ひと時代
シナリオ・センター代表の小林です。秋らしい言葉が出ないほど、今日は暑い東京です。
夏服も今はまだ終えず、何となく中途半端にクローゼットの中から引っ張り出しています。
感染者は急激に減っていて、ちょっと一安心でこのままいってほしいと思いますが、暑かったり寒くなったり、くれぐれも体調管理にお気をつけて下さいね。
ノーベル平和賞にフィリピンのジャーナリストマリア・レッサさんとロシアの独立系新聞の編集長のドミトリー・ムラフトさんが授与されます。
おふたりとも強権的な政権への批判を続けていました。
「民主主義と恒久的な平和の前提である表現の自由を守るために努力してきた」と実績を讃え「民主主義と報道の自由がますます不利な状況に直面している世界で、表現の自由のために闘う全ジャーナリストの代表」だとノーベル委員会。
この報道をしている日本の新聞やテレビ、ジャーナリストたちは恥ずかしくないのでしょうか。
命の危険にさらされながらも、脅迫や暴力に屈せず、強権批判を続けているおふたり、御用新聞、御用テレビになり下がった日本のジャーナリストは、今こそ奮起して欲しいと思います。
ショックなことがありました。
人間国宝の落語家柳家小三治師匠が亡くなりました。
7月に落語を聞きにいき、ちょっとお疲れ気味の師匠が、小三治集大成のCDをだすと話されて、なんだかなとイヤな予感がしました。そういうことがあまりお好きでない方だったので。
なので、友人とできる限り小三治師匠の追っかけをしようと話して、11月、12月とチケットをやっとゲットしたところでした。それなのに・・・。
本当に大好きな落語家さんでした。
小三治師匠の間のとり方、晩年は時々忘れたかと思うほどの時もあり(笑)、この何とも言えない間が持ち味でした。噺を引き締め、グーンと面白くしました。
まくらで歌を歌ってくれたこともありました。とりとめもないようにみえる長いまくら、小三治師匠の物事を見極める視点が、大好きでした。
まだまだ聴きたかったなぁ。合掌。
アフター・コロナ時代のクリエイティブ・コンセプト・ガイド
シナリオ・センターで漫画原作講座の講師もしてくださっている漫画原作者大石賢一さんが、これからの創作の力になるためのノウハウ本を上梓されました。
「アフター・コロナ時代のクリエイティブ・コンセプト・ガイド」(言視舎刊)
大ヒット作品「HOTEL」「STATION」「14歳の兵士ザザ」など漫画原作を手掛け、1200話のシナリオを発表し続けている大石さんは、新しいことを手掛けるのが大好きで、「バットマン」スタッフのジェリー・ロビンソン原作「ASTRA」のコミック化やアフリカ取材のジャーナルコミックス開発など色々仕掛けています。
この本もその仕掛けの一環でしょうか。
コロナ禍で描けなくなったものもありますが、こうした非日常の世界を経験した私たちが迎える新時代は、テーマの見つけ方そのものが問われる時代だと大石さんはいいます。
これからは背景の世界観が注視される時代に向かっており、世界がコロナ対応で同じ方向を向いている今こそ、創作にとって地球が一つになれる時ではないかと。
西洋と日本のコンセプトの違いは大きな距離がありますが、これから地球規模で創作をするクリエイターとして「コンセプトの違和感の理由」を知ることで新しいものが生まれると大石さん。
この本は「昔からある定番コンセプト」「いまだに解明されない不思議なコンセプト」「未来の可能性を感じさせるワクワクコンセプト」などさまざまなコンセプトをあげてくれています。
こういう捉え方があるのだということを知ることは、自分の視点も変わり、新たなクリエイティビティの縁(よすが)になります。
漫画、アニメ、映画、小説を一新する発想法です。