ジャーナリズム
シナリオ・センター代表の小林です。東京コロナ感染者本日14人と減っているのに、終息が見込めないことに、次々と新株が出てくることに腹が立ちます。
ストレスだまりはどなたもですが、昨日、久々に夜の六本木にでかけたら、まあ、なんと人の多いこと、多いこと。気持ちはわかります。
グループで動いている人がとても多く、もう忘年会なのでしょうか。
このような講演を聴きくのは、どのくらいぶりでしょうか。
「金平茂紀『筑紫哲也NEWS23とその時代』青木理『破壊者たちへ』刊行記念~少数者であることを恐れるな!~批判的ジャーナリズム再生のための対話」
オンラインが主体だったのですが、私は対面で聴きたくて六本木の「文喫」へ出かけました。
20数名の対面で、何となく書斎で話をしているような空間で、金平さんと青木さんのジャーナリズムについてのお話をお聞きしました。
私は最近のジャーナリズムの体たらくに、この表参道シナリオ日記でも何回か腹を立てて書いていますが、昔のジャーナリストのすごさをお聞きして、なぜ今そういう人たちがいないのか不思議で仕方がありません。
筑紫さんがNEWS23の多事総論で「ひとつの方向に流れやすいこの国の中で、少数派であることを怖れず」「多様な意見や立場を登場させることで、社会に自由の気風を保つ」こと がジャーナリズムだと説いていらっしゃいましたが、金平さんや青木さんのような方は少数派になり、権力におもねっているばかりの今、どうすれば「批判的ジャーナリズム再生」ができるのかまで、時間がなくお聴きできなかったのが残念でした。
ジャーナリズムは、主権者が正しく判断し責任を持って行動するために必要な、真実の情報を提供する役割を果たしています。
ジャーナリストたちの気概を、来年こそはみせてもらいたいと思います。
明日は、アフガニスタンで36年間も人道支援を続け、凶弾に倒れた中村哲さんの命日です。
他人の・・・
本というのは不思議です。自分の中にアンテナが張っていないと読み逃していたり、意識に入らないことがあります。
アンテナを出していると、急に入ってくる。
何気にシナリオ誌10月号を読み返していたら、出身ライターの加藤正人さんが「先輩ライターに聞く シナリオ作家として生き抜くには」という座談会ではなしていらっしゃいました。
ちょうど今年最後のコンクールの結果がいろいろできて、入選しなかった方々に何かアドバイスができないものかと思っていました。
入選しない方が圧倒的に多いにも関わらず、受賞された方へ目を向けてしまいがちだなぁと。
入選するためのノウハウは浅田講師に「コンクール対策講座」で話していただいていますが、「落ちた時の次へ向かうための過ごし方で大事なことはなんだろうか」と思っていたら、加藤さん、さすが。教えてくださっていました。
ちょっとほんの一部ですが抜粋させていただきます。
「書いてコンクールに応募して、落選する。それを繰り返していました。
プロの脚本を読むと、自分が応募して落選したものと比較にならない。明らかに自分には力がないとわかるんですよ。(略)
文字と映像って距離が遠いんですよ。
だから脚本を読んでもなかなか映像のイメージが掴めない。
距離を埋めるためには、脚本を読んで映画を見るしかないですね。
映画を観て、脚本を読んで、ああなるほど、こういう書き方をしているから、ああいうシーンになるんだな、と。
自分が感動したシーンのシナリオを探して、読んで『ああ、こういう風に書いているんだ』ということを勉強しました。(略)そうやって、脚本と映像をつき合わせていくと、少しずつ感覚が身についてくるんです。シナリオを書くリズムと感覚が。
こういう時にはこういう風に書くという感覚ですね。特にト書なんかは。」
自分の作品を推敲することも、どんどん書くことも大事なのですが、プロや他人の作品に学ぶことはとてもすごいことなのです。
「他人のふり見て我がふり直せ」という諺があります。
他人の行いを見て、いいところは学び悪いところは直そうという意味ですが、これは、自分自身を客観的に見ろということですよね。
ゼミでもそうですが、他人の作品だったらいいところも悪いところも客観的に見える、でも自分の作品となると・・・ねっ。
浅田次郎さんが講演してくださった時、他人の小説を年間200冊以上読まれるとおっしゃっていました。
加藤さんは、いつも毎日のように映画をご覧になっていらっしゃる。今でも常に吸収しようとされていらっしゃるのですね。
私たちも負けずに、他人からいっぱいもらっちゃいましょう。
加藤さん、ありがとうございました。