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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

生きているということ

新井一かく語りき

シナリオ・センター代表の小林です。東京感染者5000人超えました。さあ、どうなることやら、あちらこちらでマンボウが泳ぎ始めそうですね。
私事で恐縮ですが、私は、今日で一つ歳をとりました。
もう圧倒的に先の方が短いですから、五黄の寅の年女として、本格的に吼え、翔けめぐろうと鼻息荒く思っています。周りは怯えておりますが。(笑)
吼えるというと、これ以上あまり吼えない方がいいよとご心配くださる方もいらっしゃいます。

「他人はみな違う」ということを、誰もがきっちりと理解してさえいれば、誰が何を言おうがどう思おうが、それはそれ、これはこれと目くじら立てることもありません。それが「話を聞く」ということだと思うのです。
でも、ほとんどの人は頭では「他人はみな違う」とわかっていても、心の奥まで浸透していないので、「何でわかってくれないの」と悲しく思うところから始まって、自分と考えや想いが違う奴は抹殺してしまおうとまでいってしまいます。
昨今は、世界的にそんな様相をみせています。
ですが、表現する者は、きっちりと「他人はみな違う」ことを理解して、だからこそ生まれる葛藤、対立、相克を描いていかなくてはなりません。声を挙げなくてはなりません。
「他人はみな違う」ことを理解すると、対立にも葛藤にも深みが増します。
相容れないものをどう受け止めていくか、どう対処していくかは、とても難しい問題ですから、考えれば考えるほど、作家としての視座を作り上げていけるように思うのです。
好き嫌いと、「他人はみな違う」ことは別のことです。そこも混同しないようにしたいものです。
「他人はみな違って、みんないい」金子みすゞさんではありませんが、その上でお互いを認め合っていけたらと願っています。
その想いで、今年も吼えていきます。よろしくご容赦くださいませ。

ドラマ誌の2月号のライター掲示板を読んでいたら、出身ライターの関えり香さんがご尊父がご逝去された時のことをお書きになっていました。
お父様の死を穏やかに受け入れることができたと書かれた先に、お通夜、葬儀のことをこう描いていらした。
お父様を悼むお話から『父を亡くしたばかりの娘が、お香典泥棒なる不審者がいないか猜疑心でいっぱいでぎらぎらと周囲を見張ってはいけないのである。料理屋さんから届く予定の仕出し弁当が美味しいのかなあと、通夜後の食事を心待ちしては不謹慎なのである。
ところで、葬儀ではなぜ思わず笑ってしまいそうなことばかり起こるのだろう。
正座で足がしびれてよろめきながら焼香に向かう弔問客。嚙まれ過ぎの弔辞。葬儀社員たちのやたら丁寧で神妙な対応。
人の死には、悲しみの分だけおかしみがある。
そんな場面に出くわすたびに「このネタ、いつか何かで使えないか」と考えてしまう。損して得とれか。もはや職業病である。
父の書斎を整理していたら、大学生の私が父に送った手紙を見つけた。成人式用に買ってもらった振袖への感謝や、父の体を労う気持ちが綴ってあった。
父が数十年も前の娘からの手紙を残していたと知り「なんだかドラマみたい」と思った。
1月から放送予定の『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』でも、母の葬儀を終えたばかりの主人公を描いたシーンがある。
私の執筆回ではないけれど、葬儀から数日後の本打ちでは胸が少しチクリとした。OAの頃にはこの痛みが消えるのか、今はまだわからない。』

もの書きはかくも客観的にみるものなのかと驚くともに、だからこそご尊父への想いがスーッと心の中にしみいりました。
常に俯瞰でものを見る脚本家、シナリオの仕事。
関えり香さんはプロだと、根っからのもの書きだと深く感動しました。

※「ゴシップ#彼女が知りた本当の○○」が関えり香さんはじめ、出身ライターの橋本愛さん、青塚美穂さんも執筆されています。

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