障害
シナリオ・センター代表の小林です。今朝、出社しようと歩いていたら、B全くらいの立て看板のようなものを持った7,8人の中年女性の方々とすれ違いました。何をもっているのだろうとみると、そこには「戦争反対」「ウクライナ侵攻はやめろ!」という文字が。
ちょっと高揚されているみたいで、どこかで運動をされていらした帰りなのでしょうか。素敵だなぁと思いながら見送りました。
こういう言い方をすると失礼ですが、ドラマでいえば主人公の噂話をする近所のおばさんたちという役どころみたいなどこにでもいる感じの方々なのです。
大きな看板をもって、自分の主張を声に出すのは勇気のいることです。
でも、ふつうおばさんが声を挙げる、きっと居ても立っても居られなかったのだと思います。
私たちふつうの人が、思想も政治も関係ない、私たちの生活が、もし子どもが夫が父が戦争にいかされたら・・・ただそれだけの想いで立ちあがることが大事だと私は思います。
ロシアのウクライナ侵攻以来、各国で、戦争反対、ウクライナ侵攻ストップのデモが行われています。
日本は、他の国から比べると少ないですが、それでも渋谷で若者が増えていると聞くと嬉しくなります。
デモなどしても何も変わらないという方がいます。そうかもしれません。
お上の力は下々の声などは簡単に踏みつぶせます。
現実に、今もなおずーっと踏みつぶされ続けていますから。
国民に説明できないことは、すべて悪事ですよ。(笑)
悪代官ばかりの国は、いつのまにか悪に飲み込まれてしまうかもしれない・・・。
だからこそ、仕方ないではなく、小さくても、つぶやきでも声を挙げましょう。
自分の想いをちゃんと伝えていける勇気を持っていたいと思います。
ギソク陸上部
ウクライナの陰で北京ではパラリンピックが開催されました。
日本の選手の方々も頑張っていらして、今日はクロスカントリーで川除選手が金メダルを獲得、アルペンスキーでは村岡桃佳選手が金メダル2個、銀メダル1個を獲得してニュースを賑わしていました。
東京パラリンピックでも、多くの選手の活躍が見られましたが、人の力ってすごいということを改めで感じさせてくれるのが、スポーツ、特にパラリンピックですね。
私は、障害者という言葉で区別することが嫌いです。だって、よくよく考えてみてください。
誰ひとり同じではないのだから、違いであって、障害ではないでしょう。
どこにも健常者なんて一人もいないのです。みーんなどっか違う。
なのに、自分とちょっと違うと誰かが差別する。おかしなことですね。
冬のパラリンピックが開催されている今、出身ライターの舟崎泉美さんが「ギソク陸上部」(Gakken刊)を書かれました。
走ることが大好きな中学2年生の成瀬颯斗は、陸上部でもエース。だが、ある日急に足の痛みを感じて診察してもらうとユーイング肉腫という癌。彼は長い抗がん剤治療の末に右足膝下切断を決断する。
1年ぶりに義足をつけて学校へいった颯斗は、上履きがはきにくい、階段が降りにくいなど義足ならでは動きに苛立ちを感じてしまう。
親友の優樹や陸上部の仲間たちのクラスの友達が親切にしてくれればくれるほど、気持ちは荒んでいく。
陸上部に戻ったものの心にモヤモヤがかかってしまい、あることをきっかけに退部届を出してしまう。
友達にも距離を置いてしまった颯斗は、義肢装具士の近藤さんの勧めで、関東パラアスリート陸上競技大会を見に行く。
そこで、義足で100メートル12秒で走る山中選手と出会い、紆余曲折の末、弟も義足のクラスメート川村さん、義足ランナーサークルの主宰玲花さん、理学療法士の徳田さん、義肢装具士の近藤さん、親友や陸上部の仲間たちの力を借りて、走りを取り戻すのだった。
病気やケガで、生活も動きも一変してしまう場合、今までがあるだけにそこから気持ちを立て直すことはとても難しいことだと思います。
そんな心の機微をとても丹念に舟崎さんは、主人公の颯斗に寄り添って描いています。
迷惑かけたくない、同情されたくない颯斗の気持ちと、力になりたい、手を貸したいという友達の気持ちは、微妙にすれ違い、お互いにどうしていいのかがわからないまま過ぎていく、どちらの立場に立ってもつらいことが分かります。
その中で、ガールフレンドと義足の弟の出現、義足ランナーやパラリンピアンとの出会いで、心がどんどんほどけて行く姿を見事に描いています。
この本は、障害がないと思っていることの傲慢さや違いのある人への偏見など自分が気付きたくなかった器量の狭さを感じさせてくれる、心に響く本です。崎
舟崎さんは、小説だけでなく、絵本や映画やテレビ、ラジオ、CD、朗読劇などの脚本など幅広く手掛け、映画「夜を駆ける」の脚本・監督もしている、多彩な才能の持ち主です。
今後も思う存分、色々なジャンルで力を発揮してくださることでしょう。