言葉
シナリオ・センター代表の小林です。師走は、やっぱり走りまくりますね。ホントにせわしない。(笑)
昔の人って、ホント偉い。物の道理というものがわかっていたから、色々な諺とか言葉とかが生まれてきたのだと思います。
言葉には感情があります。道理があります。
日本語が乱れてしまった昨今、かわいそうにろくでもない日本語として使われてしまった言葉たちを本来の姿(意味)に戻してあげたいと心から思います。
日本語って、とっても素敵なのですから。
忖度の意味は、他人の心中をおしはかることで、上の人に媚びへつらう意味でありません。
なので、18歳以下への10万円給付は、本当の忖度を、要はしっかりと他人の心中を推し量って、さっさと現金で渡してくれればいいのにと思うのです。
やれ半分クーポンだのなんだのと面倒くさい上、余計なお金がかかることを考えて、今困っている人が、何に一番困っているかなど考えてもいない。
本当に困っている人への想像力の欠如が甚だしすぎませんか。
ご存じですか。
子ども食堂やフードバンク、子ども支援が3年前より15倍以上増えている。それだけ、今食べるもの、今子供にかけるお金が必要なのです。1日1食しか食べられない親子がどれほどいるか。
確か、岸田首相は子ども支援をしているNPO法人を訪れて話を聞いたとかですが、何を聞いてきたのでしょうね。
ありがたいことに、東京の市区町村はすべて、ほとんどのところが現金給付にしました。ヨシヨシ!
江戸川区などもう明日にも出すそうです。エライ!!
年の瀬、一番お金が欲しい時に渡さなくては、落語の落ちにもなりません。
附け打ち
歌舞伎に、附け打ち師という方がいらっしゃいます。
そうです、歌舞伎の舞台には欠かせない効果音「附け」。
舞台の上手の附け場に置いた附け板に、2本の附け木を交互に打ち付け「パタパタ」と音を出し、芝居を盛り上げるあの音です。
役者が見得を切るときとか、芝居の流れの転換とかに効果的に入れる、あれ、あれ。
昔は大道具さんがやっていたとかですが、合間でできるような仕事ではないし、芝居の間とか、演者との阿吽の呼吸とか、きちんと芝居を知らなかったらできないお仕事です。
シナリオを描くことも附け打ち師さんに似ています。
ドラマをどう盛り上げるか、役者さんの見せ場をどう作るか、力強く心地よい附けの音を響かせないと、魅力あるドラマになりません。
附け打ちを意識して、シナリオを描いていますか。
歌舞伎では、ここ一番という時、豪快に見得を切ることで「よ、○○屋!」「日本一!」と大向こうから声がかかります。
声をかけたくなるほど盛り上がるからですね。
ドラマは、見せ方が9割。
キャラクターがきちんとできたら、シーンをどう見せようか、ひたすらシーンで考えてみてみませんか。
ここ一番をどこに持ってくるか、どう作るかです。
ドラマは人間を描くことですから、キャラクターとキャラクターのぶつかり合いを作ればいいのですが、単にセリフの応酬では盛り上がりません。
セリフで語ってしまったら、説明セリフになりますものね。映像表現でもないし。
あの「半沢直樹」の有名な土下座シーンを思い出してください。
土下座へもってくるまでに二人の強烈なキャラクターで、対立・葛藤を見事に描いているから、土下座が効くのです。
土下座のシーンこそ、附け打ちの音が響きます。見得を張るところです。
「シナリオはシーンの積み重ね」と新井は言っています。
来年の皆さんの課題は、「附け打ちの技で盛り上がるドラマを描く」というのはどうでしょう。
きっとあなたのシナリオが走り出します。千里を翔けましょう