キッズシナリオは、分散登校にも対応
シナリオ・センターの新井です。
シナリオ・センターでは、キッズシナリオという小学校や中学校への出前授業を2010年から行っています。
緊急事態宣言下の2021年9月29日と30日に、横浜市立荏田東第一小学校にて、完全オンラインにてキッズシナリオを実施しました。今回は、「夏休み前にクラスで、ショートムービーをつくろう!ということになり、何もわからないのでキッズシナリオをおねがいできないか」とのことでした。
しかも、今回は緊急事態宣言下ということで、生徒さんたちは分散登校、我々はシナリオ・センターからオンライン配信という形での実施となりました。
・オンラインでの実施の様子
・キッズシナリオでの映画の作り方についての授業内容
を、お伝えします。
「子どもたちが映画を作りたいと言っているので、お手伝いいただけないか」
「地域をテーマにショートムービーを作りたいので、お手伝いいただけないか」
というお問合せを、ここ最近たくさん頂いています。
そういったことができないかと思っている先生方にも、参考にしていただけたらと思います。
【横浜市立荏田東第一小学校 山中先生からのご感想】
オンライン出前授業に柔軟に対応していただいたことが大変ありがたかったです。
子どもも教師も映画作りに手探りのなか、プロの方に教えていただけたことで見通しをもって挑戦する気持ちがもてるようになりました。
分散登校が明けて、すぐに子どもたちは映画作りにとりかかっています。出前授業で、映画作りの役割を教えていただくときにその役割に適した子どもの性格などを教えていただいたおかげで、それぞれの子どもの個性にあった役割分担を相談している姿も見られています。
本当にありがとうございました。
オンラインでも盛り上げるポイント
緊急事態宣言下ということもあって、生徒さんたちは、クラスの半分が教室で授業をうけ、もう半分は自宅で授業を受けるという形になっています。
今回は、教室で授業を受けている生徒さんと、シナリオ・センターをZoomで結んで、キッズシナリオを実施しました。
【オンライン授業の仕様】
・シナリオ・センター側
ビデオカメラとパソコンを用意。こちら側の話し手とホワイトボードが見れるようにしておきます。配布物は、事前に先生にお渡し。念のため、画面共有もできるようにしておきます。
今回は、シナリオ・センターのZoomアカウントを使用しました。
学校によっては、他のアプリを使う場合もあるかと思いますが、対応可能です。
▼シナリオ・センター側の様子
・学校側
iPadをご用意いただきました。教室の様子は、iPadを通して、シナリオ・センター側に配信されます。
シナリオ・センター側の様子は、学校の教室にあるモニターを通して、生徒さんたちに配信されます。
▼横浜市立荏田東第一小学校側の様子
【オンライン時の盛り上げポイント】
キッズシナリオを実施するうえで、大切にしていることがあります。
それは、一方通行の授業にならないように、生徒さんたちに問いかけをたくさんしていくことです。単純に話だけだと飽きてしまうので、双方向でコミュニケーションを取りながら、映画作りのポイントを話していきます。
オンラインで実施の場合は、なかなか双方向でコミュニケーションを取ることがむずかしくなります。
難しい理由は、以下のことが考えられます。
・配信の場合、問いかけに対するリアクションに、若干の時差が出る問題。
・教室内での音声が、拾いにくい問題。
・マスク越しに、だれが発言しているのかわかりにくい問題。
このあたりは、オンライン配信への慣れ次第で、どうにでもなる話ではありますが、慣れない前にこれらの問題に出くわすと、オンライン授業へのアレルギーがうまれてしまったりします。
これらの問題を解消するのは、実は簡単です。
・お話をする側(今回はシナリオ・センター)は、問いかけから、わずかな時差が発生するものと認識して進める
・教室内で、生徒さんに発言してもらう場合は、iPadの近くにいる先生に、生徒さんの発言を繰り返してもらう
⇒これが意外に重要で、「聞き取れない」ということが起きないので、生徒さんの発言に対して、こちらが的確にリアクションができます。
・iPadのカメラを、なるべく発言している人の方へ向ける
ちょっとの工夫で、進行がスムーズに
ちょっとした工夫で、オンラインでの実施でも、シナリオ・センター側と生徒さん側でからみながら、楽しく授業を進めることができます。
今回は、荏田東第一小学校の山中先生が慣れていたこともあり、上記の3つに加えて、
・生徒さんがワークシートに取り組んでいるとき、iPadを持ちながら教室を回って撮影してくれた
というのがあります。それによって、生徒さんたちにわからないところはないかを確認したり、うまくできているところを褒めたり、ということができました。
これは、教室に行って実施するときと同じ感覚で、生徒さんたちのコミュニケーションが取れるので、とてもやりやすい方法でした。
オンラインでも、先生との連携次第で、リアルに実施するのと遜色がない形で、キッズシナリオを行うことができます。
このような形を使って、オンラインでも双方向の授業ができれば、東京近郊の学校だけではなく、地方の学校でもキッズシナリオができるのではないかと思います。
映画ができるまでの流れをつかむ
では、実際に映画の作り方について、どのように授業をしていくのか、ご紹介していきます。
まず、映画を作る際の流れを、生徒さんたちに問いかけながら、確認していきます。
「映画を作るために必要なものってなんだと思う?」
生徒さん「人?」
「おぉ、人は確かに必要だね。その人は、何するの?」
生徒さん「えぇ~撮影するんじゃないの?」
「そう!映画を作るためには、撮影する必要があるね。
他にはどうだろう?これだけで映画作れそう?」
生徒さん「物語を考えたり、ですか?」
「そう、そう!物語、必要だもんね。それを、シナリオっていいます。
脚本とか、台本とかとも呼びます。
学芸会をやったときに、みんなでセリフ覚えたりしたでしょ?
