また来いよ!
シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、新井一の命日でした。本当にわかりやすい日に亡くなったと思います。(笑)
働き者だった新井にふさわしい勤労感謝の日ですもの。
24年前22日の夜、口癖の「また来いよ!!」と言いながら、手を振りながらシナリオ・センターを出ていきました。
毎度のことで、スタッフに「さようなら」ではなく「(明日も)また来いよ」と呼びかけて帰るのが新井一流。スタッフは「はーい!お疲れさまでした」と応える。明日また会えることを信じて。
朝一番に来て、夜最後まで見届けて帰る、講義があろうがなかろうが、83歳で亡くなるまで続けていました。
23日は、珍しく遅めに起きて、大好きなお汁粉を所望し、お餅入りの3杯のお汁粉を平らげ、その後ケーキを食べるために(まだ食べる気でした)胃薬を飲みに行き、そこで事切れました。
たぶん本人も気づかないまま、天国に召されたのだと思います。シナリオ・センターへ普段通り出掛けたつもりかも。
絶筆は、公募ガイドの原稿。あとは柏田講師が継いでくれました。
シナリオに生きた人生を最後まで全うできた幸せな人だったかと思います。
ま、本人はまだまだやりたいことだらけだったでしょうが。(笑)
最後まで、何故全員がプロになれないのか、なれるはずなのに何が足りないのか、ひたすら追求していましたから。
講師たちが引き継ぎ、24年の歳月が流れました。
コンクール入選は9割がた制覇し、出身ライター600名強のどなたかのドラマが放映されない日はありません。
新井一の夢は、志は、出身ライターの方々、受講生の方々、センターの講師・スタッフがしっかりと繋げてくれています。
「シナリオの基礎技術」という遺産が多くの人を楽しませ、多くの人の未来を作っています。
「また、来いよ!!」
189
出身ライターの長津晴子さんが、143期シナリオ作家養成講座昼の部にお顔出しされて、脚本を描かれた映画「189」のお話をしてくださいました。
長津さんが企画して、脚本を描かれた映画「189」が12月3日公開されます。
「189」って、なんだかご存じですか。私は恥ずかしいことにはじめて知りました。
「189=はやく)」語呂合わせです。何に早く?
児童虐待から、いち早く(189)救い出すためにです。
189は、児童相談所が虐待対応ダイヤルです。
「児童虐待かも」と思ったらすぐに電話をしてほしいのです。
ご通告・ご相談は匿名で行えますし、内容についての秘密は守られます。通話料無料です。
最近は、近所づきあいがあまりないので、知らない人の家のことに口出しするみたいでなかなか難しいようですが、むしろ隣近所の目がないせいかも知れませんね、虐待は増えています。
この映画は単なる189の啓蒙映画ではなく、ひとりの新人児童福祉司を通して、他人がどこまで介入できるのか、してよいのか、人としてどうあるべきか、家庭とは、家族とはいかなるものかを描いた人間ドラマです。
虐待を否定する親、虐待しているのに自分の手元も置いておきたい親、一時保護所から帰されて翌日亡くなってしまう子ども等を通して、この映画では、新人の児童福祉司の視点から切り込んでいます。
最近の養護施設は、虐待から逃げてきた子どもたちが多いといいます。
ものではないので右から左へと動かせばすむことではありません。保護するだけでは済まないのです。
子どもの心を、親の気持ちや生活を見つめ、想像することができないと抜本的な解決方法は見つからないのではないでしょうか。
なぜ親が自らの子供を虐待するのか、そこから掘り起こさないと解決しないのではないかと思います。
12月3日公開です。