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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

秋の空

エッセイ講座にて

高木さんの視点

シナリオ・センター代表の小林です。解散でーす。シナリオ・センターがではありません。衆議院です。
衆議院選挙投票日はハロウィンで仏滅です。なんだか、混迷した世界のようです。
今日もコロナの感染者は少なく喜ばしいことですが、でも死亡された方は増えているようで、医療対策は万全なのか、どなたがトップが変わろうと心配は尽きず信用もできません。

朝日新聞で衆議院選を前に「私の視点」というコーナーを掲載しています。
児童文学作家の高木敏子さんの視点です。
著作の「ガラスのうさぎ」はどなたもご存じの事かと思いますが、ご自身の経験をもとに、戦争で家族を失った少女を描いています。
高木さんは、東京大空襲で母親と妹さんを焼き殺され、遺骨も見つかっていません。それから5カ月後父さんは汽車を待っていた時に高木さんの眼の前で機銃掃射で殺され、天涯孤独となります。
高木さんは「母と妹二人は焼き殺された」「父は機銃掃射で殺された」、あえて「殺された」といいます。
8月15日を終戦記念日ではなく敗戦記念日と呼びます。高木さんの実感です。
敗戦から2年後にできた日本国憲法、第9条は「自分たちから戦争は起こさないし、お手伝いの戦争もしない国だ」と宣言しました。
高木さんは、多くの人の命と引き換えに日本は永久に戦争をしない国になった、この精神を後世に伝えたいと、「ガラスのうさぎ」を書き、全国各地で1200回を越える講演をされていらっしゃいました。
ご高齢でもあり、コロナ禍で講演もままならなくなりましたが、高木さんは3つの言葉を私たちに伝えたいとおっしゃっています。
「戦争を起こそうとするのは人の心、戦争を起こさせないのも人の心、戦争を起こさせないことを、日本から世界に人たちに、体験と共に伝えていきましょう」と。

安保法制の自衛隊法改正から始まり、昨今は防衛費の拡大、先制攻撃の武器を持とうとするなど、高木さんの言葉、気持ちをよそに、戦争の方向へと動こうとしているようにみえます。
闘うのはコロナだけでいい。私たちは常に自分の視点で、想い、考え、伝えてきましょう。
投票に行きましょう、国民としてあるために。日本をまともな国に戻すために。

佐藤さんの視点

今日でエッセイ講座が無事終わりました。
私ごときがどこまでお話しができたかはわかりませんが、シナリオの技術でエッセイも伝わるように書いていただけるように頑張ったつもりではあります。(笑)

おかげで久々にエッセイを山のように、色々読みました。
佐藤愛子さんの断筆宣言、最後の本と言われる「98歳、戦いやまず日は暮れず」(小学館刊)は、佐藤さんの真骨頂です。
相変わらずまあ面白い。その中で、アベノマスクについて書かれていて、佐藤さんのやさしさ(?)にホロッと来ました。(笑)
ある日、佐藤さんに安倍首相の今回のコロナ対策について一発、ドカンとやってくれませんかという依頼がきます。
「世間では悪口、批判、文句のたぐいは佐藤愛子の専売と思っているかもしれないが、もはや老耄への道をひた走る佐藤にはそのエネルギーはない。
今、私が安倍首相について感じていることといえば、『なぜ、あのように小さなマスクをつけるのか』という疑問である。
テレビで見る閣僚の皆さんは、揃ってこっぽりと顎と頬まで包み込むたっぷりとしたマスクをつけておられるというのに、首相だけマスクの下から顎が出ているという小ささである。
首相の顎が、時々テレビで見かける、名前は知らないがお笑い系の人の見事なしゃくれ顎のようであれば、それなりの存在感が他人の目を楽しませるだろうが、首相の顎はありふれていて、且つ、首相の孤独を象徴しているかのようだ。
その顎の孤独に対して、私は『ドカンとやる』ことなんかできない。(略)」
まだまだ続くのですが、ほとんどバカにしながらも首相に「ドカンとやれない」のではなく、「顎の孤独」に対して「ドカンとやれない」というのがさすがです。

そうそうセンター講師の某氏はアベノマスク愛用者です。「税金を山のように使って作ったマスク、もったいないから」とまだ使っています。
同じように顎は隠れません。小学生の給食係のマスクのようです。(笑)

エッセイこそ、作家の視点がものを言います。
多くのエッセイストのエッセイを読めば読むほど、自分の視点はどこにあるのか、何を想い、何を考えているのか、自分自身を掘り下げて、掘り下げて、深堀りをしていかなくてはと思いました。
創作をするというのは、作家性、自分の視点を持つということです。
私は作家ではありませんが、駄文を書き、読んでいただいている身としてもまだまだだなぁ・・・としみじみ。
98歳の佐藤さんから見れば、足元にも及ばない鼻たれ小僧のようなものだろうと、もう少し踏ん張らねばならぬと思わされた秋の空です。

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