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脚本の打ち合わせ(本打ち)など「直しの作業」で必要なスキルとは

脚本の打ち合わせ(本打ち)など「直しの作業」で必要なスキルとは

脚本家・作家との「本打ち」「直しの作業」でお困りのかたへ

面白い作品を作るために、現場では「直しの作業」をしています。

テレビドラマや映画などの映像作品ならプロデューサーやディレクターが脚本家に、小説やマンガなら編集者が作家に、シナリオ(原稿)の直しをお願いして、より面白くなるようにしていきます。

でも、この「直し」、そんな簡単なものではないようです。

現役のプロデューサーや編集者のかたにお聞きすると「原稿の直しをお願いすると、自分を否定されたような気持ちになってしまう方がいます。べつに作品や作者を攻撃しているわけじゃなくて、よりいい作品を作りたいだけなんですが……」といったお話が必ずと言っていいほど出てきます。

そこで、シナリオ・センターが行っているのが、プロデューサー・ディレクター・編集者などに向けた「ディレクション研修」。脚本家・作家に対するディレクションに必要なスキルを鍛えるプログラムです。

この研修を、映像作品やマンガといった媒体のジャンルに関わらず、エンターテインメントコンテンツを制作している色々な企業で実施させていただいております。

先日は、某コンテンツ制作会社に向けて、オンラインで実施しました。タイトルは「ロジックを押さえてフィードバックが的確に出来るようになる」。

担当した新井が、フィードバックをするときのポイントをお話ししました。こちらのブログではその一部をご紹介。「ここで言うロジックとは何か」「そのロジックでどうフィードバックするのか」といったことが分かると思います。

プロデューサーやディレクターや編集者のかたも、直しの作業で作者にフィードバックするときの参考にしていただける方法ですので、ぜひご覧ください。

フィードバックするときは感覚的ではなくロジックをもとに

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今回、研修を受けていただいたのは、ライターさんに書いてもらったプロットを確認し、フィードバックするという業務を担当されている方々。商品としての品質管理とともに、ライターさんの育成も担っています。

研修の前半、皆さんには画面の中でチームに分かれてもらい、その中で実際にフィードバックしていただきました。使うのは新井が用意したワークシート。ここには例となるプロットが書かれています。それを読んで、自分ならどこを・どんな風にフィードバックするか書いてもらい、チーム内で順に発表してもらいました。

グループワークの後、新井はこんなことを皆さんに聞いてみました。

〇新井:さきほどのフィードバックで、もしかして、こんなこと言っていませんでしたか?

①なんかイマイチですよね
②ここ、面白くなりませんか?
③あの映画/マンガのあのシーンみたいにしたらどうですか?
④このシーンはこういうふうにしたらどうですか?

〇新井:これらは全部NGワードです。①や②は自分の感覚や好みで判断しているので、書き手の気持ちが内側を向いてしまいます。

③や④は具体的に分かりやすく言っているように聞こえますが、実はこういう言い方だと書き手の発想を限定してしまうんです。①~④すべて、書き手の成長にもつながりません。

これらのNGワードが出てきてしまうのは、プロットのエピソード自体をいきなり直そうとしているから。ここを直そうとすると、自分の発想や好みに偏り、感覚的なフィードバックになってしまいます。

でも、感覚は人それぞれ違うので、フィードバックする側とされる側で「え?あなたはそう思うかもしれないけど、自分はこう思う!」と“摩擦”が起きてしまうのです。

だからフィードバックするときは、自分の感覚とは関係ない、「こういうことだ」と既に決まっている、ドラマのロジックをもとに伝えればいいのです。ドラマのロジックとは、ドラマがどうやって成り立ってるのかという「ドラマの構成」のことです。これを理解することが重要です。

――画面の中の皆さん、深く頷いております。

「起承転結」のそれぞれの機能を知る

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研修では「ドラマの構成」の話をいろいろさせていただきました。こちらのブログでは、その話の中から「起承転結」についてご紹介します。

