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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

ドラマの力

秋深し 蓼科の秋

来年

シナリオ・センター代表の小林です。年賀状の用意をしてくださいと言われ、びっくり。もう、年賀状を作らなくてはいけない時期になっていました。
早速、年女として、この2年落ち込んでいらしたであろうすべての皆様を鼓舞できるような年賀状を目指そうと・・・なにしろ寅は、千里を翔るのです。
最近は、ちょっとヨタヨタと千里はゼッタイ走れない、1万歩歩くのしんど~の私ですが、来年は寅の意地をみせてやるぞぉ~と心に誓っています。

今年の8月9日、まだまだ語り続けると長崎平和祈念式典でおっしゃっていらした被爆者代表の岡信子さんが亡くなられました。
93歳最高齢でいらしたのですが、悲惨な原爆の様子を語ることで、平和を、核兵器廃絶を目指していらっしゃいました。
ご自身原爆で怪我を負いながらも、看護学生として、被害者の皆さんの治療に当たったという岡さん、わずか16歳でした。
思い出しても苦しくなる体験を、伝えなければと頑張ってくださった・・・そんな岡さんの想いをきちんと受け止めて二度と過ちを起こさないよう日本が先頭を立って核廃絶に動かなくてはいけないのです。
再び武器を持とうとしている日本に歯止めをかけ、核廃絶へ動くこと、原爆で人生すべてを失った人を想像して、私たちが繋いでいきましょう。

ドラマの力

栃木で二宮金次郎の銅像が盗れたそうです。
1メートルもある銅像を盗んでどうするのでしょうか。
栃木の真岡市は、江戸時代に二宮尊徳が33年も滞在し、農村復興を行ってきた土地だそうです。
出身ライターの柏田道夫さんが描かれた二宮金次郎の映画で、実は初めてあちらこちらの農村を復興のために二宮金次郎さん(後の尊徳さん)が村おこしの先駆者として全国で指導していたことを知りました。
昔は、小学校には薪を担いで本を読んでいる金次郎さんが必ずいらして、蛍の光、窓の雪、働きながらも本を読み、寸暇を惜しんで勉強をする勤勉な少年を模範にするようにと言われたものでした。
とはいえ「功成り名遂げる」と言われても、関係ないし・・・くらいの気持ちしかなかったですけれどね。
でも、映画を見て、二宮金次郎さんの見方が変わりました。
ドラマというのはこうした力があるのです。

神奈川県県立音楽堂でフランク・パブロフの寓話「茶色の朝」がオペラ化されました。
「シャルリー~茶色の朝~」
オペラでは「友人と話していた私は、彼が自分の犬を処分としたと聞いてちょっと驚く。茶色のペットしか許されなくなったから・・・」から始まるそうです。
前に原作をご紹介しましたが、このお話は、「茶色優遇政策」が始まり、やり過ごせば何とかなると思っているうちに、どんどんエスカレートして、政府に批判的だった新聞、図書も発禁となり、ついにはかって茶色以外のペットを飼っていた人まで逮捕されてしまうというナチスの台頭を思わせるお話です。
でも、今の時代にオペラ化されるというのも決して偶然ではないのです。
現在の日本の我々が抱える社会不安、危機感とも重なります。
オペラですから、ソプラノの女性を主人公に、管弦打楽器、ピアノからなるアンサンブルで構成されています。
シャンソン風に気楽に始まりながら、だんだん不気味な音を立て始め、奏者たちは「世間」や「政府筋の意見」を歌ったり、唱えたりして表現されているそうです。

「茶色の朝」がまさかオペラになるなんて、思いもしませんでした。
私は、ドラマにはこうしたさりげなく、だけれども自分の想いを、視聴者、観客に伝える力があると思っています。
もちろん、それがプロパガンダに使われたりすることもありますが・・・。
それだけ、映像や演劇には、伝える力があるということです。
見た人がどう考えるか、心に響くかはそれぞれですが、政治的なことだけでなく、人間に関係することすべてが、ドラマを通して、感じてもらうことができるのです。
そのために、基本の伝えるための技術を養ってください。
基本の技術があれば、人に伝えることも、自分の将来の選択肢も広がっていきますから。

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