人に伝わるエッセイを書く!
シナリオ・センターの代表・小林は、2006年からほぼ毎日、ブログ「表参道シナリオ日記」を更新しています。
出身ライターの方々のご活躍や業界動向など、その時々に感じたことを書いていますので、エッセイといえるかもしれません。そんな小林が先日、60歳以上の千代田区民の方を対象とした講座「かがやき大学」で、「シナリオ式エッセイの書き方講座」(全2回)を担当させていただきました。
エッセイは自分の想い・考え・経験を書くので、「ザ・創作」といった感がある小説や脚本よりも、少し簡単に書けそうな気がしませんか?
でも、いざ書いてみると「あれ、なんか面白くない……」と感じたり、もしくは、誰かに読んでもらって感想を聞くとイマイチな反応が返ってきたり。そういったご経験がある方も少なくないのでは?
そこで、「エッセイを書きたい!」という方に向けて、今回の講座で小林がお伝えした「人に伝わるエッセイを書くためのポイント」をご紹介。実際に書いている人はお手元に原稿を用意して、チェックしてみてください。
エッセイを書く時に起こりがちなこと&対処法
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今回の講座では参加者の方に、「400字詰め原稿用紙1枚/テーマは自由」でエッセイを書いてきてもらいました。そして、自分の作品が以下3点に当てはまっているかチェック!
・「ひとりよがり」になっていないか。
・「嬉しかった」「悲しかった」のような“感想”になっていないか。
・事実を羅列していないか。
〇小林:これらは、エッセイを書くときに起こりがちなことです。
どれか一つでも該当していると、読んだ人にうまく伝わらなかったり、「ふ~ん、そうだったんだ」で終わってしまいます。とても面白いエッセイとは言えませんよね?
そこで使えるのがシナリオの技術です。
皆さん、テレビドラマや映画を観ていると、登場人物が何を考えていて、何をしたいのかが、分かりますよね?
それは、人に伝わるポイントを抑えてシナリオが書かれているからです。だから、映像を作るときだけでなく、エッセイのような文章を書くときも、シナリオの技術が応用できます。
――参加者の皆さん、うんうんと頷いてくださっています。
〇小林:それでは、上記3点の「対処法」をお伝えします。こんなシナリオの技術が使えます。
・「天・地・人」を書く
=「天(時代)/地(場所)/人(人間)」が分かるように書く。
・「憧れ性」と「共通性」を書く
=「素晴らしいこと・良かったこと」だけでなく、共感できるような「あるあるネタ」を書く。
・「背景」と「事情」を書く
=「過去(例:なぜそんなことが起きたのか)」と「現在・未来(例:どうしたいか)」が分かるように書く。
〇小林:テレビドラマや映画では、この「天・地・人」「憧れ性・共通性」「背景・事情」が描かれているので、「これからどうなっちゃうんだろう」と引き込まれたり、「こういうことあるよね」と感情移入ができるんです。
だから、エッセイのテーマが決まったら、いきなり書き始めないで、書きたいことをまずは箇条書きにしてみてください。で、その中に「天・地・人」「憧れ性・共通性」「背景・事情」が入っているかを確認してみてくださいね。
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講座終了後、参加者の方々から、
「学生時代は新聞部で、書くことが好きだったけど、いざエッセイを書いてみると難しくて。今回教えていただいたポイントを抑えて、書いてみようと思います」
「シナリオの技術をこういうふうに使うとは知らなかったです」
「ずっとエッセイを書いてみたいと思っていました。人に伝わるように、というのを意識したいと思います」
――とお声がけいただきました!
皆さんには、小林がお伝えしたポイントを踏まえて、再度エッセイを書いてご提出いただき、小林が感想を書いてお戻しする予定です。
こちらのブログをお読みいただいたかたも、ぜひご自身でエッセイを書いてみてください!
※以前実施した「私の人生をシナリオの技術で語る-写真でたどる自分史-」(@千代田区立九段生涯学習館/全4回)の模様もご覧ください。
▼脚本を学ぶ のに年齢は関係ない
https://www.scenario.co.jp/online/23183/