あれが、台本です。シナリオも同じ」
というような感じでやり取りをしながら、映画作りに必要な工程を整理していきます。
【映画作りに必要な工程】
①企画をたてる
②シナリオを書く
③撮影の準備をする
④撮影をする
⑤編集をする
⑥公開する
映画を作るうえで、必要な役割を知る
映画を作るための流れがわかったら、そこに必要な役割を整理していきます。
映画作りに興味のある生徒さんたちなので、けっこう詳しくいろいろなことを知っています。
・プロデューサー
・脚本家
・監督
・助監督
・撮影
・録音
・俳優
・美術
・編集
・衣装
・音楽
などなど。
それぞれの役割について、何をやるのか、どんなことに注意が必要か、どんな人が向いているのかなどを話していきます。
クラスで力を合わせて映画を作る場合、だれがやると良さそうか、自分ならどれが向いていそうかなど、みなさん頭のなかでイメージをしながら話しを聞いてくれています。
▼シナリオ・センターからの講義内容を、先生が板書してくれていました。
シナリオ作りと撮影のコツ
ここから、映画を作るために必要なシナリオの書き方について話をしていきます。なんといっても、シナリオは、物語を映像にするための設計図ですからね。シナリオの書き方がわかることで、撮影のポイントもわかってきます。
ここら辺の詳細は、以下のブログに詳しく記載しているので、是非、お読み頂ければと思います。
タブレットの導入で身近になった映画作りを、子どもたちと!
「自分たちでも、映画を作ってみたい!」と思っている子どもたちは、たくさんいるようです。
現時点(2021年10月1日)で、すでに5、6校の小・中学校での実施が決まっています。そして、その他にもお問い合わせを頂いています。
お問い合わせが増えた背景には、コロナ禍で加速したGIGAスクール構想ではないかと思います。昨年、ある学校の副校長先生に聞いたお話では、新型コロナウィルス拡大によって、予定よりも1年半くらい計画が前倒しになったイメージ、とおっしゃっていました。
生徒さんたちが、タブレットを手にしたことで、それを使って何ができるのか、何がしたいのか、と考えた時に、映画作りが出てきたのではないでしょうか。
そして、映画作りに関しては、学校の先生方は知らないことが多いと思います。そこで、「助けて!シナリオ・センター」ということで、サイトなどを検索して頂き、キッズシナリオにご相談くださいます。
「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」と思っているシナリオ・センターとしては、とてもうれしいお話です。もし、お悩みの先生や教育委員会の方がいらしたら、シナリオ・センターまでお気軽に!お問合せください。
シナリオ・センターではいろいろな学校でキッズシナリオを実施しています
■新渡戸文化小学校 デジタルクリエーションクラブ
・@ 新渡戸文化小学校 デジタルクリエーションクラブ/①キャラクターの作り方
・@デジタルクリエーションクラブ/②目に見えない 気持ちを映像で表す
・@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識
■谷中小学校 放課後子供教室
・谷中小学校 放課後子供教室 /小学5・6年生も夢中になる物語作り
※「谷中小学校放課後子供教室ブログ」でもご紹介いただいております。こちらからご覧ください。
・高学年ビッグプロジェクト始動開始!!『シナリオプロジェクト』プログラム
【追記】子どもたちの映画作り、どんどん進んでいます
授業を実施してから数日、生徒さんたちが映画作りに取り組んでいるようです!