〇新井:ドラマは「起承転結」で出来ていて、それぞれ機能があります。それがこちら↓

起の機能
・天・地・人(時代・場所・人物)の紹介                        
・アンチテーゼ(テーマの逆から入る)

承の機能
・ドラマを盛り上げる(事件・事実・事情を描く)
・障害を作り葛藤を描く

転の機能
・テーマが伝わる

結の機能
・テーマの定着と余韻

〇新井:これを理解しておけば、例えば、「起」の部分で登場人物の紹介シーンが足りないなぁと思ったら、「起」は天地人を紹介する機能なので、人物が伝わるシーンをもっと入れてください、と伝えることができます。こういった感じで、直してほしい理由「なぜなら」という部分をフィードバックすれば、好き嫌いで言われているわけではないので、フィードバックされたほうもイヤな気持ちにはならないですよね。

〇皆さん:なるほど!

〇新井:ただ、“ロジハラ(ロジックハラスメント)”にならないように気をつけてください。「〇〇なんだから、こうでなければいけないんですよ!」といった言い方にならないようにしてください。

フィードバックする「直しの作業」はブラッシュアップの場。マイナスの場ではありませんので、もっともっと魅力的なコンテンツにして、なおかつ、フィードバックをする側もされる側もお互いのレベルが高まるように、ぜひドラマのロジックを活用してください!

*     *     *

研修終了後、ご参加いただいた皆さんからこういった感想をいただけました!

・「エピソードに目が行きがちで、根拠を示せないことの原因がロジックの認識不足なことに気づけました」

・「相手に感覚的に伝えていた部分があるので、ロジックをしっかり持ちながら、よりよいものを作り上げていくことに気づけました」

・「“ここにはこういう内容が入っていた方が良い”ということが、『個人の感覚』なのではないかと悩んでいたので、それが『ロジック』なのだと教えていただけてよかったです」

・「ロジックを考えることが最大の近道なんだということと、協力して面白いものを作り上げるというのは楽しいことなんだと気づかされました」

・「頭の中でなんとなくモヤモヤと抱いていた言葉にならない疑問を言語化していただけて、理解しやすくスッキリしました」

・「テレワークが主流で以前のように全て口頭でFBすることが減っていたので、このポイントは口頭で、このポイントはテキストベースでやると良いか、など考えることが出来て良かったと思いました」

・「今まで、先輩方がFBしているものの理由や内容などが理解できました。自分のときにも応用できるようにできればと思います」

※その他、ディレクション研修の模様はこちらをご覧ください。

▼本打ちを成功させる脚本家とプロデューサーの関係
https://www.scenario.co.jp/online/19146/ 

▼【漫画編集者のかた必読】作家さんにディレクションするときもシナリオ技術
https://www.scenario.co.jp/online/24429/ 

本打ちの効率をUPさせるために

シナリオ・センター創設者の新井一は、現場でより面白い作品を作るために、シナリオを東宝の撮影所の片隅で教え始めました。それがシナリオ・センターの前身です。「シナリオの基礎技術」は、現場で作品を面白くするための技術です。

研修内容をご相談させて頂いたうえで、シナリオ・センターから最適な講師を派遣させて頂きます。プロデューサー、ディレクターの方のディレクション力をUPさせる「エンタメシナリオ」を、作品制作のクオリティと制作効率UPにご活用ください。
https://www.scenario.co.jp/project/entame/ 

 

2023年7月28日発売『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社) 
発売すぐに、続々増刷となっております。

日本実業出版社さん公式サイト https://www.njg.co.jp/book/9784534060297/
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プロデューサーやディレクターの方のディレクション力UPのお手伝いを「エンタメシナリオ」というプロジェクトで実施しています。『ずれないディレクション研修』についての詳しい資料をお送りします。お気軽にお問合せください。

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