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singing dog主宰 藤﨑麻里さん「門真国際映画祭2021」舞台映像部門で受賞

【 舞台作りたい 方注目】singing dog主宰 藤﨑麻里さん 門真国際映画祭2021で受賞

藤﨑麻里さん(中央) 企画・作・プロデュース『ブラックアウト』受賞!

舞台を作りたいかた注目!

劇団を主宰されていたり、所属されている方は、舞台のコンクールに応募されたご経験があるのでは?「応募しているけど受賞したことがない……」という方は、これからご紹介する藤﨑麻里さん(通信研修科)のコメントを参考にしてください。

藤﨑さんは演劇団体「singing dog」を主宰。その旗揚げ公演として企画・作・プロデュースを手掛けた『ブラックアウト』が、「門真国際映画祭2021」の舞台映像部門で最優秀作品賞を、出演俳優も優秀主演男優賞・優秀助演男優賞を、それぞれ受賞されました!

なお、同映画祭ではWEB会場限定チケットを販売しており、来年8/31まで作品が視聴可能。『ブラックアウト』をご覧になる前に、後に、今回お話しいただいた作品に込めた想いを是非お読みください。脚本のことだけでなく、企画やプロデュースについてもお聞きしていますので、舞台を作りたいかた必読です!

まずは、あらすじから。

『ブラックアウト』あらすじ

男は今日も酒を飲んでいた。
朝から晩まで一日中、酩酊してフラフラになってもまだ飲んでいた。
やめたくてもやめられない。だが、飲んでしまう。
誰か助けてくれ、誰か俺を止めてくれ──。
目覚めてみると、辺りはアル中の人間だらけだった。
隣にいるのはアル中、あっちもアル中、こっちもアル中。
ぶち込まれたのは、精神病院のアルコール病棟だった。
待ち受けている過酷な更生プログラム。
治療方法はたったひとつ。酒を、死ぬまで一滴も飲まないこと。
そんなある日のこと。一人の新患が、病棟にあってはならないはずの酒を持ち込みやがった――。

モノを書く人間なら、自分自身の背負った宿命を表現しないのは勿体ない!

――舞台映像部門というのは他にあまりない、貴重な場なのではないかと思うのですが、今回応募しようと思ったキッカケは何ですか?

〇藤﨑さん:確かに演劇や戯曲の賞というものはありますが、舞台映像部門のあるコンクールは門真国際映画祭だけかもしれません。

映画祭に参加して知りましたが、理事長やスタッフの方々は元々、舞台役者さんばかりで、だからこそ、映画祭の賞の中に舞台という分野を設けたとお聞きしました。映画祭なのでスクリーンで上映するため、舞台映像、というカタチの賞のようです。

応募のキッカケは『ブラックアウト』の演出家に応募を勧められたからで、初めての応募です。

――受賞のご感想をお聞かせください

〇藤﨑さん:未だに信じられない気持ちです。

『ブラックアウト』はsinging dog というユニットを私自身が立ち上げて、初の本公演、つまり旗揚げ公演だったのですが、それがまさかのコロナ禍に当たり、2020年7月の上演でした。初めての緊急事態宣言が解かれた直後の稽古スタート。全国の劇場が閉鎖され、ようやくそれが解かれたあと、でも、まだ世の中は公演を打ってはいい空気ではなかった──。

それでもキャスト・スタッフ一丸となって創作し、熱意に満ちた作品となりました。その結果、得体のしれないエネルギーの強いものと仕上がったのではないかと思います。その作品が評価されて、心から嬉しく思っています。『ブラックアウト』はみんなで受賞した賞です。

――企画立ち上げの経緯を教えてください

〇藤﨑さん:死ぬまでには絶対に書かなくてはならない、向き合わなければならないテーマが私にはありました。

私自身がアルコール依存症であり、そのことだけを描く作品を創作しなければという、使命感のようなものがありました。知られているようであまり知られていないこの病気、しかし実はすごく身近な出来事で、見回せば必ず一人はその最中の人間がいると思います。

モノを書く人間ならば、自分自身の背負った宿命みたいなものを、表現しないのはもったいない、そんな想いもあります。singing dog の旗揚げ公演は、このテーマ以外にはあり得ないと思いました。

――プロデュースで大変だったことはありましたか?

〇藤﨑さん:一番大変に思ったことは、コロナ禍の上演だったことです。

劇場ガイドラインに沿って客席半分以下ということは、チケット収入も通常の半分以下となります。舞台というのは、お客様からのチケット収入で成り立っています。加えて、消毒やPCR検査など、コロナ前・コロナ後で、演劇界の負担は大きく変わりました。本公演三回を経た現在も、それが一番、悩ましいことです。

プロデュースする際は、なにより信頼のおけるスタッフそしてキャストと一緒にひとつの作品を創り上げることが大事だと思っています。その点ではとても恵まれていて、全員でひとつの作品をそれこそコロナ禍に創り上げた やり遂げた、そのことがあるからこそ、上記の悩ましいことも吹き飛びました。

――脚本を書く際、特にどんなことを心掛けましたか

〇藤﨑さん:映像の脚本を書くときには、私は入念にプロットを書くほうだと思います。まずはプロデューサーにどういう作品にしたいか伝えないといけないので、入念なプロットは必須です。

しかし、singing dogの舞台の場合は自分自身が主宰のため、なにを書くのも自由です。今回はアルコール依存症の話、舞台はアルコール患者が入院する閉鎖病棟と決めていたので、話を計算して転がしていくというよりは、一人一人が抱える感情や辛さを表現することに焦点を当てました。キャストに当て書きという手段を取り、登場人物役の俳優さんの顔を思い浮かべ、とにかく人物が生きるようにと心がけました。

――生徒さんの中には、舞台を作りたい方が沢山いらっしゃいますので、是非メッセージを。

〇藤﨑さん:舞台脚本は基本的に「自由」なのだと思います。オリジナル作品をこんなにも堂々と表現できる場は、そうないと思います。

もちろん、芝居を打つ大変さはありますが、書いたものが演出家、俳優、スタッフによって、自分でも想像しなかった産物に変わる瞬間に立ち会うほど、書いてよかった…と思うことはありません。平面だったセリフやト書が、立体的になって息吹が吹き込まれるということが、舞台作品を手がける醍醐味だと思います。

もし、これから初めて舞台に挑戦してみたい、と思われる方がいらっしゃいましたら、とりあえず劇場を押さえてしまうことをおススメします。劇場を予約してしまったら、もう、あとには引けません。例えば一年後上演という契約を結んでしまえば、あとは一年逆算して進めていくだけです。脚本も書かねばなりません。そうやって自分を追い込んで創作することを、私はおススメします。

※シナリオ・センターでは毎年、舞台脚本講座を開講しています。同講座を担当している金子講師の記事も併せてご覧ください。
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