと、チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」しか知らない私は、なるほどなるほどと思いながら読み進めていきました。
小さい頃からあまり人形に興味がない、むしろ「怖い怖い」の大の怖がりなので人形のじっとこちらを見通す様な表情がだめな方でしたが、この本を読むと、人形への深い敬愛の念が感じられ、ドール先輩の気持ちに寄り添ってしまいます。
人形の持つ妖しい美しさ、可愛さを映像でも見てみたいですね。
推理はもちろんのこと、「くるみ割り人形」の話といい、人形への造詣といい、関口さんのうまさに絡めとられた早秋の一日でした。
初めて読まれる方は2冊続けてどうぞ。
次回はどんな展開になるのでしょう。

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